問題点の1つには、最初の起点のところでのルーク・デ・ヨングへのマークがルーズだった事。2つには、アンドレア・メイが空中戦で負けてしまった事。3つには、マグワイアの守備対応が判断ミスだった事。4つには、吉田の判断もミスだった事。

吉田の判断ミスだったのは、2列目に戻ったヴィレム・ヤンセンのマークには自分が行くのではなく、メイウヴィスにコーチングしてそれをやらせるなどして、中央を空けるべきではなかった、という事ですね。そうしていれば防げた可能性はあったかなと思います。

しかし、ではこの失点の責任が吉田に大きいと言えるのかと言えば、そうではないですよね。前述してきたように、この失点の責任は、ボランチであるマグワイアとCBのもう1枚であるアンドレア・メイ、この2人に大きいと言えると思います。その次が吉田で、更にその次がメイウヴィス、という事であると思います。

そして、今度はその3分後の3失点目ですが、問題点の1つは、メイウヴィスがブライアン・ルイスに競り負けてしまった事で、それによってブライアン・ルイスがバイタルエリアでフリーでドリブルする事になってしまったので、そこにCBであるアンドレア・メイと吉田が対応に行かなければならず、吉田がマークしていたマルク・ヤンコがフリーになってしまいました。

このシーン、ブライアン・ルイスのところにはアンドレア・メイが行ったので、吉田がそこにマルク・ヤンコのマークを外してまで行く必要は無かった、と考える人もいるかなと思いますが、吉田の感覚的には、マルク・ヤンコはオフサイドの位置に置いた、と思う訳ですね。実際ギリギリでした。

そして、左SBのアレックス・クメも、マルク・ヤンコにパスが出された瞬間にオフサイドを取りに行っており、しかし、おそらく右SBのデ・レフトが残っていてオフサイドにはならず、という事だったと思いますので、ここも吉田が悪いと言うよりは、メイウヴィスとデ・レフトにその責任が大きいと言えると思います。

と言う事で、その後、後半になってからも、セカンドボールを拾われまくる、サイドや中盤を簡単に突破される、という事のオンパレードで、後半21分には4失点目。スコア「4−1」でフェンロの大敗という事になりました。もし両チームの決定的チャンスが全て決まっていたら、スコア「8−2」になるぐらいの試合でした。

ついでにもう1つ書くと、後半28分、CKのシーンで、まるで吉田が競り負けてヘディングシュートを打たれたかのように見えていましたが、実際は、吉田は他の選手のマークに付いていて、そのヘディングシュートを打たれた選手のマークに付いていた選手が振り切られてしまったので、後からそこに競り合いに行ったものでしたから、これも吉田が悪いという事ではありませんでした。

吉田は後半32分に交代となりましたが、そこが悪くて守備が悪いという事ではないので、吉田をティミセラに代えても守備が良くなるという事はなく、やはりフェンロの守備の弱さはサイドと中盤の守備、特にSBとボランチの守備力が悪くてそうなっているので、そこを強化しない限りは、CBを代えてもそれほど大きな変化は望めないかなと思います。

そして、攻撃の方は、ウチェボとムサ、この2人のパフォーマンスは高いですね。アヤックス(現在2位)やトウェンテ(現在首位)というチームを相手にしても、この2人の個の力は充分通用しています。問題は、カレンとリンセンのパフォーマンスで、この2人の出来には物足りなさを感じます。

その一番の理由は、守から攻へ切り替わった時の動きで、ムサの場合は、守備で低い位置にいたとしても、そこから一気にゴール前まで走れる力がありますし、また、そのスプリント回数も多いのですが、カレンとリンセンにはその力が足りず、ウチェボにボールが入った時に、ムサしか行っていない、というシーンが何度もあります。