世界最速にして世界唯一のトリプルエンジン搭載ブラウザLunascape。ブラウザといえばアメリカという常識を覆し、世界シェア拡大を狙うスタンスは、あのGoogleを彷彿とさせる。ブラウザで「世界平和実現」をめざすLunascape開発の背景を探る。

最終回 
「必ず世界一のブラウザになる」


■99%シェアなんて絶対におかしい

「あのソニーでさえ、マイクロソフトに立ち向かうなんて馬鹿げたことだと判断した可能性が高いですね」

ソニーでLunascape開発を訴えたが結局認められず、近藤氏はソニーを去った。いくらユーザー数が10万人を超えていたとはいえ、敵はマイクロソフトである。それこそI.Eのユーザーが世界中でどれだけいるかと推測すれば、軽く億単位のオーダーになるはずだ。

「マイクロソフトとまともに戦おうなんて、誰も考えもしなかったんでしょうね。でも、私には確信があったんです。人類の歴史を根拠に考えるなら、一つの製品が99%ものシェアを占めているなんて絶対に異常だって。いくら多くても7割ぐらいがリミットでしょう」

ブラウザマーケットは明らかにいびつである。本質的に考えれば、どこかにおかしなところがある。そこを突けば、マーケット状況はガラッと音を立てて変わるはずだ。これが近藤氏の信念となった。

「本質を突き詰めて考えていけば、誰でもこの結論に至るはずなんです。だから必ずチャンスはあると確信していました」

しかも近藤氏のバックには10万人を超えるユーザーがついていたのだ。そのユーザーも、普通のネットユーザーとは訳が違う。新しいバージョンが出れば即座にダウンロードし、数秒後にはレスポンスを返してくるような人たちである。すなわちブラウザに関するイノベーターと考えていい。


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