[10.6 J1第33節 東京V 0-2 湘南 味スタ]

 指揮官は終始激高していた。東京ヴェルディの城福浩監督は試合後の会見で6分半程度、試合を振り返った。「あの失点シーンは本当に受け入れられない。シュートを打つ場面で歩いている選手がこのチームにいるようでは、絶対にJ1で戦えない」。1失点目のシーンについて、何度も感情を露わにした。

 直近6試合で4勝2分と無敗を続け、湘南ベルマーレに勝利すれば条件次第で20年ぶりのJ1残留を決めることができた。ただ、それは今節で叶うことはなかった。前半32分、ロングボールから守備陣の裏を突かれると、MF小野瀬康介に自陣内でキープされ、ラストパスを出された。自陣内に走り込んだMF鈴木雄斗に冷静にシュートを決められた。

 前半45分間は失点以外にも劣勢の場面が目立った。だがハーフタイムを挟んで、後半開始からはたしかに攻勢に転じたものの、後半6分のカウンターで2失点目。終盤の猛攻も不発に終わった。残留争いのさなかにいる相手の勢いに屈した結果だが、指揮官は試合内容よりも選手たちの戦う姿勢に怒りを覚えていた。

「もちろん(ハーフタイムで)やり方も伝えたが、それよりも姿勢。サッカーに対する姿勢ですよ。話にならないです。前半で圧され気味だったことはどうでもいいんですよ。最後の際のところで歩いている選手がいるというのはありえないと映像も見せた。それだけ。それで(後半から)変わるということは、試合に入る準備がこのチームは足りなかったということ」

「後半は湘南さんはあの(2点目の)シュート1本のみだったので、われわれからすると、それは非常に痛かった。あの1失点で終わっていれば、ゲームがどうなったかわからないので痛かった。だが、繰り返しになるが、削られて倒れているのはうちの選手なんですよ。イエローが出ているのは相手の選手なんですよ。じゃあ、われわれが戦ったのか。やられっぱなしで何をしたのか」

 練習を見たうえで選んだメンバーだったが、城福監督は「前兆を感じていれば今日のメンバーではなかった」と力を込める。「試合に向けて調整する選手と、頭から湯気を出してエネルギーを振り絞って練習する練習に分かれていくが、今日のような(試合でメンバー外の)居残り組の練習で、一番練習するのがつらい状況で、頭から湯気を出している選手を、このチームは大事にしないといけない。指定席があってはいけないと改めて思った」。敗戦以上の落胆を選手たちに感じたようだ。

(取材・文 石川祐介)