北村匠海が不可思議/wonderboyの名曲を映画化『世界征服やめた』のビジュアル (C)『世界征服やめた』製作委員会

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 俳優の萩原利久が、俳優・アーティストの北村匠海が初めて短編映画の脚本・監督を務める映画『世界征服やめた』(2025年2月公開)で主人公の彼方を演じることが発表された。彼方の人生に影響を与える同僚の星野役には北村監督が才能にほれ込んでオファーした藤堂日向に決定。彼方が通うお店の店長に、北村の監督デビュー作を応戦するために井浦新が友情出演する。

【写真】北村匠海が不可思議/wonderboyの名曲を映画化 『世界征服やめた』のキービジュアル

 本作は、10月17日から27日まで開催される『ショートショートフィルムフェスティバルアジア 2024 秋の国際短編映画祭』でワールドプレミア上映が決定しているほか、11月4日に開催される磯村勇斗が企画・プロデュースを務める新しい映画祭『しずおか映画祭』でも上映が決定。このほかの映画祭での上映を予定している。

 独特な言葉のセンスとパフォーマンスで注目をあびながら、2011年6月23日に不慮の事故でこの世を去ったポエトリーラッパー・不可思議/wonderboyの代表的な楽曲の一つである「世界征服やめた」に強く影響を受けた北村が、この楽曲からインスパイアされて脚本を書き下ろし、自らメガフォンをとった短編映画となる。

 主人公・彼方(萩原)は、社会の中で生きる内向的な社会人。変化の乏しい日常をやり過ごす中で、「自分なんて誰にも必要とされてないのではないか…」と自分の無力さを感じていた。そしてどこかひょうひょうとして、それでいて白黒をはっきりさせたがる彼方の同僚の星野(藤堂)。星野の選んだ決断に彼方の人生は大きく揺れ動く。「死」の意味を知る時、明日の選択は自分でできることを知る。世界征服という途方もない夢を追いかけるよりも、自分にしか描けない道がきっとある。夢を見ること諦めて漠然と生きる彼方と星野の刹那的な空気感をとらえたキービジュアルと、暗闇の中でもがく焦燥感や絶望感を打ち出した予告編が完成した。

■コメント
【萩原利久】まず監督、脚本北村匠海と書いてある台本を受け取るというのがとてもうれしかったです。友だちが作る作品に出るというのが初めてで、何か不思議でもあり、うれしい気持ちにもなりました。一緒に芝居をしていた友だちがこんな脚本を書くんだなととても驚いたし、音楽をやっている面も含めて本当に多才だなと感じました。お互いがプレイヤーということもあり、現場でのやり取りが1個1個とてもスムーズで、ニュアンスで伝え合うことができたのがとても良かったです。自分が役者で匠海が監督という普段とは違う形で接するのはちょっとだけ恥ずかしさがあったけど、自分より匠海の方がそういうのがあったかもしれません(笑)。そういうのも含めて現場で楽しみながらやっていました。役に関しては、匠海が自分にこの役を用意してくれたのがすごく納得できるし、多分この役は北村匠海も演じることができると思います。このような表現は普段役を演じる時に使うことがあんまりないんですけど、それぐらい心の深い所でキャッチできた部分があった気がしました。

【藤堂日向】この映画の話をいただく少し前、自分は日々に疲れきり、他人に頼らず、そのまま燃え尽きようとしていました。そんな時、北村匠海に「聴いてみて」と言われた曲が不可思議/wonderboyさんの「世界征服やめた」という曲でした。涙がボロボロとあふれてきて、心が熱を取り戻して、何度も何度もリピートしました。感謝の連絡をした後、少ししてから「映画を撮ろうと思っていてそれに出てくれないか」と言われました。その時は、まさか自分が本当に出演することになろうとは微塵も思っておらず、軽い気持ちで出たいと言っていました。話がどんどんと進んでいき、いざ自分の手元に台本が来た時にようやく実感がわいてきました。鋭利で、ハッと目を引くような、諦観を帯びたその台本は、北村匠海らしく、とても優しくて心の底から温かさを感じる台本でした。監督・北村匠海の初めての作品に関われたことを本当に光栄に思っております。誰もが持っているけれど、どこかに眠っているそれぞれの心の原風景を少しでも感じていただけたらなと思います。