リールが20日、チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦で、マンチェスター・ユナイテッドをホームに迎え、0−1で敗れた。

 試合は前半、ルーニーを中心にマンUが押す展開。リールは引き気味でカウンターを狙う作戦に出た。両チーム無得点で迎えた後半11分、FWのフォベルグに代えてカバイを投入したリールがラインを上げて猛攻を仕掛け、ボールを支配。その直後、左DFタフォローのセンタリングをオデンウィンギエが頭に合わせ、ゴールネットを揺らした。しかしゴールは無効。主審はオデンウィンギエが相手DFを倒したと判断した。

 押され気味になったマンUは後半38分、ゴール前20メートルの地点でフリーキックを得ると、ボールを素早くプレース、ギグスががら空きのゴールに蹴り込んで先制した。リールは壁をつくっている最中で、GKのシルバは右ポストでまだ指示を出していた。リールの選手は、得点後のキックオフをタッチに蹴りだし、ピッチを出て第四審判に抗議、試合は混乱に陥った。スタジアムにブーイングが渦巻く中、試合は再開したものの、間もなくゲームセット。後味の悪い幕切れとなった。

 フランスのスポーツ紙「レキップ」は翌朝の一面で、フリーキック(coup franc)にかけて、「正直(franc)でないキック」との見出しを掲げ、健闘したリールの不運をクローズアップした。

 ルール上、フリーキックは主審の同意があれば、ホイッスルなしで素早くプレーしていいことになっている。プレミアリーグでは、ティエリ・アンリ(アーセナル)が過去に2回ほど相手の隙をつくフリーキックで得点している。しかしフランスでは、ゴール前のフリーキックで主審のホイッスルを待たずにプレーを再開するのが一般的でないどころか、早く蹴りすぎて警告を受ける場合すらある。