台風21号発生 前線活発化で本州にも影響の恐れ 過去、11月に上陸した台風も

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■大型の台風21号発生 今後は発達し、強い勢力で沖縄地方に接近か

25日(金)午前6時、アメリカのグアム島近くで大型の台風21号が発生しました。今後は発達しながら西寄りに進み、28日(月)以降は暴風域を伴う見通しです。その後、30日(水)ごろには強い勢力で沖縄地方に接近する恐れがあります。

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沖縄地方では、大雨や暴風、高波など、来週は台風の影響が出る恐れがあります。今後の最新の進路に注意しつつ、早めの備えをすることが大切です。

■11月の台風は珍しい? 沖縄・奄美以外では34年ぶり 本州への影響は

10月下旬の台風発生に、「肌寒くなってきたのに、まだ台風来るの?」というSNS上の声も見受けられます。

意外かもしれませんが、実は台風は季節を問わず一年中発生しています。台風のふるさとは、日本の南の亜熱帯や熱帯の海上です。このあたりでは、風と風のぶつかり合いで積乱雲が発生しやすく、これらの積乱雲のまとまりが渦を巻くようになれば、「熱帯低気圧」になります。熱帯低気圧は「台風のたまご」と呼ばれることもありますが、すべての熱帯低気圧が台風になれるわけではありません。風速が17.2m以上になってようやく「台風」と定義されるようになるのです。

気象庁の台風の統計資料を見てみると、統計を始めた1951年以降、11月に日本に接近する台風はそれなりにあります。ただ、それは日本のなかでも南に位置する沖縄地方や奄美地方の話です。九州から北の地方だけに限定すると、11月に接近した台風は過去3例のみしかありません。直近は1990年の28号です。もし今回、九州から北海道のどこかに「接近」となれば、34年ぶりの珍しさとなります。

ただ、台風が接近しなくても本州付近では大雨に注意が必要です。というのも、来週半ばには秋雨前線が西日本や東日本に停滞する予想です。台風周辺の湿った空気が秋雨前線に向かって流れ込み、前線の活動が活発化して大雨になる恐れもあります。週間天気予報では、沖縄だけでなく、本州付近でも曇りや雨の日が多くなっています。台風から離れている地域でも雨の降り方や量には注意が必要です。

■過去には11月に本州に上陸した台風も 進路のカギを握るのは太平洋高気圧

前述した1990年の台風28号は、実は和歌山県に上陸した台風です。1990年11月30日の午後2時ごろ、和歌山県白浜町の南に上陸しました。上陸した台風としては「過去最も遅い」という記録を持っています。

晩秋に台風が本州に接近・上陸するには、周囲の風がポイントになってきます。台風は自分自身で動く力が弱く、周囲の風に流されて進みます。今回、台風21号の進路のカギを握るのは、太平洋高気圧の周囲を吹く時計回りの風となりそうです。

今年の太平洋高気圧は依然として勢力が強く、なかなか南の海上へ退いていきません。今月30日(水)には、太平洋高気圧は本州のすぐに南まで勢力を強める予想です。この周囲を吹く時計回りの風に台風が乗れば、西日本や東日本に接近する可能性も十分あります。

しかし、太平洋高気圧の勢力の予想には幅があります。現時点の予想よりも、西に張り出すようになれば、大陸方面へ台風を押しやることになります。また、勢力が弱まれば、本州から離れた南の海上を通る可能性もあるのです。

台風が近づくとなれば、大雨や暴風など影響が大きくなります。今後の最新の情報に注意が必要です。