鍛える前に「ゆるめる」! 筋トレ効果も身体の調子もグーンと上がる「お手軽ストレッチ&体操」9選
75歳を超えてなお現役の武術家・運動科学者として活躍中の高岡英夫氏は、いまでも毎日トレーニングを欠かさない。だが、トレーニング以前に高岡氏が大切にしているのが、身体を「ゆるめる」ということだ。ゆるんでいなければ、どんなに鍛えても身体のパフォーマンスは向上しないからである。数ある「ゆるめる」方法のうち、ここでは特に取り組みやすいものを、高岡氏の著書『レフ筋トレ 最高に動ける体をつくる』より紹介しよう。
体操とストレッチで日ごろからゆるめておく
正しく優れたパフォーマンスを発揮するには十分な筋力が必要ですが、同時にその筋肉を含む全身が「ゆるゆる」に緩(ゆる)んでいなければいけません。普段からゆるんでいるからこそ、いざというときに最高のパフォーマンスを発揮することができるのです。
この記事では、普段から身体を「ゆるゆる」に保つためにできる基盤となるメソッドを紹介します。具体的には、身体の部位ごとに基本的な「ルースニング(ゆる体操)」とストレッチを行います。その多く(とくに、ゆる体操)はこれまで数々の媒体で発表してきましたが、ここで特におすすめしたい運動を改めて紹介します。
必要に応じて取り組むというかたちでも構わないのですが、すべてを毎日行うと、筋トレや筋肉だけでなく、自己の本質がレフ化して健康になり、脳の活動も素晴らしく向上してくるのでとてもおすすめです。
ハンド・アーム ルースニング
(1)手の擦緩法
手のひらを擦り合わせます。「ゆるむように」「ときほぐれるように」「気持ちよく」と言いながら、手の皮膚、筋肉、骨と徐々に意識を深めつつ、手を斜めにしたり、手首を返したり、さまざまなアングルで行いましょう。その後、一方の手のひらでもう一方の手の甲を擦ります。
(2)手首の揺緩法
「プラプラ」と言いながら左右の手首をゆすり動かして、ゆるめときほぐします。手首の三次元的運動ですが、上達してくると上腕・肩甲骨・肋骨のほうまでゆるんできます。手の擦緩法を行ってからやるとさらに効果的です。
(3)肘抜き擦緩法
「ゆるむように」「ときほぐれるように」「気持ちよく」と言いながら、右の手のひらで左肘を真上から擦ります。次に「(力みが)抜けるように」と言いながら左肘の外側を擦ります。さらに、「(意識が)通るように」と言いながら左肘の内側を擦り、右肘も同様に行います。
フット・アンクル ルースニング
(1)足首交叉擦緩法
両脚を真正面に伸ばして座り、上半身を肘を脱力して伸ばした(肘抜き)状態の両腕でささえた「長座腕支え」の姿勢をとります。この状態から右足首を左足首の上に乗せて、右足の小指の外側を、左足の小指の足裏側からひっかけるようにクロスさせます。右足を前後に動かして「ゆるむように」「ときほぐれるように」と言いながら左足首を擦りましょう。反対の足も同様に行います。
(2)足内旋擦緩法
長座腕支えの状態から、右の足の裏を左足の甲に内向きに重ねます。そして「ゆるむように」「ときほぐれるように」「気持ちよく」と言いながら右足を動かし、右足裏で左足を擦ります。右膝関節を左膝関節にかぶせるように行うと内転筋が利いて、さらに効果的です。反対の足も同様に行いましょう。
ショルダー ルースニング
(1)肩関節まわり擦緩法
左右の肩甲骨を肋骨からはがしてできるだけ前へもっていき、右手で左肩を包むようにとらえます。そして、「ゆるむように」「ときほぐれるように」「気持ちよく」と言いながら右手で左の肩関節まわりを擦りましょう。反対の肩も同様に行います。
(2)肩肋回解法
肋骨の上部を左右の手で擦ります。次に擦った肋骨上部と肩関節を回しますが、肩関節が「前→上→後ろ→下」へ、肋骨上部が「後ろ→下→前→上」というふうに、対称的な動きになるように回してください。回すとき、体幹の中段部分は必ず格定しましょう。
ニー・レッグ ルースニング
(1)下腿膝擦法
あお向けに寝て両膝を90度に立てます。右のふくらはぎを左膝に乗せ、全身をダラーとさせたまま、右ふくらはぎを前後に動かしましょう。右脚のアキレス腱の上端から膝裏までを、左膝でこすりながらときほぐします。反対の脚も同様に行います。
(2)膝クル
写真(2)のように腕枕をして横向きに寝ます。股関節を30度曲げ、さらに膝を曲げて下腿が体軸と平行になるようにします。そのまま右脚と左脚の膝を重ねて擦り合わせます。上になっている右膝を前回りさせましょう。終わったら反対側を向いて同様に行います。
続きは<固まった背中や下半身が気持ちよ〜くゆるむ…運動科学者が今でも欠かさず行う体操「ルースニング」とは何か>ヘ続きます。