レスター戦でスタメンから外れた鎌田。(C)Getty Images

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 9月14日、ロンドン南東部のセルハースト・パークでプレミアリーグ第4節のクリスタル・パレス対レスターを取材した。

 この2チームは、ともにここまで勝点1しか積み上げられておらず、下位に沈んでいる。シーズンはまだ始まったばかりといえども、この試合は重要な一戦だ。

 パレスは今シーズンの開幕前、エベレチ・エゼ、アダム・ウォートン、マーク・ゲイといった主力選手たちに移籍の噂があり、大幅な戦力ダウンが懸念されていたが、結局、マイケル・オリーセがバイエルンに移籍しただけだった。故に、開幕から3試合を終えて降格圏ギリギリの位置にいるのは予想外だ。

 今夏に新加入した鎌田大地は、開幕節のブレントフォード戦(1−2)から3試合連続でリーグ戦に出場しているが、あまり印象的なパフォーマンスをできていないというのが、大半の評価だ。

 スタジアムで彼の名前が入ったユニホームを着ているパレスファンをまだ見かけていない。確かにチームには多くのスター選手が在籍しているとはいえ、もしこの日本人が開幕から活躍していたら、背中に「KAMADA」と書かれたシャツを目にしていたはずだ。
【動画】鎌田のパスから劇的なPKを奪取!
 今回のレスター戦では、その鎌田はベンチスタートとなり、代わりにアーセナルから新たに獲得したエディ・エンケティアが先発に名を連ねた。

 彼の移籍金は約3000万ポンド(約57億円)と言われており、パレスのようなクラブにとっては大金だ。これだけの金額を払ったのに、ベンチに座らせておくわけにはいかない。

 また、同じポジションでプレーする日本人よりもダイナミックで、決定的なプレーができる。今のパレスがまさに必要としている選手だろう。実際、レスター戦では存在感を発揮して好プレーを披露。新天地デビュー戦ながら、小さくないインパクトを残した。

 一方、サブに回った鎌田は1−2とリードされた64分から途中出場。彼も投入されるやいなやチームに活力を与え、90+1分には同点弾に繋がるPK奪取の起点にもなった。パレスはこのまま2−2のドローに持ち込んでいる。

 私の見解では、鎌田は最低限の仕事は果たしたものの、エンケティアの活躍によって、ポジション争いでこれまで以上に厳しい立場となるだろう。ここからの奮起に期待したい。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。