スペイン戦の日本が勝ち点３をつかんだ要因は、攻守におけるハードワークにある。前線からの激しいプレッシャーが、何よりも奏功した。スペインを苛立たせた。
頭のなかが整理されていたのも見逃せない。

　ケアレスミスへの強い警戒心が働き、自陣や中盤でのボールロストを減らすことができていた。自陣から勇気を持ってつないでいく一方で、シンプルなロングパスからのカウンターを有効な手段としていた。

　スペインより力関係が拮抗するモロッコに、日本はどのようなスタンスで臨むのか。中２日の試合間隔を考えると、試合運びにメリハリをつける必要性を感じる。前線からボール奪取を狙っていく時間帯と、ある程度自陣にステイする時間帯を使い分けていい。

　大津と酒井宏の状態次第で、今後は文字どおりの総力戦となる。交代枠を有効に使いながら、選手の疲労感をできるだけ抑えることも心がけるべきだ。

　日本のグループＤは、準々決勝でグループＣと対戦する。ブラジル、エジプト、ベラルーシ、ニュージーランドのいずれかだ。史上初の金メダルを目ざすサッカー王国が、首位通過するのは規定路線と言っていい。表彰台を目ざすなら、ブラジルとの対戦は避けたい。

　スペイン戦の勝利には、『アップセット』や『奇跡』といった表現が使われていくに違いない。だが、せっかくつかんだ勝利にさらなる価値を持たせることができるのかは、これからの戦い次第である。