中国人民解放軍とインドネシア国民軍は16日、陸軍特殊部隊の合同演習をインドネシア国内で実施した。両国軍の合同演習は初めて。

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 中国人民解放軍とインドネシア国民軍は、陸軍特殊部隊の合同演習をインドネシア国内で実施ししている。両国軍の合同演習は初めて。目的は「特定の国を対象にするのではなく、テロ対策のため」と発表された。複雑な経緯をたどった両国関係だが、このところは接近が目立つ方向で推移している。中国新聞社が報じた。

 中国側からは、陸軍特殊部隊隊員69人が参加した。人質を取って立てこもるテロリスト制圧と人質の解放作戦を想定し、実践的な演習を展開中という。

 同演習の日程は6月4日から18日まで。

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◆解説◆ インドネシア建国の父、初代スカルノ大統領は中華人民共和国に接近した。しかし、1965年にクーデターで政権を握ったスハルト大統領は、反共の方針から中国と厳しく対立。中国系住民の虐殺事件も発生した。両国は1967年に国交を断絶した。

 文化大革命終了後、中国外交にとってインドネシアとの関係正常化は大きなテーマとなったが、国交回復は断絶後23年の1990年になった。最近では両国の友好関係を示す動きが目立つ。

 中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)はこのところ、経済面などで関係を強化する方向で推移してきた。しかしASEAN各国の利害関係や思惑が完全に一致しているわけではない。中国とベトナムは5月以来、南シナ海の領土問題で厳しく対立するようになった。中国はASEAN全体との関係を構築するにあたり、個別の国と綿密な計算にもとづく外交を展開すると考えられる。(編集担当:如月隼人)



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