パリ五輪、体操女子種目別ゆか決勝。演技に臨むルーマニアのアナ・バルボス選手(2024年8月5日撮影)。(c)Loic VENANCE / AFP

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【AFP=時事】ルーマニアのマルチェル・チョラク(Marcel Ciolacu)首相は6日、パリ五輪で同国の体操選手2人が「甚だしく不当」な扱いを受けたため、閉会式を欠席すると表明した。

 チョラク氏は、5日に行われた体操女子種目別ゆかでメダルを逃した同国代表の、アナ・バルボス(Ana Barbosu、18)とサブリナ・マネカボイネア(Sabrina Maneca-Voinea、17)両選手について、「言語道断の状況」に置かれたと非難した。

 バルボス選手は当初の判定では3位となり、ルーマニア国旗を広げて銅メダル獲得を喜んでいた。

 しかし、米国のジョーダン・チャイルズ(Jordan Chiles)選手側が要求した採点の見直しが認められて同選手の難度価値点が上がった結果、バルボス選手は4位、マネカボイネア選手は5位に繰り下げられた。

 体操競技では判定に対する異議申し立てが行われるのは珍しくない。却下されることもあるが、認められた場合は得点が変更される。

 バルボス、マネカボイネア両選手は泣きながら会場を後にした。

 自身の異議申し立てが認められなかったマネカボイネア選手は、不当な減点だと抗議した。

 ルーマニア体操連盟の会長はAFPに対し、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に不服申し立てを行う意向を明らかにした。

 ルーマニア政府も国際体操連盟(FIG)に抗議文書を提出した。

 ルーマニア体操界のレジェンド、ナディア・コマネチ(Nadia Comaneci)氏もX(旧ツイッター)で一連のメッセージを発信。両選手の心の健康が守られていないと主張。

 また、ラインオーバーと見なされて減点となったマネカボイネア選手について、ラインオーバーではなかったとの見解を示し、同選手の規定演技を再検証するよう求めた。

 ルーマニア体操女子団体でも12年ぶりに予選を通過したが、7位に終わり、メダル獲得には至らなかった。

 チョラク首相はバルボス、マネカボイネア両選手に対し、メダルを獲得したと見なし報奨金を贈ると述べた。銅メダルの場合、6万ユーロ(約950万円)となる。

 同首相はさらに、「体操競技でわが国の選手が全くもって不名誉な扱いを受けた」とし、「言語道断の状況を受け、パリ五輪の閉会式には出席しないことに決めた」とフェイスブックに投稿した。

 マネカボイネア選手のコーチを務めている母親はフェイスブックで、同選手は体操をやめたと明らかにした。

【翻訳編集】AFPBB News

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