【危険】「すり抜けライダー」やめて!埼玉県警察が「二輪車の違反走行」を投稿「リスクは違反だけじゃない!」
自動車で道路を走行していると、車と車の間をすり抜け、車線を超えて車を追い越し、車の前に割り込んで来る二輪車にドキッ!とさせられることがある。
そんな二輪車の危険な走行や違反の一例を図にした、埼玉県警察本部交通部交通総務課(@spp_koutusoumu)がX(旧Twitter)に投稿した、『No More すり抜けライダー』の画像に大きな注目が集まった。
「二輪車『すり抜け』対策実施中!二輪車のいわゆる『すり抜け』は大変危険です!埼玉県警察では、速度超過や右折直進事故につながる、二輪車の『すり抜け』対策を実施中です!二輪車ライダーの皆さんは、すり抜けせず、ゆとりと思いやりを持った運転をお願いします」(埼玉県警察本部交通部交通総務課のXの投稿より)
「すり抜け」は重大事故につながる危険な行為
埼玉県警察本部交通部交通総務課に伺ったところ、「すり抜け」という言葉自体は、法律(道路交通法)で定義されているものではないのだという。
「一般的にイメージしやすい/伝わりやすいと思い、あえてこの言葉を使用しました。いわゆる『すり抜け』は、さまざまな交通違反に該当する可能性のある危険な行為であり、車両の先頭に出ることで速度超過や右折直進事故の遠因にもなり得るものでもあります。そのため、二輪車運転者に対する安全意識向上に加え、とくに夏から秋にかけての行楽シーズンは二輪車の利用者も増加することから、交通事故を防止することを目的に、『No More すり抜けライダー』と題して、Xに図解入りの投稿をしました」(埼玉県警察本部交通部交通総務課)
さまざまな違反や危険が伴う「すり抜け」
「すり抜けをするリスクは違反だけですか?違います」という、強いメッセージも記された『No More すり抜けライダー』の図解には、よく見かける二輪車の違反や危険走行が描かれている。
⚫︎前車を追い抜くため、黄色実線をはみ出して走行(右側通行)する「通行区分違反」
⚫︎車の右側からの「割り込み等」
⚫︎車の左側からの「追い越し違反」
「一般的に『追い越し」とは、他の車両に追いついた場合に、その進路を変えて、追いついた車両の右側方を通過して前方に出ることを言い、原則として図のような左側からの追い越しをすることは出来ません(※左側追い越しの例外:前者が右折するため、道路の中央、または右側端<一方通行路の場合>に寄って通行している時)。
また、すり抜け行為は、以下のような違反にも該当する可能性があります」(埼玉県警察本部交通部交通総務課)
⚫︎追い越し違反:踏切、横断歩道の手前30メートル以内における追い越し禁止違反など。
⚫︎通行帯違反:普通自動車の専用通行帯通行
⚫︎指定通行区分違反:進行方向別指定通行区分に従わない通行帯行(例:直進する際に右折車通行帯を通行等)
二輪車のその走行、違反です
『No More すり抜けライダー』に描かれた、二輪車が車道をはみ出して歩道や路側帯を走行する「通行区分違反」については、「路側帯は基本は車道で歩道ではありませんよ!」といった、二輪車ライダーの主張も見受けられた。
それについて埼玉県警察本部交通部交通総務課に伺ったところ、「一般的に車両は、歩道、または路側帯と車道の区分のある道路では車道を通行しなければなりません。路側帯については、歩行者の通行の用に供し、または車道の効用を保つために設置されているものであり、道路外の施設等に出入りするため、やむを得ず路側帯を横断する時などを除き、通行することが出来ません」との回答だった。
「自己流ルール」は危ないよってこと
今回投稿された『No More すり抜けライダー』の図解について、日頃から二輪車の危険走行にヒヤッとさせられている「自動車を運転する人たち」からも多くの反響が寄せられた。
「そういえば先日、右折待ちの車列を左からすり抜けして、先頭から我先に右折しようとして対向車と事故りかけてた愚かなバイカーがいました」
「すり抜け自体が”リスクを伴うこと”なのは周知の事実で。過失割合だの道交法違反だの言ったところで、失った五体や命は帰ってこないんだから」
「車もバイクも乗る側としての意見だけど、日本の道路交通法上バイクも車両扱いなので、車もバイクも追い越し追い抜きは車と同じ手順踏みましょうねってだけなのよ、出来ない人が多いってだけで。ルールはあっても自己流を貫く人が多い」
「『違反じゃないんだから、やっても問題ないでしょ』ではなく、危ないからやめましょうね、ってことなのでは?で、その”危ない”とされる理由は、ライダーが車のドライバーとコミュニケーションを取らず、ライダー側の判断のみで行っていることにあるのではないでしょうか」
法令走行を遵守して「命」を守る走行を
「自己流を貫く人が多い」というコメントもあったが、実際、「違反とわかってても完全停止の渋滞で最後尾にいる時は前に行く。特に前にトラックがいる時に追突されたらバイクは死ぬから」などといった、二輪車ライダーの持論も多く寄せられた。
「二輪車ライダーの皆さんには、万が一交通事故を起こしてしまった場合、自分自身が怪我を負ってしまう可能性があること、刑事処分(罰金等)、行政処分(運転免許の停止・取り消し等)、民事責任(損害賠償)、実名報道等、さまざまなリスクがあることを知っていただきたいです。すり抜けをしないで、法令走行を遵守して、悲惨な交通事故を起こさない、遭わない、そして何よりも『楽しく』『安全』に二輪車を利用していただきたいです」(埼玉県警察本部交通部交通総務課)
埼玉県警察本部交通部交通総務課によると、埼玉県内では依然として自動二輪車(一般原付を除く)の死亡事故が多く発生しているという。
「令和5年度中、埼玉県内では122人の方が交通事故による亡くなっており、前年に比べて18人の増加となりました。本年、令和6年6月末時点では、44人の方が交通事故で亡くなっており、前年に比べて4人の減少となったものの、自動二輪車(一般原付を除く)は13人で、前年より3人増加と依然として多くの方が亡くなっている現状にあります」(埼玉県警察本部交通部交通総務課)
開放感が味わえ、小回りも利く二輪車は便利で楽しい乗り物だ。しかし、二輪車の交通事故は車よりも致死率が高く、重大事故につながる可能性が高いことを忘れてはならない。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ リュウ)