ここ日本でも知られる全米を震撼させた凶悪事件のひとつに、あの“ジョンベネ殺害事件”がある。1996年のクリスマス。誰もが羨む裕福な一家の幼子ジョンベネ・パトリシア・ラムジーちゃん(当時6歳)が自宅で殺害されるという、なんとも痛ましい事件であった。事件発生後、当時の妻、故パトリシア・ラムジーさんと共に世界中から疑いの目を向けられ続けた“悲劇の父”ジョン・ラムジー(68)さんは、今どうしているのだろうか。

『The Other Side of Suffering(原題)』というタイトルの自伝を発表することになったのは、あの“ジョンベネ殺害事件”で最愛の娘を亡くしたジョン・ラムジーさんである。世界中のメディアのみならず、事件が発生したコロラド州ボルダーの警察にも長きに渡り“犯人なのでは?”と疑われていたジョンさんは、このたび米『People』誌に対して自殺まで考えた当時の様子を明かしている。

「(自殺することによって)あの苦しみから、私は逃げたかったのです。」

今では髪も真っ白。実年齢よりもさらに老けて見えるジョンさんは、そう振り返る。すでに事件当時の妻はガンで逝去しているが、生前は共に逮捕を覚悟。ジョンベネちゃんの兄については親戚に養育を任せるべく書類にサインまでしてあったそうだ。またその兄をも疑いの目で見る者が多く、まさに遺された家族それぞれが苦難に満ちた日々を過ごしていたのだ。現在その長男は、すでに25歳。恋人にも恵まれ、元気に暮らしているという。

そしてジョンさんには今、新たな妻を迎え人生の再スタートをきっている。昨年7月に結婚したお相手は、現在ラスベガスを拠点に活躍するデザイナーのジャン・ルソーさん(54)である。ルソーさんには二度の離婚歴があり大きな娘が2人いるというが、現在ジョンさんとジャンさん夫妻はミシガン州に家を持ち、ネバダ州と行ったり来たりの暮らしを続けているようだ。

「娘を殺めたのが誰か、今なお知りたいと願っている。」

そう言うジョンさんであるが、苦悩の先には必ずや出口があるものだとも力説している。

「精神的な重荷のない人などいません。でも私は皆さんにこう言いたい。そのような負担は永続するものではない、とね。」

愛するわが子を殺害されるという苦しみは、まさに想像を絶する。世界中に“娘を殺めた鬼父”と決めつけられながらも懸命に生き続けてきたジョンさんの言葉は、悩める多くの人々の心に響くであろう。
(TechinsightJapan編集部 ケイ小原)