現行基準と新基準(右)の助成金額の違い

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【家電コンサルのお得な話・210】東京都は持続可能な都市を目指し、ゼロエミッションの推進を強化しており、現在、「東京ゼロエミ住宅」制度を実施している。東京ゼロエミ住宅とは、都が独自に定めた住宅基準に基づき、高い断熱性能や省エネ性能を備えた住宅のこと。基準に適合する住宅を新築すると、東京ゼロエミ住宅の助成制度により、住宅の性能に応じて戸建て住宅で最大240万円、集合住宅で最大200万円の助成金が交付される。建築費用を大幅に抑えられる。

●省エネ基準の削減率を最大45%以上に



 今回、「東京ゼロエミ住宅」制度が見直され、2024年10月1日から新たな基準が導入される予定である。新基準は従来よりも厳格化され、省エネルギー基準からの削減率を最大45%以上削減することなどが示されている。

 また、太陽光発電設備などの再生可能エネルギーの導入が求められることで、2050年までに世界のCO2排出を実質ゼロにする「ゼロエミッション東京」の実現を目指している。

 新たな基準では、基準が水準A〜Cの3段階に設定され、それぞれに応じた助成金額が決められている。最高基準の水準Aでは、外皮平均熱貫流率を0.35以下に抑え、省エネルギー基準からの削減率を45%以上とすることが要件(図1参照)となる。

 この基準を満たした場合、助成金額は戸建て住宅で最大240万円、集合住宅で最大200万円となる。これにより住宅建設費の一部が補助され、都民は高性能なエコ住宅を選択しやすくなる。

●2025年度から新築戸建てで太陽光発電を義務化



 また、25年度からは新築の戸建て住宅に対して太陽光発電の設置が義務化される。これにより、都は家庭部門のエネルギー消費削減と脱炭素社会の実現に期待を寄せている。

 東京都の家庭部門からのCO2排出量は全体の約30%を占めているが、新築住宅への対策を強化することで、これを大幅に削減することができる。今後も、住宅の環境性能向上を目指す制度の見直しが継続される予定で、今回をはじめ、今後の制度変更の詳細についても、必ず東京都のホームページなどで確認することが求められる。

 ゼロエミ住宅は環境や経済的なメリットを享受できる一方で、課題も存在する。特に、太陽光発電パネルの多くが中国製であることから生じる国際関係への影響や、将来的な廃棄処理の問題についても、慎重な対応が求められる。

 これらの課題を克服しつつ、持続可能な未来への道を切り拓くことが、今後の重要な課題となるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。