Photo: 小原啓樹

みなさん、そろそろかもよ?

生きとし生けるものすべて、時間が経過するとともにさまざまな機能が低下してしまう運命。そのなかでも、如実に機能低下を感じてしまうのが「視力」です。

この記事を読んでいるそこの貴方、もしかしたら「ちょっと小さい文字が読みにくいなぁ」なんて感じていません? もしかしたら、始まってるかもしれませんよ、老眼。

ほら、このくらいの大きさになれば読みやすくなったでしょう? 近くのもの、小さいものにピントが合いにくくなるのは、避けては通れない現象なんです。

そんな老眼のお供といえば、老眼鏡です。一口に老眼鏡と言っても種類がありまして、パソコンの画面とかスマホ、本などを見るために特化した単焦点の老眼鏡のほか、近くから遠くまで全域が見やすくなる遠近両用レンズというものがあります。

この遠近両用レンズのなかでも、境目のないものを累進レンズと呼びますが、その累進レンズを世界で初めて開発したのが、バリラックスです。1959年に開発され、60年以上の歴史を持つバリラックスは、累進レンズ界を牽引する存在として、世界にその名を轟かせています。

老眼は他人事じゃない。AIを使った遠近両用メガネで世界が変わった話

でも、何がそんなにすごいのか、いまいちピンと来ませんよね。そこで、全国屈指のメガネ専門家(国家検定資格である眼鏡作製技能士)の方々にお集まりいただき、バリラックスのすごさについて語っていただきました。メガネのプロフェッショナルから見たバリラックスって、どんなレンズなんでしょうか。

選りすぐりの眼鏡作製技能士のみなさんです!

今回参加いただいた方々はこちら。

株式会社シーモス あべのハルカス近鉄本店:草竹公典さん

あべのハルカスの近鉄本店タワー館11階などに店舗を構える、大阪の(株)シーモスより、草竹公典さん。「よりお客様のニーズに合ったメガネ選びが大事」との持論から、店舗には豊富なテストレンズを取りそろえている。
Photo: 小原啓樹

メガネのセンリ:中尾卓司さん

大阪の万博公園近く、千里ニュータウンの「メガネのセンリ」から、中尾卓司さん。自身の仕事を「メガネの物販じゃなくて、お困りのお客様へ視力を提供するサービス業」だと話す。
Photo: 小原啓樹

メガネ・補聴器のカワチ:川地美和さん

名古屋からは、度付きスポーツサングラスやスポーツビジョントレーニングにも力を入れているという「メガネ・補聴器のカワチ」の川地美和さん。自身でも多くの遠近両用レンズを使い、現在はバリラックスを愛用している、遠近両用レンズマスター。
Photo: 小原啓樹

伏見眼鏡店:伏見浩一さん

戦後の日本で総理大臣を務めた吉田茂氏の眼鏡を製作した老舗、東京・目黒にある「伏見眼鏡店」の伏見浩一さん。眼科医と連携しながら、眼鏡店ならではの知識と技術でお客様に合わせた眼鏡作りを得意とする。
Photo: 小原啓樹

キクチメガネ 中日ビル:山本純史さん

今回の座談会には都合により参加できなかった、山本純史さん。名古屋のシンボルビル的存在の中日ビルに、1966年の誕生時から出店する「キクチメガネ」の店長。後述するバリラックス提供の測定器「VisiofficeX」の測定データを反映させたオンリーワンの眼鏡作りを行なっている。
Photo: キクチメガネ

メガネに関するお困りごとを解決してくれる「メガネのプロフェッショナル」

ギズモード編集部(以下ギズ):本日はよろしくお願いします。みなさんは眼鏡作製技能士という資格をお持ちですが、どのような資格なのでしょうか。

伏見さん:眼鏡作製技能士は、2022年から始まった国家検定資格です。視力に関する医学知識や商品知識、メガネに関する専門知識の筆記試験と、お客様のニーズに合わせたメガネを作成するための視力測定や加工調整、フィッティングなどの実技試験があります。

フレームの調整なども眼鏡作製技能士の腕の見せ所
Photo: 小原啓樹

ギズ:メガネに関するプロフェッショナルな資格というわけですね。みなさんが普段心がけていることを教えてください。

草竹さん:お客様に似合うフレームをお選びするということはもちろんですが、その方の視力や顔の要素を考慮したフレームを選ぶというのも大切です。度数や瞳孔間距離(左右の瞳孔の距離)などを踏まえた上でフレームを選択します。

私の場合は、お客様のニーズを知るために仕事や趣味についてお話をお伺いし、使用環境に即したメガネを選ぶようにしています。

中尾さん:うちはメガネを売るというよりは、視力に関するお困りごとを解決するということを意識しています。お客様は、メガネが欲しいわけではなく、見えにくくてお困りのことがほとんどです。

そのお困りごとに対して答えを出すのが仕事だと思っています。メガネというより、視力を提供しているイメージです。

川地さん:私どもも、視力で困っている方がお見えになるので、その方のニーズに合わせて、見え心地のいいレンズを選択するお手伝いをしています。

特に気をつけているのが「かけ心地」です。快適な視力を提供することにくわえて、かけ心地やお顔に合ったフレームを選ぶことで、より快適な使いやすいメガネを提供するように心がけています。

伏見さん: 当店には、眼科からのご紹介で来られるお客様が多いですね。眼科の先生が、患者さまに処方箋を渡して、それを持って来られます。

眼科で近視や遠視といった診断を受けて、その対処としてうちでメガネを作っていただくという感じです。眼鏡作製技能士として、知識と技術で対応していくということを心がけています。

バリラックスは「アルプス山脈」。理想の見え方ごとにレンズがある

ギズ:眼鏡作製技能士の方々から見たバリラックスの製品の特徴とはなんでしょうか。

伏見さん:日本のレンズメーカーが富士山を目指しているとするなら、バリラックスはアルプス山脈のようなイメージです。日本にはさまざまなレンズメーカーがありますが、ほとんどのメーカーが、「歪みが少なく、視覚の中間が広い」ことの1点を目指したレンズ開発を行なっています。

一方バリラックスの場合は、性格の違うレンズが数多くラインアップされています。それぞれ目指すところが違うんです。「はっきり見えるレンズ」があったり、「誰にでもどこでも見えるレンズ」があったり、「コンピューター作業に特化したレンズ」というものもあります。

つまり、バリラックスは目指す頂点がいくつもあって、それぞれのチームがそれぞれの頂点に向かって開発をしている。国内メーカーは、ひとつの頂点に向かってみんなが開発しているという感じなのに対して、非常にバラエティに富んだラインアップがあるのがバリラックスの特徴だと思います。

バリラックスには、優等生的なハイエンドの「XRシリーズ」、日本限定モデル「バリラックスM」、はじめてでも使いやすい「コンフォートMAX」、そしてPCやスマホに特化した「バリラックスデジタイム」がラインアップされている。
Image: バリラックス

中尾さん:私は、普段はバリラックスの「XR」という、近くから遠くまではっきり見えるレンズを使っていますが、バイクに乗るときには「フィジオ」という、遠用視野が広いレンズを使っています。そのように、用途に合わせて最適なレンズを選べるのが、バリラックスのいいところですね。

ギズ:「XR」は全域よく見えるフラッグシップモデルですが、それ以外にもさまざまな見え方の高品質なレンズがあるのがバリラックスなんですね。

伏見さん:個性的なラインアップがあるので、シチュエーションや用途に応じて必要なレンズが選べるのがバリラックスですね。

Photo: 小原啓樹

川地さん:私は「XR」を使っているのですが、とても新鮮な見え方です。私は両目のピント調整が苦手なのですが、今まで使ってきたレンズではなかなか満足できていなかったところ、「XR」にしてからは視線を動かしてもピントが瞬時に合います。ほかのレンズとは見え方が明らかに違うと感じています。

私自身がそう思えるからこそ、当店ではバリラックスを取り扱っているのですが、お客様にも好評です。長年通われているお客様のなかで、なかなか納得できる遠近両用レンズが見つからなかった方がいるのですが、バリラックスをオススメしたらとても満足されていました。

中尾さん:バリラックスは、眼球の使い方を意識して作られているのも特徴だと思います。目だけでものを追うのか、顔ごと向けるのかでも、適したレンズというのは異なります。

そのため、ヨーロッパはレンズの端まできっちり見えることに重きを置き、日本は首を振ったときの歪みが生じにくいレンズが好まれます。ただし、歪みを少なくすると端の見え方のシャープさが失われてしまうので、全域をよく見たいという方にはバリラックスが適しているのではないでしょうか。

バリラックス提供の測定器「Visioffice」がすごい

草竹さん:バリラックスはレンズの性能が高いことはもちろん、測定機「Visioffice」(ビジオフィス)の存在も大きいと思います。当店では10年ほど前に国内1台目として導入しました。

Visioffice(ビジオフィス)。眼球運動時の頭部運動や、利き目の測定、フレームの前傾角度など約20項目の測定が行なえるバリラックスの測定器
Image: バリラックス

目とレンズの距離は物差しで測るのが一般的でしたが、Visiofficeはそれを機械で測定してくれます。それ以外にも、眼球の動きや利き目の測定、角膜頂点距離などの計測も行なえます。導入してからは、お客様から「ここまで測ってくれてありがたい」と感謝されるようになりました。

中尾さん:Visiofficeという機械によってお客様に体験をしていただくというパッケージは、素晴らしいと思います。そういう見せ方の部分でも、バリラックスは上手ですよね。まだ設置している小売店も少ないので、希少価値も感じられます。

当店でも、目の位置を測定するために、お買い上げのお客様ほぼ全員にVisiofficeで測定していただいています。

フレームの上にマーカーの付いた専用器具をセットしてVisiofficeの前に立ち測定する
Image: バリラックス
検査結果のイメージ図。さまざまなデータを測定し、その結果からレンズの見え方を最適化する
Image: バリラックス

老眼は他人事じゃない。AIを使った遠近両用メガネで世界が変わった話

ギズ:お客様は、レンズメーカーを指名して買いに来たりしますか?

中尾さん:レンズに関しては、フレームに比べるとメーカーを指名する方はほとんどいません。ただバリラックスの場合は、SNSなどの広告を見て「バリラックスのレンズをください」と指名買いされる方もいますね。

草竹さん:当店でも、ネットで見たというお客様が「XR」を指定して購入されるということがあります。

中尾さん:年配のお客様のなかには、境目のない遠近両用レンズのことを総称してバリラックスと呼んでいる人もいます(笑)。

ギズ:それほどバリラックスは、境目のない遠近両用レンズ界では定番なんですね。

バリラックス取扱店は優良メガネ店

ギズ:バリラックスの上位機種のレンズは、オーダーの際にフレーム情報が必須と聞いています。その分、検査などの手順が多いかと思いますが、その点はいかがですか?

中尾さん:たしかに手順は多いですが、喜んでやらせていただいていますよ。

川地さん:やはり、しっかり検査をすることでお客様の満足度も上がりますね。

中尾さん:工程の多さや検査項目の多さは、バリラックスはほかのメーカーとちょっと違いますよね。バリラックスは、フレームをかけたときの黒目の位置のデータなども送る必要があります。

伏見さん:メガネ業界では、いいメガネ屋さんの見分け方として、バリラックスを取り扱っているかどうかを基準としているというウワサも聞いたことがあります。

ギズ:バリラックスは、メーカーから信頼されている店舗でしか取り扱いがない。ということは、そのお店は信頼できるということになりますね。もし、メガネ屋さん選びで困ったら、「バリラックス扱ってますか?」って聞いてみるのもいいかもしれませんね。

視力でお困りの方は専門家にご相談を

ギズ:メガネの専門家であり、販売店という立場から、メガネ愛好者またはメガネを購入しようとしている方にメッセージをお願いします。

草竹さん:当店は、メガネレンズを購入する前におおよその見え方のイメージを体験いただくためのレンズである、トライアルレンズを多数取りそろえています。見え方というのは人それぞれですし、実際に店頭ではしっくりきたのに、家で使ってみるとちょっと見えづらいということもあります。

さまざまなレンズをお客様に試していただいて、こちらからもそれぞれのレンズの特徴をご説明することで、納得いただいてご購入いただけるようにしています。

メガネは長期間使っていると、視力の低下などで見えづらくなってくることもあります。そのときはお気軽にお越しいただき、ご相談いただければと思います。

Photo: 小原啓樹

伏見さん:当たり前のことですが、メガネはよく説明を受けて、納得して購入していただきたいと思います。値段の高い安いだけで決めるのではなく、自分にマッチするレンズを見つけることが大切です。我々はそのための専門家ですので、お気軽にご相談いただければと思います。

中尾さん:当店では、両眼視検査を行なっています。視力は片目だけではなく、両目の動かし方が重要です。この検査を行なって、効果が出る方には説明をして、その方に合った提案をさせていただいています。

利き目を重視して左右の度数を決めたり、近くを見るときの見え方の癖などを意識して、みなさんのお手伝いをさせていただきます。

川地さん:視力は、メガネをかければ矯正できるというものではありません。何となく見えているけれど違和感がある場合、視力の低下や、うまく両目で見ることができていない状態かもしれません。利き目の調整がうまくいっていない場合もありますし、目の動かし方が上手にできていない可能性もあります。

「見えづらい」というと一言で済んでしまいますが、その原因はいろいろ考えられます。その原因をさまざまな角度から見てアドバイスをするのが我々の仕事なので、目に関して何か不安があったらぜひご来店いただきたいと思います。

レンズ性能と有能な技術者がバリラックスの見えやすさを実現

Photo: 小原啓樹

僕もバリラックスの遠近両用レンズを愛用していますが、以前かけていたメガネよりも視界がくっきりハッキリして、感動しました。そのときじっくり測定をしていただいたのですが、「ここまでやるんだ!」と感動したことも覚えています。

バリラックスのレンズの性能がいいことは身体でわかっていましたが、ただレンズの性能がいいだけではないということも今回の座談会でわかりました。

バリラックスのレンズの性能を最大限に引き出すためには、熟練の技術と測定力を持った眼鏡作製技能士のみなさんが必要不可欠。

最近、スマホを使うときに手を伸ばさないと見えない。パソコンの文字が見えづらい。文庫本が読めない。そんなことを感じたら、バリラックスを取り扱っているお店に行ってみてはいかがでしょう。そう、バリラックスがあるメガネ屋さんは、選ばれしお店ですから!

Source: varilux | バリラックス ブランドサイト