うがい薬を使うときの注意点は?(画像はイメージ)

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 風邪が流行する時期に役立つのが「うがい薬」です。細菌やウイルスによる感染症を予防する効果があるといわれていますが、うがい薬の種類によっては、使用を避けた方がよい人がいるのをご存じでしょうか。うがい薬を使うメリットやデメリットのほか、注意点などについて、薬剤師の真部眞澄さんに教えていただきました。

妊婦はヨウ素系のうがい薬に注意

Q.そもそも、うがい薬を使うとどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。また、体の状態や持病の関係で使用を避けた方がよい人はいますか。

真部さん「うがい薬を使うメリットとしては、感染予防や口臭予防、喉の潤いを保つなどの効果があります。口内や喉に付着した細菌やウイルスを除去する効果があるため、風邪やインフルエンザなどの感染症予防に役立ちます。しかし、付着した菌やウイルスは、数分から数十分程度で体内に侵入してしまうことも覚えておきましょう。

また、口臭を抑える効果もあり、口腔(こうくう)内の清潔を保つのに有効です。それに加えて、乾燥した環境では、喉の潤いを保つといった効果もあります。

デメリットとしては、ヨウ素系のうがい薬の場合、ヨウ素でアレルギー反応を起こすことがあります。また、一部のうがい薬は、口や喉の粘膜に刺激を与えてしまい、逆に乾燥感や不快感を引き起こすこともあります。

ヨウ素系のうがい薬を使うのを避けた方がよい人として、妊婦や授乳中の人のほか、甲状腺疾患や腎臓病がある人が挙げられます。例えば、妊婦や授乳中の人がヨウ素を過剰に摂取すると、胎盤や母乳を介して胎児に移行し、お子さんの甲状腺機能に影響を及ぼす恐れがあります。

甲状腺疾患や腎臓病がある人はヨウ素を摂取することで、症状が悪化する可能性があるため、使用を避けるか、医師に相談するのをお勧めします。うがい薬には、ヨウ素の代わりにアズレンと呼ばれる成分を含む製品などもあるので、ご自身の持病などに合わせて選択すると良いでしょう」

Q.うがい薬は1日に何回程度であれば、使用しても問題はないのでしょうか。使い過ぎた場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。

真部さん「一般的には、うがい薬の使用目安は1日3〜4回です。特に、『帰宅時や人混みから出たとき』『喉が乾燥してイガイガするとき』『空気が乾燥しているとき』に使用するのが効果的です。

使い過ぎによるリスクとして、口や喉の粘膜が刺激されて乾燥や炎症を引き起こす可能性があります。また、口腔内の善玉菌まで殺菌されてしまい、口内フローラのバランスが崩れ、逆に口内環境が悪化することもあります。

先述のように、ヨウ素を含むうがい薬の場合、妊婦や授乳中の人などは使い過ぎないように注意してください。また、一般の人でもヨウ素(ヨード)誘発性甲状腺機能亢進症をまれに来すことがあるので、使い過ぎには注意が必要です」

Q.小さな子どもや高齢者にうがい薬を使用させても問題はないのでしょうか。

真部さん「小さな子どもの場合、誤飲のリスクがあるため、うがいを正しく行える年齢になってから使用させるのが望ましいです。特にアルコールやヨウ素を含むうがい薬は注意が必要です。子どものうがいにはメントールやアルコールが含まれていない、やさしい成分が使われている製品を選びましょう。

また、高齢者ものみ込む機能が低下している場合があるため、誤飲のリスクには注意が必要です。うがいの後、きちんと吐き出せるか確認をしてから使用しましょう。高齢者は口の粘膜が弱っている可能性があるため、刺激が少ないうがい薬を選ぶと同時に、保湿ケアも行うようにしましょう。使用前に医師や薬剤師に相談することで、より安全に効果的に利用できます。

うがい薬は感染予防に有効ですが、感染後すぐに使用しないと効果がほとんど出ないのが実状です。感染予防を考えるなら、手洗いをしっかり行うことで、より高い確率で感染予防ができます。日常的なうがいであれば、水道水によるうがいで十分に効果が得られるため、うがい薬は必要に応じて使用するのがお勧めです」