スマートフォン(高機能携帯電話)に関する記事や報道が増えている。世界的に発売される機種が増えたので当然だが、普及が急速なだけに情報が追いつかず、ユーザーの一部には混乱も見られるようだ。新聞記事でも、報道する角度によってはユーザーの混乱を助長しかねないものがあるので、注意したいところだ。

■新聞が気にするのは製造メーカー
たとえば、「日本経済新聞」の8月6日付には「スマートフォン2強突出」という記事がある。この4〜6月世界での販売台数が、1位・Apple(米)、2位・サムスン電子(韓国)、3位・Nokia(フィンランド)、4位・RIM(カナダ)、5位・HTC(台湾)の順になったと述べ、日本企業は「海外展開が急務」だとしている。ここで述べられているのは、いうまでもなく、スマートフォンの製造メーカーのことである。

だが、ユーザーが第一に気にするのは通信キャリアだろう。現在はMNP(Mobile Number Portability)制度があるため、旧番号のままキャリアの変更が可能だ。とはいえ、キャリア側も盛んに引き留め策をとっており、「変えたくない」というユーザーの方が多数だ。ユーザーの選択と記事は、「優先順位」が必ずしも同じではないのである。

■OSで見ればAndroidが1位
先のランキングを、携帯電話のOS(基本ソフト)という視点で見ると、ほぼ、以下のようになる。1位・Android(アンドロイド=Google)、2位・iOS(アイオーエス=Apple)、3位・Symbian OS(シンビアンオーエス=Nokia)、4位・BlackBerry(ブラックベリー=RIM)。

「ほぼ」と書いたのは、NokiaやHTCはBlackBerry端末も販売しているため、「メーカーのシェアの合計=OSのシェア」とはならないからだ。この点、Appleは自社製のiOS端末(iPhone=アイフォーン)しか販売しておらず、iOS端末はiPhoneだけなので非常に分かりやすいのとは対照的である。

■通信キャリアで見ると
通信キャリアで見ると、Androidは全キャリアから搭載端末が販売されている。KDDIが「Android au」という呼称を使っているため、「auからしか出ていない」と勘違いしているユーザーもいるようだが、NTTドコモ、ソフトバンクともAndroid搭載スマートフォンを販売している。対して、iOS(iPhone)はソフトバンクのみの販売である。米国などでは複数キャリアで販売されているのと、事情が異なる。

■どうなる、iOS
製造メーカーでは1位ながら、OSではAndroidに抜かれているiOS。将来性はどうか。一昔前なら、「iOSを他社にライセンスせよ」、つまり、Apple以外のiOS搭載端末を製造・発売できるようにすべきという意見が新聞をにぎわせたことだろう。だが、これはあり得ない。むしろAppleは、iOSと現行のパソコン用OS、MacOS Xの境界線をなくすことで、ユーザーの囲い込みを維持する方向に動くと思われる。

■長期的にはAndroid優勢か
話を戻そう。一条真人氏の記事にもあるように、Androidは一つの製造メーカーに縛られず、柔軟な開発ができる。近々、Microsoftの新OSである Windows Phone(ウィンドウズ・フォン)を搭載した製品も発売されるが、どこまで追い上げが可能だろうか。

スマートフォン搭載OSとしては、当面、Androidの優位性は動かないだろう。ユーザーとしては、それぞれのキャリアから発売されるAndroid搭載スマートフォンを、安心して選んでよいと思う。ただ、Androidの各バージョン間には微妙な違いがある。可能な限り、最新バージョンを搭載したスマートフォンを選ぶのがよい。

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大島克彦@katsuosh[digi2(デジ通)]

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