【那須・宝島さん夫婦殺害・死体遺棄】「娘婿に脅されて…」指示役の男が法廷で明かした杜撰な「計画」

写真拡大 (全6枚)

指示役が語った真実

’24年4月に栃木県那須町で東京・上野で飲食店を経営していた夫婦の焼死体が見つかった事件で、殺人、死体遺棄・損壊の罪に問われている佐々木光被告(30)と平山綾拳被告(27)の裁判裁判が6月24日、東京地裁で開かれた。

「殺害された宝島龍太郎さん(当時55)と妻の幸子さん(同56)は上野のアメ横で飲食店14店舗を経営しており、系列店が並ぶ通りは“宝島ロード”と呼ばれていました。ところが、経営を巡って不満を募らせた宝島さん夫妻の長女・宝島真奈美被告(33)と内縁の夫・関根誠端被告(34)は夫妻の殺害を計画。

佐々木、平山両被告は実行犯を集めて指示を出す役でした。彼らから指示を受けた若山耀人被告(22)と姜光紀被告(22)が殺害を実行。遺体を運搬し、焼いた死体損壊罪にも問われています。殺害現場となった空き家を準備した前田亮被告(38)を合わせた計7名が逮捕されています。事件の残虐性に加え、若山被告が人気ドラマに出演経験のある元俳優だったのでセンセーショナルに報じられました」(全国紙社会部記者)

起訴状などによると’24年4月15日の夜、関根被告と前田被告が物件を紹介するふりをして宝島さん夫妻を東京・五反田の空き家のガレージに誘い、そこで待機していた若山被告と姜被告が電気コードで夫妻の首を絞めるなどして殺害し、夫妻の遺体を那須町まで車で運んで燃やしたという。

6月22日の初公判で佐々木被告は起訴内容を認めたが、平山被告は「事件に関わったのは事実だが、指示されたことによる」と幇助(ほうじょ)であることを主張し、起訴内容を一部否認した。

続く24日に行われた公判では被告人質問が行われ、佐々木被告は関根被告と出会ってしまったことを後悔し、怒りを滲ませた。

入廷した佐々木被告は黒とグレーのツートンカラーのジャージを着用。逮捕時は金髪で強面だったが、背を丸めて歩く姿は弱々しく見えた。対照的に平山被告は黒のスーツに紺色のネクタイを締め、そのガッシリとした体躯(たいく)には威圧感があったが、公判中ずっと背筋を伸ばしており、入廷、退廷するたびに深々と頭を下げる姿が印象的だった。

証言台の席に着くと、佐々木被告は弁護人の質問に答える形で事件の真相を語り始めた。以下、弁護人と佐々木被告のやり取りの要約である。

「家族を同じ目に遭わせる」と脅されて

佐々木被告が地元・福岡から上京したのは’24年2月。福岡県の飯塚市で友人と飲食店を経営していたが、友人がヤクザとトラブルになり、わずか半年で店を閉めることになった。その後、福岡市の繁華街・中洲で呼び込みを行うキャッチの仕事をしていたが、知人の誘いを受けて上京。上野でキャッチをするようになる。「上野界隈を牛耳ってる人だから」と知人から紹介されたのが、関根被告だった。

関根被告は全身にタトゥーが入っており、人を寄せつけない風貌で、佐々木被告は圧倒された。「立場が上の人だ」と直観的に感じ、すぐに主従関係が出来上がったという。上野の路上で会うたびに小突かれたり、ちょっかいをかけられ「嫌だなと思ったけど、逆らうと上野で仕事ができなくなると思った」と愛想笑いをするしかなかった。

同年4月、佐々木被告は関根被告から報酬500〜600万円で「死体を処分してくれる奴はいないか?」と持ちかけられ、断ろうと思ったが――。

「(関根被告から)家族のことを言われました。依頼を断ると『同じ目に遭わせる』と言われました」

家族に危害が及ぶことを恐れ、断れなかった佐々木被告は平山被告に話を持ちかけた。平山被告とは、上京してすぐの’24年2月に渋谷のクラブで知人から「(平山被告は)住吉会系の暴力団員だ」と紹介されていた。平山被告のほうが年下だが暴力団員だと思い込んでいた佐々木被告は敬語で接した。平山被告はタメ口だったというが、佐々木被告から依頼されると「探してみます」と敬語で返答。平山被告のクラブ仲間である若山被告と姜被告に白羽の矢が立った。

佐々木被告が「実行役が見つかった」と伝えると、関根被告は報酬を1500万円に引き上げたうえで「殺害からやってほしい」と依頼を変更。

条件変更を佐々木被告から伝え聞いた平山被告は「デカいですね。やります」と答えたという。この頃には平山被告は佐々木被告に対して敬語で話すようになっていた。

実行役をリクルートしたことで自分の役目は終わったと思っていた佐々木被告だったが、関根被告から「平山と連絡を取れ。俺の名前は出すな」と言われ、指示役を任されることになった。この際も関根被告は佐々木被告の家族の名前を出し、「(言うことを聞かないと)同じ目に遭わせるぞ」と脅している。

「なぜ家族の名前を知っていたのか分かりません」

佐々木被告は底知れぬ恐怖を感じたという。

杜撰な計画

一方で、犯行計画は極めて杜撰(ずさん)なものだった。当初の計画は、上野の路上で宝島さん夫妻を襲うというもの。関根被告の計画は「路上で2人を車でハネてほしい」「2人が宝島ロードを自転車で移動する時に引きずり降ろして首を絞めてほしい」といった人目につくものばかりで、佐々木被告は「杜撰(ずさん)だなと思いました」と呆れたように振り返っている。

平山被告が「密室を用意できないか」と提案し、前田被告が五反田(東京・品川区)にある空き家を用意。関根、前田両被告が宝島さん夫妻をガレージへ誘い込む計画に変更した。

遺体を運ぶ際にレンタカーを使用すると足が付くため、盗難車を使うよう関根被告に指示されたが盗難車は用意できず、結局、平山被告の車を使用している。遺体を遺棄する場所も見つけられなかったため、関根被告が「俺たちの土地だから」栃木県那須町の土地を遺棄場所として指示した。

「6月23日の公判で検察証人として出廷した栃木県警の刑事は『(犯人は)栃木に土地勘がないと思った。地元の人だと見つかりやすい場所ですから』と証言しています。防犯カメラには平山被告の車のナンバープレートがしっかり映っており、すぐに不審車として浮上しました」(全国紙司法担当記者)

’24年4月16日に遺体が発見され、夕方にはニュースで報道されることになった。関根被告は佐々木被告を呼び出し、

「処分し切れてないじゃん! 実行役を出頭させろ!」

とわめき散らしたという。

平山被告は「分かりました」と答えるも若山被告と姜被告はすでに逃亡。関根被告は「平山を出頭させろ」と佐々木被告に伝え、

「自分の後輩たちの責任で見つかったので自分が出頭します」

と平山被告は応じたという。

翌4月17日早朝、平山被告と佐々木被告が合流。佐々木被告は、平山被告が出頭する姿を見届けた。その後、関根被告から「東京から離れろ」と命令され、地元・福岡を経て沖縄に逃走。最終的に沖縄で逮捕されている。佐々木被告は車の清掃代、携帯電話の機種変更代などとして100万円を関根被告から受け取っていたが、裁判では、

「殺害場所の清掃などの経費として受け取った。報酬ではない」

と説明。平山被告との関係についても「目上だと思っていました」と再度述べ、自身は主導的な立場になかったと主張。

「(関根被告の依頼を)断るか逃げるべきでした。2人の尊い命を奪ったことに後悔と反省があります」

と涙を流した。逮捕後は般若心経の写経を毎日行っており、すでにノート10冊以上に達しているという。関根被告については、

「事件に巻き込んだことに苛立ちを覚えます」

と瞳に怒りを宿らせ、関根被告が一貫して犯行を否認していることについては強い口調でこう述べた。

「怒りを覚えます」

現在、関根被告は、東京拘置所に勾留されているが、同日に東京地裁で勾留理由を明らかにする手続きも行われている。出廷した関根被告は、

「私は誰とも共謀していませんし、絶対に私は無罪です」

と語っている。

佐々木被告の証言を、口を真一文字に結んで聞いていた平山被告が次回の公判でどんな証言をするのか。注目が集まる。