「えっ…!」トヨタ「“高級”ミニバン」の“中古車”が1000万円超え!? なぜ「アルファード」の相場は「新車より高い」のか

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実はお得! 高価な「アルファード」が支持を集める理由は「残価率」にあり!?

 トヨタの高級ミニバンアルファード」は、2023年6月にフルモデルチェンジしました。
 
 4代目(通称40系)は、最安でも540万円からと高価な設定にも関わらず納車待ちを伴うほど好調な売れ行きで、その影響で中古車が新車を超える相場で取引されている例もあるといいます。

トヨタの4代目「アルファード」が国内外で大人気!

 40系アルファードの直近3ヵ月間における国内登録台数は、2024年6月が7325台、7月が8234台、8月が5809台と、月平均で7000台を超えるほどの好成績を示しています。

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 これはトヨタ「プリウス」やホンダ「フリード」、ミドルクラスミニバンのトヨタ「ノア」「ヴォクシー」よりも多く、500万円以上するラージミニバンとしては過去に例がないほど大ヒットしています。

 40系アルファードがこんなにも売れている理由のひとつは、残価設定ローンで購入したときの残価率が、3年経過時点でも70%超え(見込み)という、異常なほど高いことが挙げられます。

 なぜ残価率がこれほど高いのか、海外輸出事情にも詳しい中古車買い取り専門店の担当者に話を聞きました。

「“残価率”とは、新車の価格に対し、3年や5年経過後の価格がどのくらいになるかを示す数値のこと。

 要するに新車価格に対して、下取り価格がどのくらいになるのかを示すものです。

 下取り価格が高ければ、新車購入時との差が少なくなるため、よりお得にクルマを所有できることになります。

 40系アルファードは残価率が高いことで、残価設定ローンでの返済額が低く抑えられ、高額車であっても比較的手が届きやすくなっているのです」

 担当者によると、アルファードは現行型に限らず、先代でも年式が古くなっても価値が落ちづらい傾向にあるといいます。

 2024年9月現在、40系アルファードには最上級グレード「エグゼクティブラウンジ」(850万円〜872万円)を筆頭に、「ハイブリッド Z」(620万円〜642万円)、「ガソリン Z」(540万円〜559万円)の3グレードが設定されています(価格はすべて消費税込み)。

 しかし大手中古車検索サイトで40系アルファードを調べてみると、驚きの結果が表示されます。

 エグゼクティブラウンジが1078万円から1650万円、ハイブリッド Zは838万円〜1232万円、ガソリン Zは777万円〜1198万円と、いずれも新車を大幅に超える販売価格で掲載されているのです。

アルファード」がエグいほどの異常“高騰”となった背景とは

 前出の担当者は40系アルファードの相場が高騰する理由について、次のように説明します。

「相場高騰には、海外輸出が深く関係しています。

 40系アルファードの多くは、(中古車バイヤーのみが参加できる)中古車オークションで落札されたあと、国内ではなくシンガポールやタイに輸出されていきます。

 中古車を輸出する際には、年式やサビの有無など、国によってさまざまな規制が課せられています。

 シンガポールやタイの場合は製造年式による規制がなく、そのためか自国で販売されないクルマ、もしくは納期が著しく長くなるクルマに対する需要がかなり高いのです」

最新「アルファード」の極上中古車が海外へ続々と流出している!?

 両国ともアルファードが大人気となっているといい、現地のお金持ちのなかには「日本の程度のいい中古車(新古車)を、どれだけ高くても良いから欲しい」と考える人も少なくないそう。

 そのいっぽうで、国内に出回る40系アルファードも品薄なまま推移しており、中古車価格も高値なまま続いているのです。

 こうしたことからアルファードの残価率が押し上げられ、高額なのにお得に乗れるクルマとして、ますまず新車販売台数の底上げがされています。

※ ※ ※

 納期待ちを伴うほどの人気モデルが国内に留まらずそのまま海外へ流出するのは、トヨタや販売店にとっても面白くない事態でしょう。

 トヨタの販売店では40系アルファードのほか、兄弟車の「ヴェルファイア」や本格四輪駆動車「ランドクルーザー」など長期の納期待ちをともなうような人気車の販売契約をする際、一定期間売ることを禁止する約束を購入者と交しているといいます。

 しかし前出の担当者によると、2023年6月のデビュー後まもなくして、中古車オークションで40系アルファードの極・低走行車の取り引きが確認できるようになったといいます。

 もちろん約束を反故にした人に対して、今後少なくとも同様のディーラーからは購入することはできなくなります。

 トヨタとしてもクルマが売れていること自体は喜ばしいことであり、どこまで規制を強めるのかは難しいところかもしれません。