中古一戸建てを内見する際、多くの人は「室内の綺麗さ」や「間取り」に目を奪われがちです。しかし、実はその建物が抱える致命的な欠陥リスクは、家の中に入る前の「庭や外回り」にしっかりと現れています。
今回は、建築士・ホームインスペクターである、さくら事務所取締役の友田雄俊さんと、不動産エージェントの村田洋一さんが、プロが内見時に必ずチェックしている外回りのサインと、見落としがちな敷地のリスクについて解説します。

■ 1. 境界の塀や擁壁、さらには「水道メーター」までが調査対象
一般的な「建物状況調査」では建物本体しか見ませんが、さくら事務所のインスペクションでは、敷地全体のリスクを洗い出すために外回りも広くチェックします。
・塀や擁壁(ようへき)の所有権と安全性 敷地境界にあるブロック塀や擁壁が「自分の持ち物」なのか「お隣のもの」なのかで、将来の修繕義務が変わります。特に古くなった擁壁のやり替えは、場合によっては数百~数千万円規模の費用がかかるため、ひび割れや傾きがないかの確認は不可欠です。
・水道メーターの「くるくる」をチェック 家の中で誰も水を使っていない状態で、外にある水道メーターのパイロット(くるくる回る部品)が動いている場合、敷地内のどこかで目に見えない水漏れ(漏水)が起きている強力なサインになります。

■ 2. 庭の放置された木材と雑草が「シロアリ」を引き寄せる
シロアリは大気や紫外線に弱いため、土や唾液を混ぜて「蟻道(ぎどう)」と呼ばれるトンネルを作って床下に侵入します。このリスクを庭の状況から予見することができます。
・DIYの端材や木くずの放置に注意 庭に木材が置きっぱなしになっていると、それがシロアリを呼び寄せる絶好の餌(罠)になってしまいます。
・雑草の生い茂りは発見を遅らせる 基礎のまわりに雑草が生い茂っていると、プロでも蟻道を見落としやすくなります。売主自身も気づいていない可能性が高まるため、庭の管理状態はリスクの程度を測る目安になります。
※ちなみに、鉄筋コンクリート(RC造)のマンションでも、内装の下地には木材が使われているため1階などはシロアリ被害に遭うことがあります。また、外来種の「アメリカカンザイシロアリ」は飛来するため、上の階や屋根裏が被害に遭うケースもあります。

■ 3. 建物とコンクリートの「隙間・段差」は地盤沈下のサイン
建物の傾きを正確に知るには室内での計測が必要ですが、外回りを見るだけで「どちらの方向に傾いているか」の当たりをつけることができます。
・構造と切り離されたコンクリートに注目 建物のまわりに打たれたコンクリート(犬走り)や、駐車スペースのコンクリートは、建物本体の構造とは切り離されています。
・隙間や段差、亀裂のチェック もし建物本体と地面のコンクリートの間に不自然な隙間が開いていたり、左右で詰まり方が違っていたりする場合、地盤沈下によって土地ごと傾いている傾向を示しています。周辺の地形(高低差)なども一歩引いて俯瞰することが重要です。

■ まとめ:建物だけでなく「敷地全体」を俯瞰して、隠れたリスクを見抜く
・外回りのトラブルは巨額の修繕費に:シロアリ被害の拡大や地盤沈下、擁壁の劣化などは、放置すると将来的に数百万円から数千万円規模の想定外の出費を招き、人生設計を狂わせかねません。
・内見時は「一歩引いて俯瞰する」意識を:どうしても室内ばかりに注目しがちですが、庭の管理状態やコンクリートの隙間、周辺の地形など、室内に入る前の「外回りの違和感」にこそ重要なヒントが隠されています。
・判断が難しい境界や地盤はプロの目へ:一般の方では判断が難しい擁壁の安全性や、敷地全体の傾きの傾向、目に見えない漏水などは、専門知識を持つプロに見てもらうのが安心につながる有効なアプローチです。
中古住宅選びで失敗しないためには、建物という「点」だけでなく、敷地や周辺環境という「面」で捉える視点が欠かせません。表面的な綺麗さに惑わされず、株式会社さくら事務所のようなホームインスペクションで客観的にチェックしてもらい、敷地全体に潜むリスクを正しく把握した上で、納得のいく安心な住まいづくりを進めていきましょう。

チャンネル情報

さくら事務所は「人と不動産のより幸せな関係を追求し、豊かで美しい社会を次世代に手渡すこと」を目的として、創業者・現会長の長嶋修が設立した、中立・公正な業界初の個人向け総合不動産コンサルティングサービス企業です。