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 タレントで映画コメンテーターのLiLiCo(53)が、2日放送のTOKYO FM「川島明 そもそもの話」(土曜後5・00)にゲスト出演し、東日本大震災当時を振り返った。

 スウェーデンで生まれ育ち、母の母国・日本のアイドルに憧れて18歳で来日。モデル、演歌歌手などさまざまな挑戦を続けた。極貧生活、5年間の車中泊生活などを経験しながら、TBS系「王様のブランチ」で映画コメンテーターとして世間に知られるようになっていった。

 ところが、11年3月11日、東日本大震災が発生した。報道は震災一色になり、テレビのバラエティー番組は軒並み自粛ムード。多くの命が失われ、日本中が悲しみに暮れた。

 そんな中、LiLiCoに飛び込んできた出演オファーがあった。それは、NHKの生トーク番組「スタジオパークからこんにちは」だった。ところが、LiLiCoは慌てたという。「震災のたぶん2カ月後くらいに、決まりましたって。こんなみんなバラエティーもやっていない時に、どうしようと思って。こんな外国人が出て、変なことをしゃべったら、何だこいつ?と言われて終わっちゃうわと思って」と、理由を説明した。

 スウェーデン国籍のLiLiCoは、「毎日、この当時、スウェーデン大使館から、“スウェーデンに帰って下さい”とか(要請されて)、臨時便とかも出ていた」と回想。「うちのお父さんも初めて“帰ってきて”って言ったのね」とも打ち明けた。

 しかしLiLiCoは帰国を選ばず、出演を決意したという。「私はどん底に落ちてしまったけど、たくさんの日本人が、みんなおもしろいから、元気をもらっていたから、今度は私は元気をあげようと思って」と告白。「アプリコット色の、ピンクに近いミニのワンピースで、ピンヒールで、パンケーキを作ったんですよ」。あえて派手な格好で、スウェーデンでよく作られるパンケーキを作ったり、プライベートトークもしたという。

 反響は大きかった。「ある程度のファクスとかメールとかいつも届くらしいんだけど、“いつもより多くて”とスタッフに言われて。プラス、ほとんど全部が被災地からだったの。ほとんど充電もできないような状況の中で、みんなが“元気をもらった”とか、“久しぶりに笑った”とか」。悲しみに沈む被災者たちからの数々の言葉に驚いたという。

 その中には、忘れられないメッセージがあるという。「筆で書いたファクスが来て、94歳のばあちゃまから。“この子は日本人が忘れてしまったものを全部持っている”って。それに大号泣して。思い出すだけで涙が出るんだけど…」。この経験を機に、自粛ムードに歩調を合わせるよりも、人々を元気にする道を選ぶ決意をしたという。「だから、このまま行こうと思って、何を言われても。(ネットの)書き込みとかの時代でもなかった」と話し、「そこから、バラエティーがガンガン入ってきて」と明かしていた。