与党過半数割れで少数与党か石破退陣か連立再編か…まさかの政権交代も 衆院選開票後のシナリオは

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与党過半数を大幅に割り込む

衆院選は即日開票されたが、メディア各社の出口調査による議席予測によると自民党と公明党の与党が議席を大きく減らしたのに対し野党の立憲民主党と国民民主党が躍進、与党は過半数の233議席を大きく割り込む見通しだ。

政治資金の不記載問題で自民党への支持は選挙戦に入っても下がり続け、終盤で非公認議員の政党支部への2000万円の送金が明らかになったことで追い打ちをかける形となった。

さてこの与党過半数割れで今後はどうなるのか。いくつかのシナリオがある。

第1は「石破続投で少数与党」だ。現状では野党の立憲民主党、日本維新の会、国民民主党のいずれも連立入りを拒否している。このままどこも「入ってくれない」場合、そして石破首相が退陣を拒否する場合、このままの状態で11月7日の特別国会での首班指名選挙に臨むことになる。

首班指名の決選投票は石破対野田か

石破氏は1回目の投票で過半数は取れないので、おそらく2位の野田佳彦・立憲民主党代表との決選投票になる。決戦では立憲が野田氏に投票するとして、他の野党の人たちはどうするのだろうか。ちなみに自公以外の全党が野田氏に入れると野田氏が首相になる。

これまでの経緯を考えると維新と国民が立憲に入れるとは考えにくい。おそらく自民が両党に「白票=棄権」を出すよう頼むのではないか。条件は「予算成立後の石破退陣」か。

第2のシナリオは石破氏が惨敗の責任を持って退陣し、特別国会の前に新たな自民党総裁が選ばれることだ。前回の総裁選で僅差の2位だった高市早苗・前経済安保相が後継になることに現政権の執行部である菅義偉副総裁や森山裕幹事長らは反対するだろうが、彼らには決める力は残っていないと思う。

ただ高市氏を支持した議員は落選する人が多いので、議員投票の場合高市氏は不利になる可能性もあり、現執行部が林芳正官房長官や加藤勝信財務相を後継にすえるという話もある。しかしそうなると党内の分断は決定的になるのではないか。

高市新総裁なら衆参同日選か

たとえ高市新総裁になっても与党は過半数割れのままなので「石破続投」の際と同じく、首班指名の際は維新と国民に「棄権」を頼まなければならない。その場合の条件は「予算は通すが7月に衆参同日選」か。

第3のシナリオは立憲、維新、国民のいずれかが連立に参加することだ。

立憲は野田氏が代表になって公約から原発ゼロや消費減税を外し、外交安保の継続性を訴えるなど自民に「寄せて」きている。しかも野田氏のバックには小沢一郎氏がいるので「大連立」を仕掛けてくる可能性もある。

だが自民党内の立憲アレルギーは強く、また野田氏も党内左派を抑えるのは難しく、大連立は難しいのではないか。

与党のこの議席数だと、維新と国民の場合は両方連立に加わらないと安定的な国会運営はできない。そうすると自、公、維、国の4党連立になるわけだが、誰が首相になるのか、どうやって政権運営していくのか、そしてその「絵」を描ける人はいるのか、はっきり言って全く先が見えない。

いずれにしても日本は安倍晋三、菅義偉、岸田文雄と3代12年続いた自民中心の政権による「安定期」から、少数与党、もしくは多数の党が参加する連立政権による「不安定期」「変動期」に移行することになるだろう。