by Thomas Hawk

Googleの市場独占をめぐる反トラスト法訴訟の裁判が、2024年9月9日にバージニア州東部地区連邦地方裁判所に開かれ、司法省および州司法長官の連合とGoogleの両者が冒頭陳述を行いました。その中で当局は、Googleが広告の購入側と販売側の両方と広告市場そのものを牛耳っていると厳しく追及しました。

Google faces new antitrust trial after ruling declaring search engine a monopoly | AP News

https://apnews.com/article/google-antitrust-ad-tech-virginia-opening-7a19f525287f782609a5316b1fdb08f0

Google aimed to control web ad tech, US prosecutor says as trial begins | Reuters

https://www.reuters.com/technology/googles-antitrust-trial-over-online-advertising-set-begin-2024-09-09/

Google’s case in the Department of Justice ad tech lawsuit

https://blog.google/outreach-initiatives/public-policy/google-ad-tech-sept-2024/

DOJ claims Google has “trifecta of monopolies” on Day 1 of ad tech trial | Ars Technica

https://arstechnica.com/tech-policy/2024/09/doj-claims-google-has-trifecta-of-monopolies-on-day-1-of-ad-tech-trial/

2024年8月の裁判で、Googleが検索市場で独占的な行為を働いているとの判決が出てから約1カ月後の9月9日、今度は広告技術に関する独占でアメリカ司法省とバージニア州など8州の司法長官がGoogleを訴えた裁判が幕を開けました。



司法省側は(PDFファイル)裁判資料の中で、Googleは買収などを通じて競合他社を排除し、顧客に自社製品の使用を強いて、オンライン広告市場での取引方法をコントロールするという典型的な独占戦略を使っていると主張しました。

具体的には、Googleはオンラインパブリッシャーと広告主をマッチングさせる技術で独占的地位を構築しており、買い手側と売り手側の両面を独占しているため、広告を媒介する際に100ドル(約1万4900円)当たり最大36ドル(約5360円)の利益を得ることが可能とのこと。

こうした反競争的行為で広告の価格が統制されたことにより、ウェブサイトの制作者の収入が減少する一方で広告主の出費は増える事態が発生した、と司法省は指摘しています。

司法省の弁護士であるジュリア・ターバー・ウッド氏は「1つの独占だけでも十分にあくどいですが、ここには3つの独占が存在しています」と述べました。

一方、Googleは広告の買い手と売り手双方に利益をもたらすツールを提供することで市場競争をしていると主張した上で、司法省側の申し立てはGoogleがまだ自社製ツールを競合他社のツールに接続できるように取り組んでいる最中だった「古い歴史」に基づくものだと指摘しました。



Googleによると、同社のツールは既に競合他社のツールとの相互運用が可能になっており、デジタル広告費がアプリやストリーミングサービスにシフトする中でAmazonやComcastとの競争に直面しているとのこと。

Googleの主任弁護士であるカレン・ダン氏は、「この件はタイムカプセルのようなもので、ふたを開けるとBlackBerryの携帯電話やiPod、Blockbusterの会員カードが出てくるでしょう」と述べました。

これに対し、司法省が証人として召喚したアメリカの新聞社・Gannettの広告担当役員であるティム・ウルフ氏は、「Googleが広告取引にもたらす膨大な数の広告主へのアクセスを放棄することはできません。Gannettは13年間にわたってGoogleのパブリッシャー広告サーバーを使用しており、Googleのアドテク製品を使い続ける以外に選択肢はないと感じています」と述べて、USA Todayのような著名な日刊紙を100紙以上発行しているGannettのような企業でさえGoogleによる市場独占の影響を受けていることを証言しました。

伝えられるところによると、Googleはあらかじめ賠償金相当額の小切手を司法省に送るという法廷戦略により陪審員裁判を回避したとのこと。これにより、Googleの広告市場での振る舞いが独占にあたるかどうかはレオニー・ブリンケマ判事の判断に委ねられることになります。

判決は今後数週間以内に下される見通しです。