何が違う?どう使い分ける?人気のスマホ向けカーナビアプリ4種をチェック!
長いことドライブに欠かせなかったカーナビゲーションが、スマートフォンで使うカーナビ用アプリへとシフトされつつあります。背景には車載インフォテイメントシステムの急速な普及も理由の一つですが、なによりもアプリが無料か、あるいは身近な価格で使えることが人気を押し上げているのは間違いありません。今回は、人気を集めている4つのアプリをご紹介します。
【その1】累計60万ダウンロード突破のパイオニア「COCCHi」
パイオニアが提供するスマホ向けカーナビアプリが「COCCHi(コッチ)」です。2023年9月にサービスが始まり1周年を迎えたナビ用アプリですが、つい先日ダウンロード数60万件を突破しました。その魅力はなんといっても、パイオニアが車載ナビで蓄積してきたノウハウがギッシリと詰まっているからと言えます。
Android版/iOS版が用意され、利用プランは月額350円の「基本プラン」と、機能を制限した「無料プラン」の2種類が用意されています。無料で使えるカーナビ用アプリが数多くある中で、あえてこの時期に有料プランをメインとして誕生したのは、それだけパイオニアがこのアプリに自信を持っている証なのかもしれません。
カーナビを使うにあたって重要なのは、行きたい場所が簡単に探せて、目的地までのルートをわかりやすく案内することです。そこでCOCCHiでは、目的地検索をフリーワードやジャンル、住所などが使えるようにしています。フリーワードは施設名や電話番号、住所検索に対応し、音声での入力も実現。これにより、運転中であっても簡単に行きたいところが探せるのです。
しかも、ありがたいことにCOCCHiでは、「検索能力で敵なし!」とまで言われているGoogle マップとの連携も果たしているのです。なので、COCCHiで目的地が探せないようなマイナーな施設でも、行きたい場所が簡単に探し出せるというわけです。
ルート案内中で驚くのは、そのきめ細かな音声ガイドです。たとえば、単純に距離を案内するだけでなく、次の交差点まであと何分ぐらい走るのか、何番目の車線を走ればいいかなどをタイミング良く的確に案内してくれます。併走道路の切り替え機能も備えていて、高低差を認識できないカーナビ用アプリにとってこの装備は重宝するのは間違いありません。音声案内には電子合成音を使っていますが、有料版では肉声に近い音を表現できる「ニューラル音声」としていることで、とても聞き取りやすいのも見逃せないですね。
そして、何よりも使いやすさを感じるのが「お助け」メニューです。このボタンを押すと、周辺にある駐車場やトイレ施設をワンタッチで検索でき、ほかにも渋滞情報の確認や並走道路への切り替えなどのアシスト機能が利用できるのです。アプリに使い慣れない人でも簡単に行きたい場所が探し出せるのがメリットです。
COCCHiは冒頭でも述べたように有料版と無料版があります。有料版は最初の1か月を無料としているので、まずは有料版で登録し、1か月間じっくりと使ってみるのがオススメ。その段階で無料版との違いを判断してみてもいいと思います。ただし、ディスプレイオーディオでの利用を前提とするなら有料版のみの対応ですのでご注意ください。
https://jpn.pioneer/ja/cocchi/
【その2】地図データの充実ぶりは群を抜く「Googleマップ」
皆さんがよくご存じのカーナビ用アプリといえば、「Googleマップ」が真っ先に思い浮かぶはず。Googleでアカウントを取得すれば、誰でも無料で使用可能。日本全国にとどまらず、海外でもそのまま使えるのが他のカーナビ用アプリにはマネができないところです。
地図は広域から詳細マップまでフリースケールで対応し、詳細マップでは建物を高さデータに基づいて地図上に表示します。河川や公園にも色分けして再現するため、若干地味ではありますが、これによっておおよその街並みが地図上から把握できるのです。また、航空(あるいは衛星)写真やストリートマップなど多彩な地図表示機能をサポートしており、まさに地図データの充実ぶりは群を抜く存在であると言えるでしょう。
そして、Google マップの実力の高さを見せつけられるのが、優れた目的地の検索能力です。うろ覚えの施設名を入力しただけで、施設名を推測して候補をリストアップし、しかも思いついたキーワードに対しても驚くほど正確に結果を出してくれるのです。もちろん、音声での入力にも対応。先日も、戦時中に米軍の爆撃機「B29」が墜落し、そのタイヤが残っている場所を検索するため、「B29のタイヤ」と入力すると、それだけでその場所を地図上に表示してくれたのです。こんな雑な検索で結果を出すのは他のアプリではあり得ないことです。
しかも、ここで検索した結果はメールで共有できるほか、一部のカーナビ用アプリにその座標を転送して目的地として設定することも可能。カーナビを使って戸惑うのは、目的地が思うように探せないことでしたが、Google マップならそんなことは一切ないのです。
ルート案内中は、車載ナビのような交差点拡大図こそ用意していませんが、分岐点に近づけばルート上に進行方向を示す矢印を重ねて表示。交差点名は音声でも読み上げますし、車線ガイドも表示するので、よほど複雑な交差点でもなければ道に迷うことはないと思います。また、並行する道路の切り替え機能も備えられ、地図上ではリアルタイムの速度も表示されるようになりました。
そして、今回驚いたのが、GPS信号を受信できないトンネル内の分岐で、しっかりと追従してみせたことです。このとき、他のアプリも検証しましたが、いずれも分岐には対応できず。トンネルに入ってフリーズしたものもあれば、動いたとしても入口での車速をそのまま反映しただけのものとなっていました。こんなところにもGoogleマップの最先端ぶりを見た気がします。
https://www.google.co.jp/maps/
【その3】ルート案内の安心度が高い「Yahoo!カーナビ」
日本発のカーナビ用アプリとして、高い人気を獲得しているのが「Yahoo!カーナビ」です。Googleマップと同様、Yahoo!でアカウント登録をすれば誰でも無料で使え、渋滞情報には定番のVICS情報が使われています。
目的地を探すときは、検索ウインドウに直接入力するか、右にあるマイクをタップして音声入力すれば、候補リストを一覧表示。そのリストの中から行きたい場所を選べばOKです。特に周辺の施設を探すときも音声入力はとても便利。車載カーナビのように「周辺検索」を用意していないので、この機能を使うのがオススメです。
検索キーワードは、頭に“近くの”というワードを付けて、「近くの×××」と読み上げれば、それで対象施設が近い順にリスト表示されます。各項目をタップすると詳細な情報が表示されますから、そこが気に入らなければ前へ戻って別の施設を選ぶこともできます。なお、案内ルートは広い道を優先して案内しており、再探索でもその傾向は変わりません。その意味でも安心度はとても高いと言えます。ルート候補もいまは最大5ルートまで同時表示できるようになり、少し前のバージョンであったような一般道を優先してルートを案内することはなくなりました。
ルート案内中は分岐点までを距離で示し、交差点名を読み上げながら車線ガイドを伴いつつ矢印で進行方向を表示します。さらに政令指定都市では、分岐点に近づくと周辺をリアルに見せるCGによって進行方向を案内し、道路標識に基づいた速度規制や一時停止といった案内も地図上で行います。初めてのエリアに行った時は重宝するのは間違いありません。高速道と一般道が近いところでは、ワンタッチで切り替えることも可能です。
実は、Yahoo!カーナビが使っている地図データの管理は住友電工が行っていますが、データベースはマップボックスのプラットフォームにゼンリン製を埋め込んだもの。ゼンリンのデータには道幅情報も含まれており、このあたりが使いやすいルート案内となる秘密なのかもしれません。また、地図上でいつ雨が降るのか、いつ止むのか、降水量などがひと目で確認できる「雨雲レーダー」機能もあります。
そして、Yahoo!カーナビには有料プラン「Yahoo!カーナビプラス」(月額250円)も用意されています。これを契約すると、iOS版のみリアルタイムの取り締まり情報「スピード注意情報プラス」が利用可能となり、このサービスではオービスだけでなく、有人による取り締まりも対象となっているとのこと。これはYahoo!カーナビならではのサービスと言えるでしょう。
https://carnavi.yahoo.co.jp/promo/
【その4】トヨタが開発したカーナビアプリ「moviLink」
「moviLink」はトヨタが開発したアプリで、2021年3月にサービスを開始。トヨタの標準的な車載カーナビと同等の機能を持ちながら、誰でも無料で使えるカーナビ用アプリです。トヨタは近年、ディスプレイオーディオの標準搭載を進めていますが、このアプリを使うことで手軽にカーナビ機能が利用できるというわけです。しかも、その対象をトヨタ車ユーザー以外にも無料で解放しているから、これは“太っ腹”というほかはありませんね。
トヨタ発のアプリだけに、その使い心地はトヨタの純正カーナビのクオリティを実感します。交差点名を読み上げる音声ガイドは「まんま同じ」で、一般道での側道案内や高速道路での合流案内も行うなど、その案内機能はかなり充実。中でも都市高速入口や高速道路での分岐点ではイラストを使って詳細にガイドするなど、進行方向がひと目で把握しやすくなっています。また、何よりも音声がとても聞きやすいため、状況把握がしやすいのも特徴です。
ただ、データが重くなることを避けるためか、交差点拡大図をすべての交差点で表示することはありません。それでもオートズーム機能を使い、分岐点に近づくに従い、地図を自動的にズームアップして、周辺をわかりやすくガイド。信号機の存在も地図上で案内し、交差点名も一部で読み上げられていました。
ルート案内中で便利と思えるのは、一般道や高速道において複数の交差点や施設のリストを表示することです。車線ガイドや交差点名の表示が含まれているので、これを使うことで分岐点の手前から心構えができ、初めての道路でも安心というわけです。ただし、ディスプレイオーディオではこの表示は行われません。
また、探索したルートは「お出かけプラン」としてあらかじめ登録しておくことも可能です。経由地を含めて出掛ける前にプランを立てておき、当日はそれを展開してすぐに出発できるのは便利ですね。moviLinkに対応するトヨタ純正カーナビを使っていれば、アカウントの共通化でこれを自動的に反映させることも可能です。
一方で、moviLinkは目的地を設定するときは音声での検索にも対応していますが、曖昧な入力やマイナーな施設は思うように探し出せないこともあります。そんなときはGoogle マップで検索して、その位置情報をmoviLinkに転送して使うことをオススメします。また、同様にスマホ向けアプリ「NaviCon」との連携をすることで、好みのアプリで探した位置情報の転送が可能であることも見逃せません。
交通情報はVICSを基本にトヨタが独自に収集した「Tプローブコミュニケーション交通情報」を加えたもの。日本の国道や都道県道に限った総延長距離は約40万kmありますが、そのほとんどをカバーしているということです。このあたりも心強いですね。
https://toyotaconnected.co.jp/movilink/
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