/若手ばかりで活気のある会社は、最初の十年で市場飽和に達し、新規採用がまったくできなくなる。そこから新規事業だの、国際展開だのをやるくらいなら、若手だけの別会社の方が効率がいい。いまの見た目に騙されず、十年後の社内を想像してみろ。/

 近年、ITやファッション、飲食関係で、やたら若い従業員に溢れている会社が少なくない。職場の雰囲気も明るい。社屋も新しい。なにより社内に活気がある。年寄りだらけで半ば死に体のオンボロ会社などより、たしかに魅力的だ。だが、見た目に騙されるな。先を考えろ。十年後を想像してみろ。

 かつて会社というのは、十年、二十年という年月をかけて成長したものだ。新入社員が管理職になるころ、ようやく部下もピラミッド型に増えて、本社ビルを建てられる、というのが穏当な道だった。だが、今は違う。たった五年で事業が市場飽和に達してしまう。十年目には、もはや悪あがき状態。だから、すぐにブラックになってしまう。

 ようするに、いまは起業してすぐに爆発的に成長する。このため、最初の十年に大量の若手人材を採ってしまう。ところが、市場が無限にあるわけではない。全国展開したところで打ち止めだから、もう新規採用はできない。にもかかわらず、ただ年功だけのベースアップで人件費が経営を圧迫する。そのうえ、ありあまる従業員が、それぞれに思いつきで余計なことばかりやって、会社を内側から消耗する。だから、絞り込み、つまりリストラの首切りを始めないとならない。そうでなくても、会社自体、にっちもさっちも行かず、仕事はどんどんきつくなる。それで嫌なら辞めてくれた方がいいのだ。

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