えらばれた せんしたちは おもいのほか おおぜい いるのだった……FFがなめこになったアプリ
しゅくめいの せんしたち
その えらばれた せんしたちは
おもいのほか おおぜい いるのだった
という、身も蓋もないオープニングで始まるのが1月17日に公開されたiOS用ゲーム「ファイナルファンタジーオールザブレイベスト（FINAL FANTASY ALL THE BRAVEST。以下、FF_ATB）」です。ティザーサイトが公開されてから、どんなものが出てくるのだろうとわくわくしていましたが、まさかこういう感じとは。
このキャラクターが、本当に思いのほか大勢いるんですよ。具体的には、最大40人まで同一画面に出てきます。中身はファイナルファンタジー1、3、5のジョブですね。「せんし」「モンク」と言ったおなじみのものから、「けんじゃ」「忍者」といった上級職まで、25種類のジョブが登場します。後から登場するものほど強力な攻撃で、ATBゲージが溜まりにくいという傾向があると思えばいいでしょう。最初のうちは、1キャラ1キャラをタッチして攻撃していくのですが、だんだんそれでは追いつかなくなってくるので、画面を指でこするようになります。大勢で一斉に、さまざまな方法で敵を攻撃していくのを見るのは快感です。
敵の攻撃は大変苛烈で、こちらは1撃くらうと死んでしまいます。でも大丈夫。3分に1人の割合で新しいキャラクターが加勢にきてくれます！ 例え全滅してしまったとしても、90分ほど待てばまた30人で挑み直すことができるというわけですね。
「わらわらとたくさんいるのをこする」「時間が経つとこする対象が増える」というのはどこかで味わったような……はっ、なめこ！ これはなめこと同じ構造なんじゃないでしょうか。テンポが早いのでFF_ATBの方がだいぶ忙しいのですが、とりあえず全滅（収穫）してしまったらちょっと待ってまたたくさんになるのを待つ感覚とか、とても良く似ています。いわばこれはFF版なめこだったのですね！
と、まあ、それだけではなく、非常に、なんといいましょうか。おっさんほいほい的な要素に充ち満ちているのです。何せ、ファイナルファンタジー1から6までを模した各ステージと、それにあわせたBGM。そしてドット絵が満載なのですから！ 正直、遊ばないでも（攻撃しないとモンスターは反撃してこないので）ゲームをつけっぱなしにして音楽を聴いていたりすることもあったりします。
ちなみにこのドット絵。残念ながら、ファイナルファンタジー1から6までの絵を担当された渋谷員子さんが担当されたものではないそうです。トリビュートで渋谷さんが担当したものも使われていないとのこと。ファンとしては少し残念ですね。
ストーリーをクリアするだけでなく、色々なコレクション要素も充実しています。レベルが上がることで最大人数や使えるジョブが増えていくほか、プレミアムキャラクターを購入することができます。遭遇するモンスターや、モンスターが落とすアイテムも全て図鑑に登録されるので、収集癖がある人は繰り返し同じステージ遊んでしまうでしょう。この図鑑の説明文がまた、やや投げやりで面白かったりするのもポイントです。
ファイナルファンタジー7とか10とか13のファンなので……という方もご安心を。ワールドチケットを購入することで、それらのステージを遊ぶことができます。しかもこれが全てポリゴンではなく、ドット絵になっているという。あんなボスやこんなボスが見られるのはポイント高いです。あ、もちろん音楽はばっちり7とかの音楽でした（現在7のマップを買って攻略中なのです）。
というわけで、このゲームはあれこれ自分で考えながらRPGを楽しみたいという人には向いていません。ファイナルファンタジーに懐かしさを感じる人が、ちょっとした時間に遊ぶのには楽しいゲームなのです。なめこのように、たくさんいるキャラをこすって、図鑑を埋めていくのが好きな人におすすめです。
（杉村 啓）
