マンガ・ドラマの「2番手の男」に惹かれる理由
マンガやドラマにおいて、ヒロインの相手役の男性よりも「2番手」のほうが好き、という人はけっこう多いもの。
たとえば、古くは、SMAP・木村拓哉の人気が一気に上昇したドラマ『あすなろ白書』(1993年放送)での取手治役。
ヒロイン・石田ひかりを後ろから抱きしめ、「俺じゃダメか?」と聞くシーンには、多くの女性がキュンとしたものだった。
そして、小栗旬のブレイクのきっかけとなったのも、『花より男子』でヒロイン・牧野つくしを常に優しく見守っている花沢類役だった。
ちなみに、『花より男子』のCDブック(1993年)で花沢類の声を木村拓哉が担当していたのも、興味深い点である。
さらに、先の2作に比べると、ドラマの注目度はだいぶ小粒になってしまうものの、昨年放送されたドラマ『美男ですね(日本リメイク版)』でヒロインを気遣い続ける藤城柊を演じたKis-My-Ft2・藤ヶ谷太輔も、このドラマで新たなファンを獲得している。
いったいなぜ「2番手」に惹かれるのか。
あるマンガ編集者は、こう分析する。
「マンガやドラマを見るとき、ヒロインに自分を投影する人もいますけど、そうではなく作品を俯瞰から眺めたとき、ヒロインとは結ばれない・報われない思いの切なさにキュンとくる『報われない萌え』っていう感情もあると思うんです。これは、幸せな恋では得られない、切なさを見守るトキメキですよね。一方で、少女マンガの読者は、ヒロインには最終的に幸せになってほしいと願う人が多いんです。どんな作品でも、ハッピーエンドじゃないとスッキリしない、ある意味『ハッピーエンド中毒』というか。だから、一番手の相手役とは幸せになってほしいけど、切なさにもキュンとしたいということで、『2番手』のタイプが女性に人気なのだと思います」
また、あるライターは「そばにいてくれ、自分を思ってくれている“見守り系”の人に安らぎを感じるということでは?」と言う。
加えて、あるマンガ好きの編集者は言う。
「ヒロインの相手役って、元気で明るく、ストレートというか、単純なタイプが多いから、あまり惹かれないですよね。(秘密戦隊)ゴレンジャー方式でいくと、女性が惹かれるのは熱血漢のレッドではなく、クールなブルーでしょう? 『スラムダンク』だったら、桜木花道より、やっぱり流川楓でしょう?」
時代が変わっても、マンガやドラマの作風が変わっても、クールで、それでいて優しく見守ってくれて、挙句、報われない「二番手の男」たちは健在。それをさらに陰ながらウォッチする楽しみもまた、健在のようです。
(田幸和歌子)
たとえば、古くは、SMAP・木村拓哉の人気が一気に上昇したドラマ『あすなろ白書』(1993年放送)での取手治役。
ヒロイン・石田ひかりを後ろから抱きしめ、「俺じゃダメか?」と聞くシーンには、多くの女性がキュンとしたものだった。
そして、小栗旬のブレイクのきっかけとなったのも、『花より男子』でヒロイン・牧野つくしを常に優しく見守っている花沢類役だった。
ちなみに、『花より男子』のCDブック(1993年)で花沢類の声を木村拓哉が担当していたのも、興味深い点である。
いったいなぜ「2番手」に惹かれるのか。
あるマンガ編集者は、こう分析する。
「マンガやドラマを見るとき、ヒロインに自分を投影する人もいますけど、そうではなく作品を俯瞰から眺めたとき、ヒロインとは結ばれない・報われない思いの切なさにキュンとくる『報われない萌え』っていう感情もあると思うんです。これは、幸せな恋では得られない、切なさを見守るトキメキですよね。一方で、少女マンガの読者は、ヒロインには最終的に幸せになってほしいと願う人が多いんです。どんな作品でも、ハッピーエンドじゃないとスッキリしない、ある意味『ハッピーエンド中毒』というか。だから、一番手の相手役とは幸せになってほしいけど、切なさにもキュンとしたいということで、『2番手』のタイプが女性に人気なのだと思います」
また、あるライターは「そばにいてくれ、自分を思ってくれている“見守り系”の人に安らぎを感じるということでは?」と言う。
加えて、あるマンガ好きの編集者は言う。
「ヒロインの相手役って、元気で明るく、ストレートというか、単純なタイプが多いから、あまり惹かれないですよね。(秘密戦隊)ゴレンジャー方式でいくと、女性が惹かれるのは熱血漢のレッドではなく、クールなブルーでしょう? 『スラムダンク』だったら、桜木花道より、やっぱり流川楓でしょう?」
時代が変わっても、マンガやドラマの作風が変わっても、クールで、それでいて優しく見守ってくれて、挙句、報われない「二番手の男」たちは健在。それをさらに陰ながらウォッチする楽しみもまた、健在のようです。
(田幸和歌子)