寒い日はこんなのれんに心惹かれます。

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暦の上では春でも、まだまだ冷え込む季節。

こんな季節はお風呂が恋しい。しかしそのお風呂、適当に入っていないだろうか。

家で起こる事故の大半がふろ場であるという統計もあるそうで、実はふろ場は危険と隣り合わせ。
さらに寒い季節は気温差で事故も増えるシーズンだそう。高齢者の方は特に注意が必要だ。

寒い季節だから、すぐに湯船が冷えるから……と、ついついやってしまうのが熱いお湯を張ってしまうこと。
しかしお湯の理想は40度まで。熱すぎずぬるすぎないお湯にじっくり30分浸かるのが理想だとか。

熱いお風呂に入った時に起こりやすいのが、くらっと目の前がかすむ立ちくらみ。
お医者さんに聞いてみると、これは脳が一時的に酸欠を起こしている状態。
その理由はお湯の温度と入り方にある。
熱いお湯に入ると血圧が上昇。さらによくいう「肩までしっかりお湯に浸かって……」も、実は逆効果。
短時間なら問題はないが、長く浸かると水圧がかかって心臓を圧迫してしまうそうだ。
その結果、血圧が下がり立ちくらみが起きることも。

一番いいのは半身浴。最初は寒いものの、この状態でじっくり温まると、体が中からぽかぽかに。
長い目で見ると一番効率的に体を温める方法だとか。

どうしても寒い場合は「まずは肩までつかり、暖まったら縁に座って足を温め、また冷えたら肩まで……と繰り返すこともおすすめです」とお医者さんはいう。
そしてお風呂に入る前に必ず行いたいのは、かけ湯。「足や手からかけて、だんだん高い場所にかけましょう」

いわゆる「のぼせ」を防ぐのにどうすればいいのか。
伺うと「漫画などによくある、頭にタオルを乗せる。これがおすすめです」という。
ただし乾いたタオルではなく、冷たく濡らしたタオルで。頭を冷やすことでのぼせを防ぐ役割もあるそう。
お風呂の表現として描かれているだけかと思いきや、意外な効果があったのだ。

そしてお風呂から出るときは、できるだけゆっくりと。
それでも立ちくらみが起きてしまったらゆっくり腰をおろし、できれば横になり落ち着かせる。
動こうとがんばると転んで怪我をすることも。

同じお風呂でも銭湯はどうなのだろう。
銭湯協会に伺ったところ、昔は衛生問題で42度以上と熱め設定だった銭湯だが、今は40度前後に落ち着いてきているらしい。
東京では高めが好まれるが「湯温の異なる湯船がいくつか用意されているので、のぼせる前に上手に使い分けて」と、呼びかける。
それに熱いお湯も危険なばかりではない。目覚めたい時は、さっと熱いお湯に浸かると体に血が巡り、しゃっきり目覚める効果もある。

春とはいえ、花冷えで冷え込む季節はまだまだ続く。
賢くお風呂に浸かって、楽しく温かい入浴を。
(のなかなおみ)