『ライオン・キング:ムファサ』新曲を担当するリン=マニュエル・ミランダ「リメイクでも続編でもない、オリジナル」の自負
1994年にアニメーション映画として誕生した『ライオン・キング』。壮大なアフリカの大地を舞台に、“生命”をテーマに描かれたこの一大叙事詩は、映画、演劇、音楽の分野で頂点を極め、世界中のファンを楽しませてきた。
【動画】劇中歌「BROTHER」が入った予告編
2019年には、超実写版『ライオン・キング』が公開され、ディズニー実写映画として最大のヒットを記録。その第2弾となる『ライオン・キング:ムファサ』が12月20日より公開される。
『ライオン・キング:ムファサ』について、「一番強調すべきなのは、これがオリジナル作品だということです。リメイクでも続編でもありません。私たちが知っている『ライオン・キング』の世界のすべての出来事の前に起こるオリジナル・ストーリーなのです」と語るのは、音楽を担当したリン=マニュエル・ミランダ。
ミランダはトニー賞で11部門を制覇し、ピューリッツァー賞 劇文学部門を受賞した『ハミルトン』(2015年)などの作品で知られており、ディズニーでは『モアナと伝説の海』(16年)や実写版『リトル・マーメイド』(23年)に携わった。音楽と物語を結びつけ、多くの人の心を揺さぶる作品を生み出すことに長けたソングライターだ。
『ライオン・キング』といえば、1994年の映画でエルトン・ジョンが作曲し、ティム・ライスが作詞を担当した「Can You Feel the Love Tonight」や「Circle of Life」などが有名。全体の音楽はハンス・ジマー(『グラディエーター』、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ)によって作曲された。
ミランダは「僕が『ライオン・キング』を初めて知ったのは映画ではなく、その予告編でした」と振り返る。
「それは普通の予告編ではなく、映画の最初の4分間でした。赤い朝日が昇り、『♪ナアアア〜』という声が響き、『Circle of Life』が流れました。そして画面が黒くなり、『ライオン・キング』と表示されたのです。それは映画史上最も成功したマーケティングだと思います。『これが最初の4分間です。続きは映画館で』という感じでした。それでみんな、『続きを見なくては』と思ったのです。
これまで観てきた『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』といったアラン・メンケンの素晴らしいミュージカル映画とは全く異なるものでした。アフリカの動物たちの世界では、登場キャラクターは捕食者と獲物の関係にありながらも、“サークル・オブ・ライフ”と呼ばれる大きな環境的バランスが存在します。それは私たちの現実世界よりも美しい世界だと感じます。映画を観ている間、その世界に浸って、離れてはまた戻りたくなるのです」。
そんな『ライオン・キング』の新作に音楽を提供することになったミランダを奮い立たせたのは、『ライオン・キング:ムファサ』の物語だった。
「脚本を読んで一番うれしかったのは、この映画に登場するのが、スーパーパパ(最高の父親)であるムファサではなく、幼少期のムファサだということです。彼は孤児で、タカの家族に養子として引き取られ、右往左往しています(笑)。映画史上最も偉大な父親の一人として知られる彼が、まだ自分自身を模索している姿を書くのはとても面白かったです。まるで両親の若い頃のホームビデオを見て、彼らも自分の親になる前は何もわかっていなかった、と気づくようなものでした。ムファサが王になる前、全てを理解する前の姿を描くこの物語は、1994年のオリジナル映画で描かれたムファサ像を完全に覆し、彼への新鮮な視点を与えてくれるものでした」。
さらに、舞台版『ライオン・キング』で音楽を手がけたレボ・Mとマーク・マンシーナの協力を得ることで、プロジェクトへの決意が固まったという。
「ブロードウェイ版はアフリカやアフリカン・ディアスポラ(故郷や祖先の地であるアフリカを離れて暮らす人やコミュニティー)の音楽を加えてオリジナル映画を見事に発展させたと思います。レボ・Mとマーク・マンシーナが手がけた『He Lives In You』は、オリジナル映画にあったと勘違いされることが多いのですが、実は舞台版のために作られた楽曲です。彼らの協力が得られれば、自分が求める音楽を『ライオン・キング』の世界になじませられると思いました。それが作品を手がける上で“イエス”と答えた理由の一つです。彼らと一緒に仕事ができたことを誇りに思います」。
『ライオン・キング:ムファサ』では、予告編で一部を聞くことができる劇中歌「BROTHER」をはじめ、ミランダが手がけた楽曲とともに、数々のミュージカルシーンが繰り広げられる。
「あるシーンで、僕はハンス・ジマーのスコアを3秒ほど引用しました(笑)。『♪ダダダ〜』(ジマーのスコアを口ずさみながら)の後、離れていきます。厳密にはネタバレです。ディズニー、申し訳ありません。でも、映画全体で1回だけです。ジマーのリフを引用したのはその一箇所だけです」と、イースターエッグを明かしつつ、新曲で観客に新たな感動を与えることへの自信をのぞかせていた。
【動画】劇中歌「BROTHER」が入った予告編
2019年には、超実写版『ライオン・キング』が公開され、ディズニー実写映画として最大のヒットを記録。その第2弾となる『ライオン・キング:ムファサ』が12月20日より公開される。
ミランダはトニー賞で11部門を制覇し、ピューリッツァー賞 劇文学部門を受賞した『ハミルトン』(2015年)などの作品で知られており、ディズニーでは『モアナと伝説の海』(16年)や実写版『リトル・マーメイド』(23年)に携わった。音楽と物語を結びつけ、多くの人の心を揺さぶる作品を生み出すことに長けたソングライターだ。
『ライオン・キング』といえば、1994年の映画でエルトン・ジョンが作曲し、ティム・ライスが作詞を担当した「Can You Feel the Love Tonight」や「Circle of Life」などが有名。全体の音楽はハンス・ジマー(『グラディエーター』、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ)によって作曲された。
ミランダは「僕が『ライオン・キング』を初めて知ったのは映画ではなく、その予告編でした」と振り返る。
「それは普通の予告編ではなく、映画の最初の4分間でした。赤い朝日が昇り、『♪ナアアア〜』という声が響き、『Circle of Life』が流れました。そして画面が黒くなり、『ライオン・キング』と表示されたのです。それは映画史上最も成功したマーケティングだと思います。『これが最初の4分間です。続きは映画館で』という感じでした。それでみんな、『続きを見なくては』と思ったのです。
これまで観てきた『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』といったアラン・メンケンの素晴らしいミュージカル映画とは全く異なるものでした。アフリカの動物たちの世界では、登場キャラクターは捕食者と獲物の関係にありながらも、“サークル・オブ・ライフ”と呼ばれる大きな環境的バランスが存在します。それは私たちの現実世界よりも美しい世界だと感じます。映画を観ている間、その世界に浸って、離れてはまた戻りたくなるのです」。
そんな『ライオン・キング』の新作に音楽を提供することになったミランダを奮い立たせたのは、『ライオン・キング:ムファサ』の物語だった。
「脚本を読んで一番うれしかったのは、この映画に登場するのが、スーパーパパ(最高の父親)であるムファサではなく、幼少期のムファサだということです。彼は孤児で、タカの家族に養子として引き取られ、右往左往しています(笑)。映画史上最も偉大な父親の一人として知られる彼が、まだ自分自身を模索している姿を書くのはとても面白かったです。まるで両親の若い頃のホームビデオを見て、彼らも自分の親になる前は何もわかっていなかった、と気づくようなものでした。ムファサが王になる前、全てを理解する前の姿を描くこの物語は、1994年のオリジナル映画で描かれたムファサ像を完全に覆し、彼への新鮮な視点を与えてくれるものでした」。
さらに、舞台版『ライオン・キング』で音楽を手がけたレボ・Mとマーク・マンシーナの協力を得ることで、プロジェクトへの決意が固まったという。
「ブロードウェイ版はアフリカやアフリカン・ディアスポラ(故郷や祖先の地であるアフリカを離れて暮らす人やコミュニティー)の音楽を加えてオリジナル映画を見事に発展させたと思います。レボ・Mとマーク・マンシーナが手がけた『He Lives In You』は、オリジナル映画にあったと勘違いされることが多いのですが、実は舞台版のために作られた楽曲です。彼らの協力が得られれば、自分が求める音楽を『ライオン・キング』の世界になじませられると思いました。それが作品を手がける上で“イエス”と答えた理由の一つです。彼らと一緒に仕事ができたことを誇りに思います」。
『ライオン・キング:ムファサ』では、予告編で一部を聞くことができる劇中歌「BROTHER」をはじめ、ミランダが手がけた楽曲とともに、数々のミュージカルシーンが繰り広げられる。
「あるシーンで、僕はハンス・ジマーのスコアを3秒ほど引用しました(笑)。『♪ダダダ〜』(ジマーのスコアを口ずさみながら)の後、離れていきます。厳密にはネタバレです。ディズニー、申し訳ありません。でも、映画全体で1回だけです。ジマーのリフを引用したのはその一箇所だけです」と、イースターエッグを明かしつつ、新曲で観客に新たな感動を与えることへの自信をのぞかせていた。