【厚生労働省】公的年金の在り方巡り、衆院選で与野党攻防
10月27日投開票の衆院選では、5年に1度の制度改正期を迎える公的年金の在り方が争点の一つとなっている。
厚生労働省は来年の通常国会への関連法案提出を目指し、昨年から少子高齢化で長期に渡って年金額の目減りが予測される将来世代への対策や、パート労働者が手取り収入の減少を避けて就労時間を抑える「年収の壁」問題の解消策を議論。各党の公約でもこれらの課題への対応策が掲げられた。
各党は、年収の壁問題の解消策の一つである「給付が手厚い厚生年金の加入対象拡大」ではほぼ一致。争点は少子高齢化が続く中で年金制度をいかに持続させるかに絞られた。
自民党は、「基礎年金の受給額の底上げ」を強調。具体策には触れられていないが、財源が豊富な厚生年金の積立金と国費を投じて将来世代の基礎年金額を底上げする案を念頭に置くものとみられる。厚労省でも検討しており、幹部は「この改革を見送ると、さらに5年間現在の高齢世代に年金が過大支給され、将来世代の年金が先細りする」と危機感を募らせる。
ただ、自民党の描く基礎年金底上げ案は約10年後、年2兆円超の国費支出を前提としているため、「間違いなく消費税か所得税の増税が必要となる」のがネックだ。石破茂首相は選挙戦で消費税率引き上げについて「当面考えていない」と言明しており、公約を実行すると野党から発言の整合性を問われる可能性がある。
一方、立憲民主党も低年金対策を意識した公約に言及。低所得者の年金に一定額を上乗せ給付する制度の創設を主張している。共産党は年金額を実質目減りさせる仕組みの凍結や撤廃を訴えた。日本維新の会は世代間格差が生まれない財源の積み立て方式への移行を打ち出した。
先の厚労省幹部は「衆院選後の政治情勢にもよるが、急ピッチで制度改正の作業を進めて年内には政府案を取りまとめたい」と話している。
BNPパリバ証券チーフエコノミスト・河野龍太郎の提言「ポスト岸田の経済課題」
厚生労働省は来年の通常国会への関連法案提出を目指し、昨年から少子高齢化で長期に渡って年金額の目減りが予測される将来世代への対策や、パート労働者が手取り収入の減少を避けて就労時間を抑える「年収の壁」問題の解消策を議論。各党の公約でもこれらの課題への対応策が掲げられた。
各党は、年収の壁問題の解消策の一つである「給付が手厚い厚生年金の加入対象拡大」ではほぼ一致。争点は少子高齢化が続く中で年金制度をいかに持続させるかに絞られた。
自民党は、「基礎年金の受給額の底上げ」を強調。具体策には触れられていないが、財源が豊富な厚生年金の積立金と国費を投じて将来世代の基礎年金額を底上げする案を念頭に置くものとみられる。厚労省でも検討しており、幹部は「この改革を見送ると、さらに5年間現在の高齢世代に年金が過大支給され、将来世代の年金が先細りする」と危機感を募らせる。
ただ、自民党の描く基礎年金底上げ案は約10年後、年2兆円超の国費支出を前提としているため、「間違いなく消費税か所得税の増税が必要となる」のがネックだ。石破茂首相は選挙戦で消費税率引き上げについて「当面考えていない」と言明しており、公約を実行すると野党から発言の整合性を問われる可能性がある。
一方、立憲民主党も低年金対策を意識した公約に言及。低所得者の年金に一定額を上乗せ給付する制度の創設を主張している。共産党は年金額を実質目減りさせる仕組みの凍結や撤廃を訴えた。日本維新の会は世代間格差が生まれない財源の積み立て方式への移行を打ち出した。
先の厚労省幹部は「衆院選後の政治情勢にもよるが、急ピッチで制度改正の作業を進めて年内には政府案を取りまとめたい」と話している。
BNPパリバ証券チーフエコノミスト・河野龍太郎の提言「ポスト岸田の経済課題」