/会長が社長をバックアップしても、副社長はもとは社長の同僚。担ぐどころか引きずり下ろそうとするかもしれない。子分たちまでは譲り受けることはできない。上に登るなら、あらかじめ自分自身の子飼のチームを準備しておかなければならない。/

 お山の大将を自称するやつは、いくらでもいる。だが、いまどき、なんの後ろ盾も無しに、大将ぶっても、世間は相手にしない。しかしまた、後ろ盾だけに頼って、大将ぶってみても、これまた薄ら寒い。

 この問題は、組織トップの世代交代で頻繁に起こる。社長が取締役の一人に地位を譲り、自分は会長として彼をバックアップする、と宣言する。で、それだけでうまくいくか。鍵になるのは、新副社長の挙動だ。彼もまた社長を支えるのであれば、以下、その他の取締役や取引先も、新社長を中心にうまくまとまっていくだろう。

 ところが、副社長というのも、ついこの前までは取締役として現社長と同格。前社長、つまり会長の子分であっても、現社長の子分ではない。それどころか、現社長が早々にしくじってくれさえすれば、むしろ自分が取って代わって社長なれる、と思っている。こんなやつが、元同僚の新社長を担ぎ上げたりするだろうか。

 これが世襲であると、もっとまずい。副社長ほかの取締役たちは、みんな若社長より年上だ。現会長の引き立てがあってこそ自分たちは今の地位に昇ったのであって、若社長の世話になった覚えはかけらも無い。それどころか、この未熟な若造の世間体を取り繕うために、さんざん尻ぬぐいをさせられてきた。恨みこそあれ、これ以上、世話を焼いてやる義理もあるまい、ということになる。

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