岩田翔吉、3回TKO勝ちで世界王座獲得「勝てなければ最後のつもりで」 背水の陣、2度目挑戦で歓喜の絶叫
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ボクシングのWBO世界ライトフライ級(48.9キロ以下)王座決定戦が13日、東京・有明アリーナで行われ、同級1位・岩田翔吉(帝拳)が同級2位ハイロ・ノリエガ(スペイン)に3回3分0秒でTKO勝ち。2022年11月以来、2度目の世界挑戦で遂に王座を掴んだ。14日を含め、日本初となる1興行7つの世界戦が2日に渡って行われる。戦績は28歳の岩田が14勝(11KO)1敗、31歳のノリエガが14勝(3KO)1敗。
初回、岩田は小刻みに動く相手をジャブで止めに行ったが、左フックを浴びる場面もあった。2回も手数の多い相手に苦戦。それでも3回は左ボディーで足を止め、右アッパーでダウンを奪ってみせた。再開後もロープ際でラッシュ。右ボディーから左フックを浴びせ、2つ目のダウンでレフェリーが試合を止めた。コーナーに登って絶叫。悲願のチャンピオンベルトを巻いた。
リング上でマイクを握ると「今日勝てなかったら最後のつもりでリングに上がった。またボクシングができることを嬉しく思っている」と背水の陣で臨んだことを告白。「1人戦いたい相手がいる。昨日新チャンピオンになった矢吹選手。ライトフライ級に残ってもらって、ちょっと因縁がある相手なので、試合をしたいと思っている」と12日にIBF同級世界王者となった矢吹正道に呼びかけた。
岩田は22年11月、WBO王者だったジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)に0-3の判定でプロ初黒星。再起後は4戦連続KO勝ちで、約2年ぶり2度目の世界挑戦にたどり着いた。日本初となる1イベント7つの世界戦の先陣を切り、早大出身ボクサーとして初の世界王者に輝いた。「今ままで(世界王者が)いないことは知っていた」。会見では、同大の誇りのためにも戦ったことを明かした。
9歳で総合格闘家の故・山本“KID”徳郁氏のジムに入門。レスリングなどを経験し、キックボクシングで全国制覇した。中学2年から「2本の腕だけなのに奥深い」とボクシングに専念。アマチュアだった東京・日出高時代は、のちにプロで世界王者になる井上拓真や田中恒成に勝利したことがあり、3年時に高校総体優勝。高卒でプロにならず、早大ボクシング部を経て18年12月に米国でプロデビューした。
今まではいきなり飛び込むスタイルだったが、元世界2階級制覇王者・粟生隆寛トレーナーから「世界のレベルでは通用しない」と厳しく指導された。「ボクシングは駆け引き」というトレーナーの言葉を胸に、相手を崩す戦い方を身につけた。「自分はまだまだこれからもっと強くなれる」。手応えを感じる勝利だった。
対戦相手のノリエガは右目付近を大きく腫らした姿で会見場に登場。「まず岩田選手におめでとうと言いたい。油断した隙をつかれた。右手のガードが下がってしまった。犯してはいけないミスだった。非常に高くついてしまった」と無念そうに振り返った。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro-Muku)