日本で最大規模の獣害事件として知られる「三毛別羆事件」の発生地点は、「復元地」として当時の開拓小屋と、小屋を襲ったヒグマの姿が再現された観光スポットとなっています。現地の直前までGoogleストリートビューで見ることが可能ですが、空気感は現地に行ってみないとわからないものがあるはずということで、現地に行ってみました。

三毛別羆事件復元地 | 商工労働観光課 | 北海道苫前町

http://www.town.tomamae.lg.jp/section/shokouroudou/lg6iib0000000ls1.html

三毛別ヒグマ事件の概要 | 商工労働観光課 | 北海道苫前町

http://www.town.tomamae.lg.jp/section/shokouroudou/lg6iib00000009m4.html

「三毛別(さんけべつ)羆(ひぐま)事件」は大正4年(1915年)12月9日・10日にかけて発生した獣害事件です。場所は北海道北西部の苫前郡苫前村(現・苫前町)で、現地は苫前町により「三毛別羆事件復元地」として再現されていて、経路にあたる道道1049号線には「ベアーロード」の名がつけられています。

今回は苫前町の古丹別バスターミナルを拠点として、「ベアーロード」を南下して復元地へ向かいました。



古丹別バスターミナルは1987年に国鉄羽幌線が廃止されてバスに転換されたのに伴って整備されたもの。



道路沿いの建物にはこのように、熊の親子連れを描いた「ベアーロード」の看板が掛かっているところがありました。



別デザインの「ベアーロード」看板。



ベアーロードは三毛別川に沿って、時に川を橋で渡りつつ上流へと向かっていきます。行程の半分を過ぎたあたりで進行方向左手にあるのが「三渓神社」。



境内に「熊害慰霊碑」があり、犠牲者となった7名の名前が刻まれています。



開拓の周年記念碑もありました。



行程のおよそ3分の2ぐらいのところで三毛別川を渡る橋は「射止橋(うちどめばし)」。



場所はここ。

橋の南側には「現地まであと5km」とともに「射止橋」が「巨羆射殺で最初の被弾地点がこの橋の付近」であることに由来している旨が書かれていました。なお、ここでベアーロードは三毛別川と分かれ、支流のルペシュペナイ川沿いを走ることになります。



「現地まであと2km ようこそ羆嵐へ」の看板。



先ほどの看板の少し先に「三渓ゲート」が設けられていて、冬季などは通行止めになります。



ゲートより先には農地が1カ所あるほかは目的地の「三毛別羆事件復元地」しかありません。



いよいよ復元地の入口。ここまで2車線だった道路が1車線になり非舗装路になります。なお、駐車スペースはこの奥にあります。



まっすぐ進むと進路を封鎖するゲートが見えてきます。この右手側が駐車スペース。



古丹別バスターミナル前から復元地まで、ベアーロードを走る前方展望映像はこんな感じ。途中で信号はなく、およそ20分少々で到着します。

【前方展望】古丹別バスターミナル前からベアーロード経由で三毛別羆事件復元地まで - YouTube

現地概観。人家からはかなり離れており、鳥の鳴き声や風にそよぐ葉の音ぐらいしかありません。



現地でどんな音がするのかは以下のムービーだとよくわかるはず。

三毛別羆事件復元地の現地風景 - YouTube

現地案内図と、事件のあらまし。被害者の中には臨月の婦人も含まれ、「腹破らんでくれ」「のど喰って殺して」と叫んだというエピソードも記されています。



案内図のすぐそばにこのようなクマの像が置かれています。造形はそれほどリアルなものではないのですが、視界の端に一瞬捉えた瞬間はかなりビビりました。



案内図の順路に沿って現地を見ていきます。これは事件跡地の碑。



平成2年(1990年)に苫前町と三渓部落会が建立したもの。



開拓小屋が復元されています。



そして、小屋を襲うヒグマの像。身の丈は2.7m、体重は340kgという個体だったそうです。



小屋の中も再現されています。なお、内部に苫前町が来訪者調査のための「来訪者受付簿」を設置しているので、訪問時はぜひ記帳してください。



木橋を渡ると「くま穴」があります。



「ひぐまのひっかき傷」。



なお、動画撮影時は現地の空気感がわかるように静かにしていますが、現地はヒグマ出没の可能性もある場所なので、音が出るものを携帯してヒグマが寄ってこないように対策を心がけてください。

開設期間は例年5月上旬から10月末で、2024年は閉鎖済み。2025年も5月上旬オープン予定ですが、雪解け次第で開設が遅れることがあるとのことです。

「三毛別羆事件」についてはWikipediaの当該記事のほかに、吉村昭氏による「羆嵐(くまあらし)」や、木村盛武氏による「慟哭の谷」が詳しく扱っています。

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