ルールは、霊に出会ったら終了。心霊スポットを巡るルポマンガ
夏ですねー。
夏といえば、怪談! 稲川淳二! テレビで心霊特集ヒャッホウ!
ムーが大好きなぼくの出番ですね!
……え?テレビで最近UMAとかUFOとか心霊とか、あんまりやらないって?
そうか……科学の時代だもんね……21世紀だし、放送業界もいろいろあるもんね……。
幽霊がロマンな人にオススメできないのが、『ソレミテ それでも霊がみてみたい』一巻です。
できないのかよ!と言われると、できない。うん。だって幽霊でてこないもん。
むしろ90年代的な心霊番組の、うさんくささと腰砕けっぷりが好きな人には絶賛オススメな本です。
そもそも、この企画自体「霊に出会ったら終了」なんです。
ようするにまだ続いている=幽霊に一度も出会ってないんです。
ひどい出落ちだね!
でもぼく、そういう方が好きなんだよなあ。
メガネっ娘大好きハイパーテンション系漫画家の小野寺浩二が描く、『それでも町は廻っている』で有名な漫画家石黒正数と心霊スポットを巡るルポマンガです。
二人共、ノリが極めてシンプルなんです。
「心霊現象とか好きだし、見てみたいし!」
これだけ。当然ながら二人共心霊現象に出会ったことはありません。
で。出会わないわけですよ。一巻最後まで。
編集さんの計画で心霊スポットを調査し、実際に突撃取材するんです。
ぶっちゃけそこまでは怖い。行くまでは。
でも行ったら、……現代社会ってほら、明かりいっぱいあるじゃん。いろいろな人住んでるじゃん。
全然怖くないのよ。
街のギラギラライトアップがまぶしいお墓なんて、幽霊の居場所ないよ!
なので、本格的にホラーを楽しみたい人にはしょんぼりな内容なんです。
でもその「しょんぼり」が面白い。
具体的に言うと幽霊探知機「ゴーストレーダー」を買っちゃえる人にはスゴイ楽しい。
それを「原理なんなの?」とか「だからなんだっていうの?」って言われると……怪談ってもうその時点で終了なんですよ。
違うの! そうじゃないの!
「幽霊がいるんじゃないか?」って考えている瞬間が一番楽しいの!
まあ、まだ出会ってないんですけどね。
ところで、オカルトや超常現象ものの面白い部分の一つは「惹かれる人の心理」です。
石黒「霊は出ますよ。いつか必ず……諦めなければ!」
小野寺「石黒P……それはパチンコに狂った奴と同じセリフだよ……」
ギャグのセリフなんですが、これは紛れもない事実だと思います。
そもそも霊見たからって得はないですし。むしろ危ないかもしれない。
現実的な話としては、心霊スポットは人の溜まり場になりやすいので、そちらはさらに危険。
ではなぜ心霊スポットを巡るのか。なんでこんなマンガを続けるのか。
内容を見ているとわかりますが、石黒正数も小野寺浩二も、心の底から楽しんでいます。
(同行している編集さんは心底嫌がっています。当たり前だ)
石黒正数のセリフが興味深い。
「いますよ、いや、いて欲しいんです。霊が、死後の世界がなかったら……。死んだら人は無になっちゃうじゃないですか。それはすげー怖いっス」
あくまでも「いてほしい」という願いと、自分の知らない世界があるのではないかという好奇心が、オカルトへの興味を呼ぶ。
なぜ人が心霊スポットにわざわざ行きたくなるのか。いきたいから、楽しいからなんです。
内輪受け的なネタも多い作品ですが、この「霊があったらいいな」感覚は一貫しているので、肝試しとか大好きだった人なら共感出来る部分は多い作品です。
幽霊の正体見たり枯れ尾花。
枯れ尾花しか出てこないマンガです。あくまでも、予定調和的にガッカリするためのマンガです。
過剰に心霊ものを期待をしてはいけません!
ただ、読んだ後ふと心霊スポットめぐりをしたくなる本ではあります。楽しむために。
矢追純一が「UFOや超能力がインチキかどうか自体に意味が無い」と言っていたのに対して「わかるなー、でも好き」という人向けの本です。
いるかどうかじゃない。行くかどうかだ。
…………という割によく読むと、作中で結構怪奇現象起きてる気がするんですが……
ほんとに大丈夫です?
小野寺浩二・石黒正数『ソレミテ それでも霊がみてみたい』一巻
(たまごまご)
夏といえば、怪談! 稲川淳二! テレビで心霊特集ヒャッホウ!
ムーが大好きなぼくの出番ですね!
……え?テレビで最近UMAとかUFOとか心霊とか、あんまりやらないって?
そうか……科学の時代だもんね……21世紀だし、放送業界もいろいろあるもんね……。
幽霊がロマンな人にオススメできないのが、『ソレミテ それでも霊がみてみたい』一巻です。
できないのかよ!と言われると、できない。うん。だって幽霊でてこないもん。
むしろ90年代的な心霊番組の、うさんくささと腰砕けっぷりが好きな人には絶賛オススメな本です。
そもそも、この企画自体「霊に出会ったら終了」なんです。
ようするにまだ続いている=幽霊に一度も出会ってないんです。
ひどい出落ちだね!
でもぼく、そういう方が好きなんだよなあ。
二人共、ノリが極めてシンプルなんです。
「心霊現象とか好きだし、見てみたいし!」
これだけ。当然ながら二人共心霊現象に出会ったことはありません。
で。出会わないわけですよ。一巻最後まで。
編集さんの計画で心霊スポットを調査し、実際に突撃取材するんです。
ぶっちゃけそこまでは怖い。行くまでは。
でも行ったら、……現代社会ってほら、明かりいっぱいあるじゃん。いろいろな人住んでるじゃん。
全然怖くないのよ。
街のギラギラライトアップがまぶしいお墓なんて、幽霊の居場所ないよ!
なので、本格的にホラーを楽しみたい人にはしょんぼりな内容なんです。
でもその「しょんぼり」が面白い。
具体的に言うと幽霊探知機「ゴーストレーダー」を買っちゃえる人にはスゴイ楽しい。
それを「原理なんなの?」とか「だからなんだっていうの?」って言われると……怪談ってもうその時点で終了なんですよ。
違うの! そうじゃないの!
「幽霊がいるんじゃないか?」って考えている瞬間が一番楽しいの!
まあ、まだ出会ってないんですけどね。
ところで、オカルトや超常現象ものの面白い部分の一つは「惹かれる人の心理」です。
石黒「霊は出ますよ。いつか必ず……諦めなければ!」
小野寺「石黒P……それはパチンコに狂った奴と同じセリフだよ……」
ギャグのセリフなんですが、これは紛れもない事実だと思います。
そもそも霊見たからって得はないですし。むしろ危ないかもしれない。
現実的な話としては、心霊スポットは人の溜まり場になりやすいので、そちらはさらに危険。
ではなぜ心霊スポットを巡るのか。なんでこんなマンガを続けるのか。
内容を見ているとわかりますが、石黒正数も小野寺浩二も、心の底から楽しんでいます。
(同行している編集さんは心底嫌がっています。当たり前だ)
石黒正数のセリフが興味深い。
「いますよ、いや、いて欲しいんです。霊が、死後の世界がなかったら……。死んだら人は無になっちゃうじゃないですか。それはすげー怖いっス」
あくまでも「いてほしい」という願いと、自分の知らない世界があるのではないかという好奇心が、オカルトへの興味を呼ぶ。
なぜ人が心霊スポットにわざわざ行きたくなるのか。いきたいから、楽しいからなんです。
内輪受け的なネタも多い作品ですが、この「霊があったらいいな」感覚は一貫しているので、肝試しとか大好きだった人なら共感出来る部分は多い作品です。
幽霊の正体見たり枯れ尾花。
枯れ尾花しか出てこないマンガです。あくまでも、予定調和的にガッカリするためのマンガです。
過剰に心霊ものを期待をしてはいけません!
ただ、読んだ後ふと心霊スポットめぐりをしたくなる本ではあります。楽しむために。
矢追純一が「UFOや超能力がインチキかどうか自体に意味が無い」と言っていたのに対して「わかるなー、でも好き」という人向けの本です。
いるかどうかじゃない。行くかどうかだ。
…………という割によく読むと、作中で結構怪奇現象起きてる気がするんですが……
ほんとに大丈夫です?
小野寺浩二・石黒正数『ソレミテ それでも霊がみてみたい』一巻
(たまごまご)