“ウォーターシャワー”で祝福

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 現地時間8月23日、大谷翔平(30)がメジャーリーグ史上6人目の「40本塁打・40盗塁」を達成した。しかし、この時、彼の放ったサヨナラ満塁ホームランのボールは、記念球として公式に認証されることはなかった。はてさて、その理由とは――。

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 大谷が成し遂げた偉業について、メジャーリーグ研究家の友成那智氏はこう言う。

「打つ力と走る力は別物ですから、本塁打と盗塁の両立は極めて難しい。大谷以外で『40本塁打・40盗塁』を達成したことがあるのは、ブレーブスに所属する現役のロナルド・アクーニャJr.外野手(26)を除けば、往年の選手ばかりです。当時、彼らは皆、ステロイドで筋肉を増強したとされていました。現在、ステロイドが禁止されている中で、大谷はこれを使わずとも、素晴らしい記録を残したと言っていいでしょう」

“ウォーターシャワー”で祝福

打球を巡って珍事が

 40本目の本塁打はレイズ戦で達成されたわけだが、その際の打球を巡って珍事が発生していた。

 まず、大谷が放ったボールは右中間席のファンがキャッチし損ねたことで、一旦、グラウンドに落ちた。そこで、レイズのホセ・シリ外野手(29)が拾い上げ、再び観客席に投げ入れたところ、行方不明になってしまった。

 その後、ホームランボールを持ち帰ったという男性が、大谷が所属するドジャースの地元、ロサンゼルスのテレビ番組に出演するなどして、これを記念球として認証してほしいと述べた。しかし、ドジャースは認証ができないとの見解を示しているようだ。

大谷翔平

システムの対象外

 メジャーリーグには試合で使われたボールやバットなどに関して、これらを本物の記念品だと認証するシステムがある。

 アメリカを拠点に活動するスポーツライターの谷口輝世子氏によれば、

「現在、メジャーには200名以上の認証者が存在しており、すべての試合に数名が立ち会っています。認証者たちは、例えばボールであれば、軌道をきちんと目視した上でボールボーイから受け取るなどして、間違いなくそこで使われたものであると断定できた場合、リーグ公認の試合球として認証するのです」

 もっとも、観客席に入ったホームランボールについては、この認証システムの対象外になるとのこと。

「なぜなら、離れた場所からどれだけよく見ていたところで、偽物とすり替えられていないかどうかを毎回確認することは困難だからです」(同)

「ボールを求めて出張るほどではなかった」

 だが、今年4月に大谷がドジャースで“移籍第1号”のホームランを打った際のボールは、球団がキャッチした観客に記念品との交換を要求し、自らの手中に収めた。結果、ホームランボールは公式に記念球として認証された。

 前出の友成氏に聞くと、

「あくまで大谷の“移籍第1号”のような例が特別で、この時はメジャーリーグとしてではなく、ドジャースが独自の判断で観客にホームランボールの譲渡を要求しています。一方で今回の『40本塁打・40盗塁』は、素晴らしい記録ではありましたが、球団がボールを求めて出張るほどではなかったのでしょう。普段のホームランボールと同じで、認証しませんが自由に持ち帰ってください、ということだったのでは」

 仮に今回のボールが認証された後、オークションに出されたとしたら、10万ドル(約1444万円)の値は付いたとみられる。持ち主は最高の思い出になったろうが、同時に、悔しさも込み上げているだろう。

「週刊新潮」2024年9月5日号 掲載