私たちは物事の抽象度を上げて大本の「一(いち)」をモデルでとらえることができれば、それを10個にも100種類にも具体的に展開応用することができる。モデル化によって「一」をとらえなければ、いつまでたっても末梢の10個を丸暗記することに努力し、100種類に振り回されることになる。

 「モデル(model)」という言葉は、最近いろいろな場面で使われる言葉です。大本の意味は「型」ということですが、そこから派生して、プラモデルやファッションモデル、ビジネスモデル、ロールモデルなどに広がり、いまではすっかり日本語の中に溶け込んでいます。この記事は、そんな中でも「概念モデル」について考えていくことにします。

 概念モデルとは、
 「物事の仕組みを単純化して表したもの」、
 「概念のとらえ方を示すひな型」と言っていいでしょう。

 概念モデルとして秀でたものは世の中にいろいろありますが、私は次の2つを挙げたいと思います。まず1つめに、エッセイスト・画家・ワイナリーオーナーとして活躍される玉村豊男さんの「料理の四面体」図。



 料理という概念を理解するのに、「煮る」とか「焼く」とかいった加工方法で分類するアプローチは、特段独創性のあるものではありません。玉村さんの発想の優れた点は、加工方法の観点からさらに一段抽象度を上げて、その根源となる4つの要素「火・空気・水・油」を“発見した”ことです。そしてさらにもう一段の抽象化、それら4要素の関係性を三角錐(四面体)の構造で表現したことです。

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