「綾瀬×ジェシー熱愛」嫉妬や批判なぜ起きない?
交際報道があった綾瀬はるか(写真右)とSixTONESのジェシー(画像:映画『リボルバー・リリー』公式サイトより)
7月24日のお昼前、綾瀬はるかさんとジェシーさんの交際が報じられ、すぐにX(旧Twitter)のトレンドランキングで1位を記録するなど、この日ネット上で最大の話題になりました。
綾瀬さんは大河ドラマの主演も務めるなど押しも押されもせぬ国民的女優で、一方のジェシーさんはSTARTO ENTERTAINMENT所属のアイドル・SixTONESのメンバー。国民的女優とトップアイドルの交際報道だけに「不満、やっかみ、アンチなどのネガティブな声が多いのでは」と思いきや、ここまではほぼ好意的な声で占められています。
「うらやましい」の声があがる理由
しかし、“主演級女優とトップアイドルの組み合わせ”という点では、昨年末の有村架純さんとKing & Prince・郄橋海人さんの交際報道時は厳しい声が続出。また、今年6月に松岡茉優さんとHey! Say! JUMP・有岡大貴さんの結婚が報じられたときも、祝福と同時に落胆や失望の声も目立ちました。
特にジェシーさんは、まだ28歳の若手で、SixTONESもCDデビュー4年と国民的アイドルへのステップを踏んでいる段階。一方の綾瀬さんも3度にわたって「NHK紅白歌合戦」の司会を務めるなど、老若男女からの好感度が最も高い女優と言われるだけに、ジェシーさんに対するやっかみの声があがっても不思議ではない状況でした。
なぜ2人の交際報道はおおむね好意的に受け入れられているのでしょうか。ひいては、国民的女優とアイドルの交際や結婚をファンや世間の人びとはどのような目線で見るようになっているのでしょうか。
今回、Xに書き込まれたコメントで目立っていたのは、「ジェシーがうらやましい」「綾瀬はるかがうらやましい」というニュアンスの声。これは「2人の交際を祝福しよう」という前提の声であり、人気者だからこそ、そんなムードに至るいくつかの要因があるはずです。
まず「祝福しよう」というムードの前提になっているのは、すぐに暗に認めるようなコメントを出した潔い対応。ファンへの配慮から全面的に認めることこそないものの、綾瀬さんの所属事務所が「プライベートは本人に任せております」、ジェシーさんの個人事務所が「プライベートはお任せください! 仲良くさせていただいております。ズドン」とコメントしました。綾瀬さんは過去の交際報道時、はっきり否定していただけに対応の変化を感じさせられます。
「匂わせ」で炎上してしまったカップル
ちなみに「ズドン」はジェシーさんの決めゼリフであるとともに、自身が代表を務める個人事務所名・ZDN(ズドン)にかけたフレーズ。潔く認めながらも、自分のキャラクター通りユーモアを交えて語ったことが好印象につながった感がありました。
逆に2人のような人気者が「認めたのか、認めていないのかわからない」という対応をすると、ファン以外の人々も巻き込んで批判が集まりやすいのが難しいところ。今回はすぐにほどよく認めたことで、一部の熱烈なファン層を除く多くの人びとから好意的な見方をされたのでしょう。
その熱烈なファン層からも、これまで2人が「匂わせ」をしていないことが、必要以上の批判を避けられている理由の1つ。今年1月、中島健人さんと元E-girls・鷲尾伶奈さんの交際が報じられたとき、過去の「匂わせ」が次々に指摘され、ネット上は怒りの声であふれました。
ファンの多い人気者の交際報道では、主に「SNSの写真(場所、服、装飾品など)、発言(イベント・番組・記事など)での“匂わせ”がないか」は、祝福と批判という両極端な道を分ける重要なファクターになっています。
次に好意的な声につながったポイントとして大きいのは2人の年齢。現在、綾瀬さんが39歳、ジェシーさんが28歳と、メディア報道では11歳の年齢差が大きくクローズアップされています。
ただ、ジェシーさんは小学生時代に芸能活動をはじめ、大人たちと接しながら仕事をしてきました。アイドルという枠を超えた交友関係の広さでも知られるなど、一般的な28歳よりも精神年齢は大人びたところがあり、綾瀬さんとの実質的な年齢差は少ないのかもしれません。
2人が共演した映画『リボルバー・リリー』の本編完成祝賀イベントの様子。右から2番目がジェシー、中央が綾瀬(画像:映画『リボルバー・リリー』公式サイトより)
綾瀬はるかの希望を叶えてほしい
年齢差よりも重要なのは、綾瀬さんが40代目前の39歳であること。結婚はいつでもできるとしても、出産や子育ては加齢とともに難しさが増すだけに、「もし2人が子どもを望むのであれば、できるだけ早いほうがいい」と考えるのが自然でしょう。
筆者はこれまで不妊治療や高齢出産・子育てに悩む夫婦の相談に乗ってきましたが、子を持つ持たないどちらを選ぶとしても、綾瀬さんの意向があるでしょうし、彼女の年齢を知ったうえで交際するジェシーさんもその意向を聞いていないとは考えにくいところがあります。
女性の結婚や出産の年齢については世間の人びとも敏感なだけに、「これは結婚前提だろうね」「出産にも限界があるから早めに」などの声があがっていました。
特に目立つのは綾瀬さんに対する「これまで頑張ってきたし、みんなを楽しませてくれたから、幸せになってほしい」というニュアンスの声。まだ交際が報じられただけであるにもかかわらず、「結婚・出産ともに彼女の希望を叶えてあげてほしい」という優しい視線が注がれています。
逆にアラフォーの男性芸能人がアラサー以下の女性との交際を報じられたときは、このような優しい視線が注がれることはめったにありません。実際のところはさておき、男性には「さんざん好き勝手してきて最後に選ぶのは若い女」、女性には「地位やお金目当て」などの辛辣な声を浴びせられるケースが散見されます。
昭和時代から「男性のほうがかなり年下」というだけで、「早期の結婚・出産が視野に入っているのでは」「男性側の覚悟がうかがえる」などと感じるのが一般的な日本人の思考回路。しかもそれが現役アイドルのジェシーさんだったため、並々ならぬ思いを感じて、熱心な一部のファン以外は「祝福しよう」というムードが生まれているのでしょう。
今年の結婚ラッシュと年齢の若返り
本人以外の背景としては、ジェシーさんの所属事務所が昨年の騒動を経て、STARTO ENTERTAINMENTに変わったこともポイントの1つでしょう。
今年、堂本剛さんと百田夏菜子さん、中丸雄一さんと笹崎里菜さん、加藤シゲアキさんと一般女性、小山慶一郎さんと宇野実彩子さん、有岡大貴さんと松岡茉優さんの5組が結婚を発表しました。
「運営体制が変わったことで、彼らの交際・結婚への向き合い方も変わった」という見方が生まれ、ジェシーさんが暗に交際を認めたことへの違和感が以前よりも薄くなっているのです。
1月に当時44歳の堂本さんと40歳の中丸さん、3月に当時36歳の加藤さんと当時39歳の小山さん、6月に33歳の有岡さんが結婚と徐々に年齢が下がっていたことも、それを裏付ける背景の1つ。また、3月にはジェシーさんと同世代となる29歳の菊池風磨さんと白石麻衣さんの交際報道もありました。
そんな半年あまりの流れもあってか今回の報道では、ジェシーさん以外のSTARTO ENTERTAINMENT所属アイドルのファンたちが「自担(自分の推しアイドル)も嫌だけどあるかもしれない」という多少の心構えができているような声も見られます。
今年の動きでもう1つ見逃せないのは、有岡さんと松岡さんの結婚が報じられたとき、8年間にわたって交際していたなどの内容が熱心なファンにショックを与えたこと。
“推し活”全盛の中、「突然、推しが結婚すると斬り捨てられたようなみじめな気持ちになってしまう」というファンの声が少なくないだけに、むしろ交際報道を経たほうがショックは少ないという時代に変わったようにも見えます。
もちろんここまで好意的な声が大勢を占めているのは、綾瀬さんとジェシーさんの活動内容や実績、人柄や振る舞いなどの個人的な好感度によるところも大きいのでしょう。
芸能人同士の交際報道では年齢差に加えて、芸能の技量、キャラクター、格、外見などがシビアに比べられがちですが、「笑いの絶えない家庭が想像できる」という声も見られる2人なら、そんな心配は無用なのかもしれません。
(木村 隆志 : コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者)