右みたいに耳を塞ぐ必要はない。左くらいの位置でOK。

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高校時代、登下校は必ずウォークマンを聴きながらだった。歩いている時も、走ってる時も、電車に乗る時も。……危険だ。一度、後ろから来る車が私の横にピタッと密着。並走された事がある。「何?」と視線を向けると、そのドライバーは私を思い切りガン見していて。
もしかしたら、ずっとクラクションを鳴らしてたのかも。しかし、ガンガンに音楽をかけている私の耳には届かず……。今思うと、よくトラブルにならなかったものだよ。

タイムマシンに乗って、あの頃の私に教えてあげたい。「このヘッドフォンなら、大丈夫だ」と。株式会社エバーグリーンは、2月20日より『骨伝導ヘッドフォン』なるアイテムを発売しているそうだ。

もう、商品名が全てを表しているか? これは、骨の振動で音を聞く「骨伝導方式」を採用したヘッドフォンである。
この方式に、何の利点があるのか。要するに、耳を塞ぐ必要が無い。だって、音が骨を伝わって耳に届くのだから。という事は、周囲の音も聞くことができ、歩行中やスポーツ中でも安心して使うことができる。また、鼓膜を通さずに音が聞けるので、耳への負担も軽減する。

細かく、原理を説明しよう。通常、音は空気の振動として耳の奥にある「鼓膜」を振動させる。鼓膜に伝わった振動はさらに奥の「耳小骨」を振動させ、やがて内耳の「蝸牛(かぎゅう)」という渦巻状の器官に届く。この蝸牛から、聴覚神経を通って脳に音が届くのだ。
それに対して「骨伝導」は、鼓膜→耳小骨→蝸牛というプロセスを経由することなく頭蓋骨からの振動を直接内耳の蝸牛に伝える。そうすることによって“音”として聴こえるのが、この方式である。
「鼓膜で聴くよりも、振動が伝わってくるので音楽などはライブ感が増します」(同社・担当者)

そこでグッと増える、新たなオススメの用途。
「屋外でのジョギングなどの周囲の音に注意をしなければならない場合、特に交通量の多い場所では大変役立ちます」(担当者)
ただ、このヘッドフォンは周囲へ音が漏れるため、電車内は不向き。歩行中やスポーツ中で真価を発揮するアイテムだとお考えいただきたい。

なるほど。理論はわかった。でも、とにかく“論より証拠”。私もこれを取り寄せ、実際に試してみました!
装着方法は、写真の通り。この形になると、ヘッドフォンの先端部分にあるスピーカーから出る振動が頭蓋骨に伝わるという按配で。

早速、長年愛用しているiPodにこのヘッドフォンを繋げ、近所をウォーキング(散歩)してみましたよ。そして、iPodをスイッチオン。……おぉ、響く響く! 何か、脳内でエコーのかかった曲が流れているかのような。ナチュラルなエコー効果がかけられた音質にも思える。へぇ〜、確かに通常のヘッドフォンとはちょっと違うな。
そして、周囲の音も確実に聴こえる。車の走行音も、カラスの鳴き声も、電話の着信音も、ちゃんと耳に入って来ます。もちろん、音量をある程度下げるなどの調整は必要ではあるのだが。
また、試しにこのヘッドフォンを頭から離してみると……。あぁ、確かに音漏れは顕著かも。その点は、正しいシチュエーションで使用するマナーが必要です。

そして、肝心の音質に関して。正直、音に集中して「曲をじっくり聴きたい!」というテンションなら、他のヘッドフォンの方が向いているかもしれない。
だけどこのヘッドフォンが素晴らしいのは、その豊富な“ライブ感”。コンサート会場で、曲と一緒に自分の体も揺れる。そんな感覚に近いというか。骨に直接、響いているからだろう。断っておくけど、音質は決して悪くないです。

そんな『骨伝導ヘッドフォン』は、同社の直営通販サイト「上海問屋」にて販売されている。価格は2,999円(税込み)。
どうやら凄い人気を獲得しているようで、現在は在庫切れの模様。次回入荷は、4月下旬辺りになるみたいです。

例えば、早朝ジョギング。「プーッ!」とクラクションが鳴ろうが、「ワン!」と犬が吠えようが、きっとこのヘッドフォンなら問題ないはず。適材適所で楽しんでいただきたい。
「NO MUSIC, NO LIFE」な生活、これなら実践できそうです!
(寺西ジャジューカ)