意外なモノから、幽霊の存在を確信した男の話

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人は、科学的に解明されないものを恐れる傾向があります。だから大昔の人は、夜の暗闇が怖かったのだろうし、雷が怖かったのでしょう。しかし現代に住む我々は、夜が決して魔物が支配する世界ではないことを知っていますし、雷は神の怒りの矛ではないことを知っています。科学が発達するにつれ、人は恐怖を克服していることは確かです。しかしながら、やはり昔から恐れられ、そして今でも科学的に解明されていない恐怖の対象があります。そう、幽霊です。
この幽霊、もうすぐ科学的に解明されるかもしれませんよ。今からお話しするのは、偶然にもある科学的装置を使って幽霊を見てしまった男の話である。

その男性・Y氏は、都内を中心に活動している舞台監督である。舞台監督というのは、演劇などのステージにおいて、準備から進行までを一手に取り仕切る、現場の責任者である。そのY氏が昔、某・有名劇団の舞台監督を任された時のこと、看板女優から無理難題を押し付けられたことがあった。

「暗転(照明が消えて暗闇状態)のときに、私がタバコに
火を付ける演技をするから、それを確認したら照明を付けてちょうだい!」


暗闇の中でそんな動きを確認するのは無理な話である。しかし、決して「無理です」とは言えない世界。目上の人間が黒と言えば、白でも黒と言わなければならないのが芸の世界。Y氏は考え抜いた末、暗視スコープを作ることにした。購入すると高いので、自分で部品を組み立てて作ることにしたのだそうだ。 

暗視スコープは、防犯カメラなどでも使われていますが、つまりは赤外線カメラ。人間の目は、赤橙黄緑青藍紫の可視光と呼ばれる波長の光を受け取ることが出来ますが、赤色の光になればなるほど波長が長く、紫の光になればなるほど波長は短くなる。
赤色の光よりも長い波長の光を赤外線と呼び、紫の波長よりも短い波長の光を紫外線と呼ぶ。物質からは光が出ており、その光を人間の目が受け取り、その光の波長に応じて、色を判断しているのである。赤外線カメラは、赤外線領域の光を感知するカメラで、余分な可視光線をカットして透視できます。デジカメのナイトショットなどでも利用されています。

Y氏の暗視スコープは完成した。しかし、そんなものは初めて作ったわけで、とりあえず試運転してみたいと思い、都内で真っ暗闇の所はないかと探したようである。そして見つけた場所は、墓地であった。暗視スコープを覗くY氏。すると… 画面に映ったのは、白く光るものが無数、飛んでいる映像であった。
肉眼では決して見えないが、暗視スコープを通すと見えてくる無数の浮遊物体…。

▼墓場で見た白い浮遊物体は一体何なのか!?
誰もが最初に思うのは、火の玉、つまり霊魂、簡単に言うと幽霊ではないかという疑念であろう。私はこう解釈してみた。
「霊とは、人間の可視光よりも外側の波長の光の世界で存在している、あるいは、可視光の外側の波長の光を見ることが出来る生物には、普通に見えている物質なのではなかろうか?」
例えば猫は、霊が見えていると言われている動物の一つだ。何もない所を避けて歩いたり、何もない所を凝視したりしている。
つまり、人間の目で捉えられる波長とは違う域の波長の光を捉えることができているのでないのか。また、テレビのリモコンを写真で撮ると、リモコンとテレビを繋ぐ白い線が写ることがある。赤外線である。これは、カメラが捉えることができる光の波長が人間のそれよりも広いためである。そう考えると、心霊写真というものが存在するのにも納得できるようになった。

私は、カラオケ屋さんの監視カメラに幽霊が映っているという話を思い出した。なるほど、カラオケ屋さんに設置してあるカメラは赤外線カメラであることが多い。そこで私は、東京都板橋区にある某・カラオケ屋さんの協力を得て、ビデオカメラのナイトショット機能を使った撮影を試みることにした。ちなみにそのカラオケ屋さんは、“出る”と有名なお店である。近くには「五本けやき」と呼ばれるスポットがあり、この五本のけやきの木を切ると呪われるという都市伝説(?)も伝わっている。実際にお客さんから「ここ出るね」と言われたり、誰もいない店内を歩き回る足のない人を見たという店員の話も聞きました。

期待を胸に抱き、夜中の店内にカメラを設置し、4時間ほどの撮影を二日間実行した。
(カラオケボックスの映像)

後日、カメラを回収して中身をチェックしてみた。ナイトショット機能で見る誰もいない店内の映像は、気持ち悪さこの上ない。「壁のシミが人の顔のように見える」「影が動いたように見えた」など、色々気にしながら30分後、ちょっと疲れが出てきた。さすがに、何も動きのない静止動画を見続けるのは辛い。1時間後、ついに2倍速で見ることを決める。気持ちが少し楽になる。それでも辛い。結局、1日目の映像には何も映っていなかった。
二日目、最初から2倍速でチェックする。この時点で私は思った。
「どんなに不況で就職難に陥っても、監視カメラチェック業務だけはやるまい。」
結局、カメラには何も映っていなかった。さすがに3日目を実行する気にはなれなかった。

検証は失敗したが、幽霊の性質は光・波・電磁波といったものであるという想いを、Y氏の話を聞いた私は今でも抱いている。ちなみにY氏が製作した暗視スコープは、今では全国数箇所の劇場で実際に活躍している。

(Photo by a tai.
(Written by 川上ルイベ)

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