視度調整OKなよきARグラス…と思ったら罠もあった「VITURE Pro」
これは視度補正機能つき&光学シースルーのARグラスすべてに言えることなので、罠というのは言い過ぎだけど、メガネユーザーは注意が必要です。
スマホやPC直結型のARグラスが増えてきている昨今です。使ってみるとこれが悪くない。小さいし軽いし、なんの画面を見ているのか他の人には見えないので自分専用とはなりますが、大型外付けモバイルディスプレイとして使える魅力があります。
そんなARグラスの1つ、「VITURE Pro」をお借りしました。コイツには視度調整機構が備わっているので、普段はメガネ派の人でも扱いやすいんですよね。
持ち運びしやすいセミハードケースに入ってる
使いたいときだけ装着するスタイルで運用するため、ARグラスには総じて出来のよいケースが付属しています。VITURE Proもご覧のように、本体を着実に保護してくれるケースつき。ガード力はかなり高く、バッグのなかにラフにつっこんでも安心できます。
ケースを開くとVITURE Pro本体と、専用USBケーブルを収めるスリーブ(のようなもの)がお目見えです。
取り出してみました。サングラスのようにレンズに色が入っていることから、こういったARグラスをサングラス型ディスプレイと呼ぶ声もありますね。
ケーブルコネクタは独自仕様です。マグネットが入っており近づけるだけでぴたりとくっつきます。目で見なくてもパチっとつながります。これは便利ですねえ。
レンズが複数枚重なっているけど、普通のサングラスに見える
VITURE Pro本体をじっくりと見ていきましょう。フレームの形状はいわゆるウェリントン型。スタンダードなルックスです。
上から本体を見てみると、なにやら2つのダイヤルが目に入ります。
これは視度調節のためのダイヤル。0.0〜-5.0Dまでの度数調整が可能です。なお-5.0Dは裸眼視力0.07くらいとのことです。
コンタクトを使っている方はARグラスをそのまま装着できますが、メガネユーザーの場合はちょっとやっかい。メガネとARグラスの2つを重ねてかけるってかなり難易度が高いですから。でもVITURE Proなら大丈夫。よほど視力が悪い方でなければ、この調整機構でピントがばちりと合うようになります。
肝心のディスプレイパーツは、フレーム上部に備わっています。下向きにセットされ、プリズムを通して装着している人の目に映像を届ける仕組みなんですね。
テンプル(つる)の部分にはスピーカーやボタン(左側のみ)が備わります。長いボタンは明るさ調整、小さいボタンはレンズに内蔵された調光フィルムの明るさを変えるボタンです。
調光フィルムの明るさは2段階で調整できます。明るい状態でこんな感じ。外の景色の見栄えは、薄い色のサングラスと同じです。
調光フィルムを濃くすると、外界はほとんど見えなくなります。雲ひとつない天気でも映像が見やすくなっていい感じ。
映像が明るくシャープに見えるのがサイコー
VITURE Proと直結できるのはUSB Type-C端子を持ったiPhone、iPad、DP Alt Modeを備えたAndroid、Windows PCやMacBook。モバイルドックというオプションを使うことで、ニンテンドーSwitchなどの映像も映し出せます。
視野角はプリズムを使ったARグラスらしく広くはありません。ARグラスはよく「○○○インチの大画面!」といったキャッチコピーを使いますが、正直鵜呑みにしてはダメですよ。VITURE Proも体感として、30cm先の20インチ前後、60cm先の32インチ前後、1m先の40インチ前後といった大きさですから。
ただしVITURE Proはディスプレイパネルの輝度が明るく、特に赤色と青色が際立って見えてくるので、映像体験としてはリッチだなあ、と感じます。これなら積みネトフリを移動中に見たくなる。スピーカーが音漏れしやすい構造なので、音声はイヤホン経由で聴きましょ。
専用アプリSpaceWalkerはマルチディスプレイ表示に対応しているのも素敵。最大で3枚の仮想ディスプレイが使えます。とはいえ前述したように視野が狭い。同時に3枚表示するのではなく、頭を動かさないと他のディスプレイは見えません。このあたりは視野が広いゴーグルタイプのXRヘッドセットが勝っていますね。
外界を見通す力はあなたの視力まかせ
VITURE Pro。なかなかよい出来です。テンプルの後ろがガチガチに硬いためにつけ続けていると疲れやすい…というネガティブな要素もあったけど、総じて良質なARグラスといえます。
ただし。普段からメガネが手放せない方だけ注意するべき点があります。それはレンズ越しに見える世界は、メガネで補正していないボヤけたものとなること。視度補正はあくまでディスプレイが映す映像にのみ適用されるものなんですよね。
だからPCと接続して仕事をしようと試したとき、PCのキーボード上の文字刻印が見えない!という事態に陥りました。いやー、そうだよなー。これはホント、構造上仕方がない。オプションのレンズフレームに補正レンズを入れれば解決できるんですけどね。
映像を見たり、ゲームで遊ぶためのポケットサイズのモバイルディスプレイとしてはマジでおすすめできます。外界見なくてよい使い方ってことね。しかしキーボードを使ったり、紙の資料を見ながらの仕事用としてはやや人を選ぶかな?
Source: VITURE