中2で交際、15歳で妊娠…20歳で三児の母になった女性が明かす、出産までの9ヶ月「学校をやめて、出産前に入籍しました」〉から続く

 高校1年生で妊娠し、16歳で出産した雑誌『I LOVE mama』のモデルの佐々木なつみさん(22)。現在は2歳上の夫と5歳、3歳、1歳の息子と5人で生活しながら、モデルやインフルエンサーの仕事をしている。

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 そんななつみさんに10代での結婚や出産、子育て、若ママへの偏見などについて詳しく話を聞いた。(全2回の2回目/最初から読む)


佐々木なつみさん

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16歳でワンオペ育児の生活へ

――16歳でワンオペ育児が始まったとのことですが、何が一番大変でしたか?

佐々木なつみ(以下、なつみ) 出産後は彼が用意してくれた家に引っ越して3人での生活が始まったんですけど、まとまった睡眠が取れないのが大変でした。

 今息子が3人いるので、周りから「3人の子育ては大変でしょう?」と言われるんですが、今思い返しても1人目の育児が一番大変でしたね。初めての子育てで右も左もわからないし、全部自分でなんとかしなければいけなくて。家事や育児の両立が本当につらかったです。

 夫は基本的に日曜日しか休みじゃないので、月曜日から土曜日まではワンオペで。それと息子が生まれたのが12月だったんですけど、私たちの地元は北海道で雪が多いので、除雪の仕事も入るんです。そうすると夫は朝も早く、夜も遅かったりしてほとんど家にいなくて。

――睡眠時間はほとんど取れないですよね。

なつみ 1、2時間だったと思います。気づいたらカーテンから日が差して朝になっていました。まとまった眠りはなかったですね。子どもが寝たとしてもいつ起きるかわからない不安からあまり深くは寝れなくて。

 そういう生活が続いていたら、産後うつになってしまって。

――産後うつの症状は?

なつみ 最初は自分で気がつかなかったんですけど、会う人会う人に「痩せてるよ。大丈夫?」って言われて。体重を測ったら、産後から10キロも減っていたんです。綺麗な痩せ方ではなくて、ほおがこけた感じで。食欲も全くなくて、食べれなくて。メンタル的に結構落ちていましたね。

 ちょうどコロナ禍で、外にも出れなくて、人とも会えないし、家に子どもと2人っていう状況がすごく大変でした。

――症状は少しずつ落ち着いていったのでしょうか。

なつみ そうですね。少しでも食べられるものは食べて、親や友達と会うようにして。1人で全部やらなきゃいけないって思っていたんですが、周りを頼るようにしてからは少しずつ元気になりました。

長男に寂しい思いをさせないようにと…「できない自分を責めてしまって」

――2020年に二男、2023年には三男を出産されました。現在は3人の育児に奮闘中ですが、育児はいかがですか。

なつみ 二男を出産してからまた産後うつになってしまって。長男の時とはまた違う感情で。長男に寂しい思いをさせないようにどちらにも同じ時間をかけて育児するっていうのができなくて、できない自分を責めてしまって。

 長男は寂しいのかなと思うと涙が出てきて、自分でも感情がコントロールできなくて。その時はすごく辛かったです。こんな母親でいいのかって思ってしまって。

 どこかで年齢が若い分、完璧に育児をしなきゃいけないって思っていたんだと思います。「若いからしょうがないよ」って思われたくないというか。若いからしつけがなっていないとか、子どもがマナー悪いって思われないようにちゃんと育てようと思っているうちに、自分をどんどん追い込んでしまって。

 でも3人目になると少しずつ慣れてきて、今はだいぶ楽になりました。お風呂とか寝かしつけも流れ作業というか、順番に入れていって、洗っては拭いて、着替えさせて、という繰り返しなので。もちろん大変なこともあるけど、それ以上に幸せで子育てって楽しいなって。

 長男は積極的にお手伝いしてくれるし、喧嘩もするんですけど、弟たちともたくさん遊んでくれて。それに夫も前よりも時間ができて育児もたくさん協力してくれて。子どもたちの成長を感じる余裕ができましたね。

やりたいことをやらせてあげられるよう貯金もしたい

――なつみさんは仕事はいつから始めたのでしょうか。

なつみ 2人目を出産して半年ぐらいで働き始めました。まず、2人目の妊娠中に運転免許を取って。出産後は保育園に預けるために、パートを始めました。

 保育園は家から近いところを申し込んで、半年くらい待って入れましたね。2人とも同じ保育園に預けられたので楽でした。朝、保育園に送ってから仕事に行って、4時半にはお迎えに行くっていう感じで。仕事のお昼休憩の時間に家にサッと戻って夜ご飯の準備をしておいて。家に帰ってからは6時までにご飯を食べさせるようにしています。

――なつみさんもパートナーも10代での妊娠・出産で、金銭的な不安はありましたか?

なつみ それはありましたね。もちろん夫が働いているので、2人で生活していく分はどうにかなると思いますが、これからどのくらいかかるんだろうという不安は今でもあります。大学まで行くことになったら何百万もかかるし、塾や習い事なども考えると……だからこそ私もたくさん働かなきゃと思っています。パートだけではなく、モデルやインフルエンサーとしてもっと活動していけたらと。

 それに、心配性なので毎月家計簿をつけて管理をしています。お金のことは夫とたくさん話して、子どもたちがやりたいことをやらせてあげられるようにちゃんと貯めていきたいと思っています。

上の子が20歳のときに36歳「第二の人生をスタートできるのかなって」

――若い年齢での出産、育児でよかったと感じることはありますか?

なつみ リスクもあるので、一概には言えないですが、やっぱり体力があることですかね。あとは産後の戻りが早いとか。体重も特に何もしなくてもすぐに戻ったので。

 それに子育てが終わってから夫婦の時間を長く作れるっていうのが楽しみですね。上の子が20歳のときに私が36歳とかなので、そこから夫と旅行を楽しんだり、第二の人生をスタートできるのかなって。

 ただ、出産や子育てをする中でそこまで年齢は関係ないのかなと思います。高齢だろうと若かろうと、子どもに愛情を持って接することが一番大事だと思いますね。

若ママに対する偏見はまだまだある

――10代の両親ということで、SNSで批判の声などはありましたか?

なつみ 元々中学生の時から「ミクチャ」などで活動していたんですけど、昔からのファンの方は結婚や出産を喜んでくれました。肯定的なメッセージが多かったです。

 ただ、「子どもが子どもを産んだ」とか「ちゃんと育てられない」とか、そういう声はありました。若ママに対する偏見はまだまだあると思います。

 あとは「10代の夫婦はすぐに離婚しそう」という声もありましたね。若いというだけで離婚しそうとか、夫婦仲が悪そうという偏見はすごくあると思います。ただ私たちのことを知ってくれている地元の友達やファンは「絶対に別れない」って言ってくれているので。私たち夫婦のことをよく知っている方はわかってくれているんだと思います。

――育児生活の中で嫌な思いをしたことはありますか?

なつみ 産後、2週間健診があって、母に付き添ってもらって病院に行ったんです。そしたら先生が母の方を見て話すんですよね。「体重も順調に増えていますし、このままで大丈夫ですよ」って。

 私からすると、「母親はこっちですよ」って悲しい気持ちになりました。若いと育児ができないんじゃないかとか、あまり理解できてないんじゃないかと思われてしまうのは嫌でした。先生もわざとではないと思うんですが、母親として認められていない感じがしてショックでしたね。

19歳でスカウトされ「I LOVE mama」のモデルに

――「I LOVE mama」の専属モデルとして活動を始めたきっかけは?

なつみ 19歳の時に編集部からスカウトされたのがきっかけです。SNSで育児や美容について発信していたので、それを見た編集部の方が、「モデルやりませんか?」と。北海道に住んでいるので、撮影で東京に行かなければいけないし、子どももまだ小さかったので、すごく悩んだんですけど、両親や夫にも背中を押されて。

 それになにより私自身、小学生の時からモデルになるのが夢だったんです。でも出産もあって、もう無理だろうと諦めていたんですけど、ママモデルとして活動する選択があるんだと。

 ママになっても一人の女性として自分磨きとかオシャレを忘れずに、自分らしく生きていく楽しさを全国のママさんに発信していけたらと、モデルになることを決意しました。

――東京には年に何回か撮影に?

なつみ 3人目が産まれる前は、月1回のペースでYouTubeの撮影に行き、年に1回の雑誌発売に向けて雑誌撮影にも行っていました。3人目を出産してからは、東京へ通っての活動は厳しいと思い、卒業を考えたこともありましたが、当時の編集長に背中を押してもらって活動を続けています。

 YouTubeの撮影は、北海道にいてもできるし、年に数回なら家族に子どもを見てもらって撮影に行くことができるので。ママでも育児と仕事の両立はできるよってことを伝えたいなと思いますね。

家族が全員健康で、笑って過ごしていきたい

――ちなみに成人式は出席されたのでしょうか?

なつみ 3人目を妊娠中だったんですが、妊婦でも着付けできるところがあったので、そこに頼んで、出席しました。やっぱり20歳は節目なので、出れてよかったですね。

――最後に今後の目標を教えてください。

なつみ やっぱり仕事と育児の両立をこれからも続けていくことです。自分磨きを忘れずに、おしゃれやメイクを楽しむ女性になりたいですね。22歳はキャリアアップに力を入れながら頑張りたいです。子どもたちのために離乳食・幼児食コーディネーターを取得したので、そういう資格もどんどん取っていけたらなと。

 あとは家族が全員健康で、笑って過ごしていきたいですね。

(「文春オンライン」編集部)