イスラエル国会、UNRWAの活動禁止法案を可決…ガザの人道危機がさらに悪化の恐れ
【エルサレム=作田総輝】イスラエル国会は28日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のイスラエル国内での活動を禁じる法案を賛成多数で可決した。
UNRWAはイスラエル軍とイスラム主義組織ハマスとの戦闘が昨年10月から続くパレスチナ自治区ガザでの人道支援を担っている。イスラエルでの活動を禁止されれば、ガザでの深刻な人道危機が、さらに悪化する恐れがある。
イスラエルはUNRWAの職員が、戦闘の発端になったハマスによるイスラエルへの奇襲に関与したとして、解体を求めていた。ベンヤミン・ネタニヤフ首相はX(旧ツイッター)で「テロ活動に関与した職員は責任を負わなければならない」と投稿し、法案の正当性を強調した。
法案可決に関し、UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長は「法案はガザの人々の苦しみを助長するだけだ」と反発した。英国のスターマー首相は声明を発表し、法案可決に「重大な懸念」を表明し「ガザでの国際的な人道支援が危機的状況に陥る」と批判した。
UNRWAはパレスチナ自治区のほか、ヨルダン、レバノン、シリアでパレスチナ難民を対象に人道支援を実施している。職員数は約2万8000人で、難民らを現地職員として雇用し、学校や医療機関を運営している。