◆最初から“大人”ありきのパパ活

裏垢界隈のオフ会で交友関係を広げるかたわら、引き続きティンダーでも個人的な遊び相手を探していた美咲さん。そんな中、ティンダー上でパパ活募集をしているおじさんが彼女の目に留まる。

「コロナでバイトがしばらくお休みになっていたのでお金もほしかったし、何より当時はとにかく刺激的な体験がしてみたくて、そのパパ活おじさんとマッチしてみました。裏垢界隈でもパパ活をしている子は結構いて『パパ活やってみようかな〜』と自分の裏垢で呟いたら、みんながいろいろアドバイスをくれて。『金額は事前に必ず確認しなきゃだめだよ!』とか(笑)。

裏垢界隈の友達もやっているなら怖くないし、ものは試しだと思ってパパ活おじさんと会うことを決意。そのパパとは最初から、体の関係ありきの“大人”で会う約束をして、当日は直接ホテルへと向かいました」

裏垢界隈オフ会での慣れもあり、初対面の男性と二人でホテルに入ることにあまり抵抗感はなかったという。部屋では若干の談笑を交わしたのち、すぐに性交渉を開始。3万円ほどのお金を渡され、1〜2時間ほどで帰宅した。美咲さんはこのときのことを、「あまりよい経験ではなかった」と語る。

「内容には合意していたし、嫌なことをされたわけではないのですが、なんか想像と違ったんですよね。パパ活のおじさんって、もっとお金持ちで豪快で、今までしたことがないような経験をさせてくれるものだと思ってたから。案外そうでもないとわかり、なんかしょうもないなと思っちゃって。その人とはもう会わないだろうなと思い、帰り道でブロックしてしまいました」

◆お金だけの性交渉を続けたら「そういう行為が嫌いになりそう」

その後も別の男性たちとパパ活をしたが、二人目以降は食事や初回の顔合わせだけに留め、お金をもらっての性交渉は二度としなかった。

「お茶や食事だけだと、もらえるお金は3000円とか5000円くらいだったけど、興味がない人とお金だけのために性交渉していたら、そのうちそういう行為すべてが楽しめなくなってしまいそうで。もし、ある程度人柄にも惹かれるパパが現れたら、もう一度くらい(性交渉を)してもいいかなと思ったけど、結局そういう人とは出会えませんでした」

もともとは内向的で真面目なタイプの美咲さん。精神的な負担や葛藤も大きかったという。

「パパに対して、ウソをつくとか、演技をすることができなくて。普通にごはんを食べているだけなのに、それなりの金額をもらうのもだんだんと申し訳なくなり。また、私に対してガチ恋っぽくなってしまったパパもいて、その人の好意に自分が乗っかってお金をもらうのはよくないことだと悩んだり……。お金はほしいし、いろんな経験をしてみたいと思う反面、ちょっとしんどいなあと感じることは多かったです」

◆コロナに罹患した美咲さんに、心ない返信が

そして、2021年3月。緊急事態宣言の真っ只中に、美咲さんがパパ活から完全に離れるきっかけとなった出来事が起こる。

「感染経路は不明なのですが、コロナにかかってしまって。結構症状がひどくて、実家暮らしなのでホテル療養をすることになりました。当時は今よりもみんなコロナに対して過敏だったので、不安も大きく。味覚嗅覚がなくなっていたこともあり、このまま後遺症が残ったらどうしようとか、戦々恐々としていました」

3〜4月に会う約束をしていたパパが何人かいたので、全員にキャンセルの連絡を入れた美咲さん。すると、向こうからの返信は……。

「『はーい』とか『わかった〜』とか、ひどい人だと『コロナなんて別にかかっても大丈夫だよ(笑)』とか。とにかくみんな、ものすごく軽い感じの連絡しかくれなかったんです。こっちは本当に辛くて怖くて、それでも約束を断るのは申し訳なかったので、精一杯誠実な対応をしたつもりなのに、労いの言葉ひとつないなんて……と。今思えばあまり大したことでもないんですけど、そのときは私自身かなり極限の状態だったので、すごく悲しくなっちゃって」