YouTubeチャンネル「芝浦自転車研究所」が、「【緊急収録】いざ地震、そのとき被災地で自転車が役に立つ。」を公開した。自転車博士こと疋田智氏が、大地震などの災害時に自転車がいかに有用な移動手段となるか、そして被災地支援における自転車の在り方について解説した。

疋田氏はまず、大地震直後は信号停止や道路陥没、渋滞によってクルマが機能不全に陥ることを指摘する。さらに、徒歩では長距離の移動や荷物の運搬が困難であり、あらゆる公共交通機関も完全にストップしてしまう。そのため、「自転車以外はほぼ使えない」というリアルな状況が発生すると説明した。フットワークが軽く、物資の運搬にも適していることから、被災地において「最後に頼れる乗り物は自転車」だと力説した。

動画の中盤では、具体的にどのような自転車が被災地で役立つのかを考察。能登半島地震を機に考案された前方の荷台がフラットなカーゴバイクや、日本初の救急用電動三輪カーゴバイク「STREEK Cargo Trike」などを挙げ、路面状況を問わず柔軟に荷物や人を運べる構造の重要性を解説した。一方で、被災地外から寄せられる善意の「中古のママチャリ」については、輸送時や現地ですぐに故障してしまうケースが多く、結果的に「新たなゴミ問題を生み出したりもしました」と、東日本大震災時の教訓を語った。

対照的な支援の成功例として、2011年に台湾の世界的自転車メーカー・GIANT社から贈られた1000台の特別なマウンテンバイクを紹介した。当時のキング・リュー社長が自社の製造ラインを即座に止め、悪路を走れるブロックタイヤや荷台を備えた「震災復興特別仕様車」の新品を無償提供したというエピソードを披露。サドルに保護用のビニールが巻かれた真新しい自転車を受け取った被災者が「我々はまだ見捨てられてない」と涙を流した光景を感慨深く振り返った。

地震という非常時において、機動力の高い自転車がいかに頼もしいライフラインとなるか、そして真に求められる支援のあり方とは何か。災害大国に住む私たちにとって、いざという時の移動手段や物資運搬の備えについて深く考えさせられる内容となっている。

チャンネル情報

自転車ハカセ・自転車ツーキニストの疋田智です。デビュー作『自転車通勤で行こう』(WAVE出版・1999年)からはや四半世紀、ずーっと自転車のことばかりを考え続けて生きてきました。自転車関連の著書は約30冊、自ら発行するメールマガジンは1000号を超え「CYCLE SPORTS」誌をはじめ雑誌連載も色々と複数継続中です。