今年もノーベル賞受賞者が話題になる季節がやってきた。化学賞では日本人学者2名が受賞し、中国でも大きく伝えられた。一方、中国では現在に至るまでまだ生え抜きのノーベル賞受賞者が現れていない。そんな状況について論じた文章が東方網に掲載された。

　文章は冒頭で、今年のノーベル賞候補者の名が次々と挙げられているが、候補者そして受賞者の中に「中国人はいないことだけは間違いない」とした。そして、これまでに華僑の受賞者はいたものの、そのうちの1人である銭永健氏が「私はアメリカ生まれのアメリカ育ちであり、中国の科学者ではない」とのコメントを残したように、中国が直接育て上げた面々ではないことを紹介した。

　また、魯迅の時代に賞があったなら彼は文学賞を獲得していただろうといった話や「経済発展賞」があれば間違いなく中国がその栄誉に浴するだろうといった話が国内にあることを挙げるとともに、ノーベル賞に対する中国人の思いについて「世界最高の賞に対する崇拝とともに、この賞を通じて己を証明する必要に迫られている、そして日本や韓国をはじめとする周辺国が受賞者を輩出していることが関係している」と分析した。

　そして、中国からノーベル賞受賞者が出ない理由はまさに「ノーベル賞がその分野における先導的な地位を確保するための指標」という考え方にあると指摘した。スウェーデン王立工科大学のフルードゥストラーム元学長による「重要なのは興味ある研究を行うこと。受賞者は受賞を意識して研究しているわけはなく、単に好奇心にあふれて喜んで研究に励んでいるのだ」という言葉を取り上げ、「中国の専門家にまさに欠けているのは『研究上の好奇心』『自分の好きな仕事をすること』である」として、功利主義の傾向を批判した。

　最後に、ハイブリッド米の開発に人生のすべてをささげた中国の学者、袁隆平氏を紹介。「ノーベル賞は取れなかったが、人類への貢献はノーベル賞の範囲をはるかに超えるものだ」と評価したうえで、「わが専門家たちが彼のような気概を持ってくれれば、ノーベル賞は中国人に近づいてくるだろう」と締めくくった。（編集担当：柳川俊之）



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