さらに特筆すべきは、ステージの後方に置かれたモニタースピーカーの存在だ。キャラごとのモニタースピーカーにはそれぞれ名前が書かれており、近づくとそのキャラが演奏している楽器の音が大きくなっていく。
これこそ、こうしたイベントでなければ体験できないアーティスト側の音であり、ステージ上の彼女たちの耳に入っている音そのものだ。そうした音を、演奏者と観客の双方の視点から楽しむことができることこそ、本イベントの見どころ(聴きどころ?)であった。

アニメにしか存在しなかったはずのキャラクターたちが、こうして三次元上のスタジオに登場する。姿こそ見えないけれど、観客一人ひとりの心にはたしかに<結束バンド>の面々が現れていたはずだ。
今回のイベントは大好評のうちに完売となってしまったが、ヤマハ担当者へのインタビューによると、こうした試みは今後も続けていく予定だそうだ。またの機会をぜひお見逃しなく。

>>>ライブの様子などの関連画像をみる!(画像19点)

■ヤマハ技術担当者インタビュー

――今回のイベントにおいて、音の面でこだわった点などがあれば教えてください。

技術担当 「結束バンド」は作中の設定としてはアマチュアなんですけど、(実際に演奏しているのは)ゴリゴリのプロの方々なので(笑)、その方々の迫力ある演奏をそのまま再現できるように取り組ませていただきました。

――具体的にはどういったところをこだわったのでしょうか?

技術担当 細かいギターのピッキングのニュアンスであったりとか、ドラムの強弱といったニュアンスまで出せるように取り組んできました。

――ヤマハではコラボアーティストの映像とともにライブを再現する「Real Sound Viewing」が実施されていますが、これらをアニメーションと一緒にやるといったことは考えているのでしょうか?

技術担当 ぜひそこはやっていきたいと思っています。
今回はトライアルのような形で、音楽だけ、かつ楽曲も一曲だけでしたが、(こうした取り組みは)アニメなどのコンテンツのキャラクターをリアル世界に来れるようにするための大きな技術になると思います。
『けいおん!』『BLUE GIANT』『BECK』など、音楽マンガ・音楽アニメには名作がたくさんあるので、それらがリアルの世界に来れる仕組みをこれから作っていきたいと思います。そのときには姿がちゃんと見えていてほしいというのはとても思っています。

――最後に、今回はチケットが売り切れてしまっていますが、こうした試みが今後もあったときに、こういった楽しみ方をすると一層楽しめるといったポイントはありますか。

技術担当 今回はコンセプト的にステージの中音(なかおと)を楽しんでいただくというところでニーズを絞ってやらせていただきましたが、最終的には普通のライブと同じようなところまで持っていきたいです。
満員のお客さんが好きなキャラクターのライブを見ながらみんなで盛り上がることができたらベストですね。

取材協力:ヤマハ株式会社