舞台『ブルーロック』3rd STAGE  稽古場の様子 撮影=潮田茗

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舞台『ブルーロック』3rd STAGEが、2024年8月9日(金)より大阪、東京で上演される。開幕を目前に控えた稽古場に、SPICEが独自潜入! 熱気あふれる稽古の様子をお届けする。

※上演内容に触れる記述、写真があります。

原作は『週刊少年マガジン』(講談社)にて連載中の、金城宗幸(原作)、ノ村優介(漫画)によるエゴイストFW育成サッカー漫画『ブルーロック』。2023年より舞台化され、今作は第3弾となる。主人公・潔世一(竹中凌平)をはじめとしたストライカーたちの強い個性、エゴがぶつかり合う手に汗握るストーリー展開はもちろん、サッカーの実戦動作を取り入れたマイムによる激しい試合シーンが見どころだ。

取材日は、最終稽古が間近に迫ったタイミング。総勢23人のエゴイストたちが出演するとあって、稽古場は活気に満ちている。参加メンバーが揃ったところで、まずは準備運動からスタート。和気あいあいと声を掛け合い、ストレッチや二人一組での柔軟を入念に行っていく。

芝居稽古では、試合前に選手同士が対面する緊迫したやりとりを展開。シリーズ第1弾より出演している蜂楽廻役の佐藤信長らが織りなす会話のリズムが心地よく、「ブルステ」ならではの空気感があっという間に構築されていく。

役者から発される言葉の一つ一つに驚くほど力が込められているのは、脚本・演出を手掛ける伊勢直弘による強いこだわりゆえ。セリフから単語をピックアップしてニュアンスを調整したり、ほんの一瞬を切り取り「スターに会って興奮している心拍数を(芝居の)テンポで表したい」とディレクションをしたりとかなり具体的な指示が飛ぶ。

稽古はかなり濃密でハイスピード。キャスト陣は高い集中力をもって応えていくのが印象的だった。とりわけ、潔役の竹中はシーンごとの心の機微を拾い上げ、すぐにセリフのトーンやしぐさに至るまで芝居そのものではっきりと自らのプランを提示していく。

糸師凛役の草地稜之は、ディレクションのために途切れてもそのまま役に入り続けていた姿が印象的。BGMや効果音が入ったことにインスピレーションを受け、蟻生十兵衛(磯野大)や時光青志(中林登生)のコミカルな動作が新たに誕生する瞬間にも立ち会うことができた。

もちろんキャスト陣のアイデアも積極的に取り入れられる。特に顕著なのは、日常的な人物像が垣間見えるフィールド以外のシーン。「とにかく会話が飛び交っていて、キャラクターの声で埋め尽くしたい」「このシーンは面白くできそうだから、もう何パターンかポーズを作ってみよう」などとキャスト同士でもディスカッションされていく。

適宜休憩を挟みながら、後半は試合シーンの動作確認へ。士道龍聖(松田岳)、烏旅人(宇野結也)、 乙夜影汰(健人)、雪宮剣優(遊馬晃祐)、氷織羊(三浦海里)、七星虹郎(阿部快征)ら今作より登場する新キャラクターも多数合流した。舞台上ではスピーディーに展開されているマイムは、足の動きや身体の向きなどすべてが計算されたもの。サッカーの基礎を意識しながら、各々がキャラクターの動きをインプットしていく。

特に凪誠士郎役の佐藤たかみちは、常にボールを使ってトラップの感覚を体に馴染ませているようだった。気迫あふれるプッシング、キレのあるシュート動作といった確認作業が、限られた時間の中でもかなり丁寧に行われていたのが印象的だった。稽古の合間や休憩中にも、キャストたちはあちこちで互いにシーンのチェックをしたり、自主練やストレッチに励んだり。チームワークという単語には収まりきらない、大きな一つの団結力に終始圧倒された。

たった数時間の中でも、飛躍的な進化を遂げていく「ブルステ」。初日までのほんの数日のあいだにもさらに高みを目指していくのだろう。開幕までにどれほどまで熱が高まっていくのか楽しみでならない。

大阪公演は2024年8月9日(金)~12日(月・祝)東大阪市文化創造館 Dream House 大ホールにて、東京公演は2024年8月17日(土)~25日(日)シアターHにて上演される。ぜひ会場で「ブルステ」の世界を体感してほしい。

取材・文・撮影=潮田茗