様々な仕掛けが、細部に仕掛けられている。

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以前、仮面ライダーのショッカー秘密基地をモチーフにしたレストランへ取材に行ったことがある。あそこは、特に30代以上のお父さん率いるファミリーのハートをガッチリ掴んでいるお店であった。無論、私も掴まれまくりで!
あんな風に、コンセプトのある飲食店って素敵だな。足を踏み入れるだけで、ワクワクしてしまうから。

そして、今回も見逃せない。1月25日に新宿歌舞伎町にてオープンしたのは、『モンスターハンター』や『バイオハザード』、『戦国 BASARA』等の人気ゲームの世界観が楽しめるバー。その名も、「CAPCOM BAR(カプコンバー)」である。
店名からおわかりのように、ここはゲームメーカーの「カプコン」がパセラとコラボしてオープンした店舗。では、どんな形で世界観が表現されているのか? それはもう、細部に行き渡っていた。

まずわかりやすいのは、メニューだろう。それら全てが、ゲームに何かしらちなんだものとなっているのだ。
まず、インパクト大なのは「生物の究極形!! タイラントのスペアリブ〜暴君ソース〜」(税込み1,980円)だろうか。これは『バイオハザード』の世界観を表現したメニューで、目の前でバーナーを使いブワッとあぶってから出してくれる。「T-ウイルスを用いた生物の究極系」量産型の1体を捕獲し、そのスペアリブを焼き上げたというイメージだそうだ。
他にも、まだまだ。「一狩り行こうぜ!! こんがり肉(ミニ)」(税込み580円)は、『モンスターハンター』にちなんだメニュー。まさに「夢にまで見た!」という感じの骨付き肉となっており、四の五の言わずにかぶりつきたい。また、木槌を模したコロッケ付きの「そのソースに異議あり! オニオンリング」(税込み580円)は、今話題の『逆転裁判』の世界観を思いっきり表現しているし。「タコの恋華カルパッチョ」は「恋の華! 咲かせてみせましょう!!」と前田慶次を思わせる色鮮やかさ。『戦国 BASARA』に関連したメニューである。

そして忘れちゃいけない、ドリンク系について。「T-ウイルス ワクチン」(税込み780円)は、ウイルスに対抗するためのワクチンをモチーフにしたカクテル。当然、『バイオハザード』の世界観を表したドリンクである。
続いてご紹介したいのは、『戦国 BASARA』関連のドリンク。「伊達政宗 “CRAZY STREAM”」(税込み730円)は、彼が持つクールなイメージを表現したカクテルとなっている。しかも、店員さんがテーブルに持ってくる際のくだりがイカしてる。「お待たせしました。……奥州筆頭・伊達政宗、推して参る!」と、鋭い眼光でクールな雄たけびを上げながら差し出してくれるのだ。
『逆転裁判』に関するドリンクで言えば、「御剣が異議あり! ロングアイランドアイスティー」(税込み730円)も面白い。「貴方には、このドリンクに潜む矛盾が見つけられますか? 見つけられなければ、来月の給与査定を楽しみにしておくことだ……」と、御剣のお馴染みのセリフを勇ましくキメてくれる。いやぁ、楽しいバーだな!

ところで、どうしてこのようなコンセプトの店舗をオープンしたのだろう?
「今の20代にはゲーム離れが囁かれています。そこで、その世代に向けた展開をしていきたいと考えました」(担当者)
そういえば昔は兄姉がやっていた事もあり、日常生活の中にゲームが溶け込んでいた。しかし、今は家でなかなかゲームができない現状があるそうだ。そこで一からゲームユーザーを作っていくために、このようなバーが必要なのだ。

では、このコンセプトバーによってどのような効果があるのか? まずここで食事をすると、『バイオハザード』や『逆転裁判』などの楽しさを体現したメニューが体感できる。その後、ゲームのCMを観ると「あのバーで食べたやつだ!」と二重に印象に残る。
という事は当然、“ゲーム好き”だけでなくビギナーにも訪れてもらいたい。そんな想いを、同社はこのバーに込めている。
「このお店はなるべく小さなスペースにし、お互いの席も微妙に近くしています。なぜなら、我々はこの場所をユーザーコミュニティの一つと考えているからです」(担当者)
細部にもこだわりは行き届いており、構想約2年でやっとオープンにこぎ着けた店舗だそうだ。

他にも、仕掛けはたくさん! 店内には発売前のゲームも紹介されており、それらは自由に楽しんでいい。また店内にいる時は飽きないように、定期的に抽選会も実施。前述のように、スタッフによる演出も凝ってみせた。
「ここは、五感で感じてもらう“エンターテイメントスペース”です」(担当者)

そんな「カプコンバー」に来るお客さんの層は、女性の方が多い位だという。
「時間によっては、女性だけの時間もあるほどです」(カプコン・担当者)
ゲームユーザーがまず来店し、その後にゲームに興味もない仲間を連れてやって来るなど、どんどん輪は広がってきているとのこと。

最近は『逆転裁判』の劇場公開などもあり、ゲーム人気は高まっている模様。ここで一つ、このバー展開によってゲーマー拡大の一助としていただきたい。
(寺西ジャジューカ)