最新「スピード取り締まり」がヤバい! パトカー見える前に“一網打尽”!? 恐怖の「おいでおいで作戦」&「いないいない作戦」の正体とは!
「おいでおいて作戦」の謎に迫る!
全国の警察による速度違反などの交通取り締まりは、日々新たな手法を取り入れながら進化し続けています。
そんななか、ある地方で通称「“おいでおいて”作戦」と呼ばれる謎の取締りが行われているといいます。どのような手法が取り入れられているのでしょうか。
日々オービスや交通取り締まりの情報を調べている筆者(オービスガイド 大須賀 克巳)が気になった最新の取り締まり事情について、“おいでおいで作戦”の名付け親、交通取り締まり系 YouTube チャンネル「北海の玉」を運営する玉さんに詳しく聞きました。
【画像】「もう逃げ切れない!」これが最新鋭「レーダーパトカー」の取締りです!(30枚以上)
玉さんによると、おいでおいで作戦を目撃した場所は北海道札幌市南区定山渓付近の国道230号線でした。
多くの観光客で賑わうほか、地元札幌市周辺のドライバーも周辺の羊蹄山や洞爺湖へ遊びに行くのに利用することもある主要国道です。
峠越えの道のためカーブが連続する場所もありますが、道幅も比較的広い片側1車線ずつの道が続き、制限速度は50キロとなっています。
取り締まりポイントは、中山峠の頂上にある「道の駅 望羊中山」から札幌市街方面へ6キロメートルほど向かった場所。
緩い下り坂のカーブを抜け、見通しの良い直線区間に入ったところで、ずっと向こうからレーダーパトカーが測定していました。
この“レーダーパトカー”は北海道を中心に普及が進むものですが、最新モデルでは屋根上の赤色灯に備え付けられた「前後測定」可能な新型レーダーが強力な“武器”となっています。
峠を過ぎた緩い下り坂は、つい速度が出過ぎてしまいがち。実際現地ではバイクやクルマによる事故も目立ってきたこともあり、連日での取り締まりで効率的な検挙活動を行っていたのではないかと考えられます。
玉さんによりますと、新旧のレーダーパトカーや、さらに旧式のレーザーパトカーによる速度取り締まりは、幹線道路横などのスペースに停車した状態で通行車両の速度を監視しているのが通常スタイルとのこと。
速度違反のクルマが通り過ぎると、赤色灯を点灯しサイレンを鳴らしながら猛追跡して違反車両を指示した場所に停車。そして違反処理を行う際、パトカーのトランクから矢板やコーンを取り出し、安全を確保するなど様々な手順があります。
違反手続きなどが終わると元の計測場所に戻り、次の違反車に備えますが、だいたい1件の違反を処理して戻るのに15分程度を要し、さらに最新型レーザーパトカーの場合は、測定のためマーキングした場所に停車させる必要があることから、車体の微調整に約1〜2分かかることが多いようです。
それに対し“おいでおいで作戦”は、まったく異なる手法が取り入れられ、日本無線製「JMA-401」を搭載した最新型レーダーパトカーを全く移動させることなく、その場で違反処理まで行ってしまうそうです。
JMA-401のレーダーは遠くまで届くので、速度違反のクルマがパトカーに接近してくるかなり手前で速度計測ができます。
違反を確認して対象車両が近づいてくるタイミングで警察官がパトカーから降り、誘導灯を「おいでおいで」と振りながらその場に違反車を引き込み、速やかに違反処理を行うワケです。
何年も交通取り締まりをウォッチしてきた玉さんは、この取り締り方法に衝撃を受けたといいます。
「レーザーパトカー全盛の時代にも古いレーダーパトカーは存在していましたが、当時このような取り締まり方は見たこともないので、初めて見た取り締まり方法です」
今後「おいでおいで作戦」のような取り締まりは増えるのか
新たな交通取り締まり手法である“おいでおいで作戦”ですが、メリットとデメリットの両面があるようです。その様子を観察した玉さんは次のように話します。
「追跡のための手間や時間のロスもなく違反車が次々と検挙されており、非常に効率的だと感じました」
また玉さんは、同じ速度取り締まり装置を使った経験のあるパトロールカーの元乗務員からこんな裏話を聞いたといいます。
「レーダーパトカーやレーザーパトカーは待機する位置や条件などによっては抜ける(違反車を計測できない)こともあるのです」
そのため、特に最新型のレーザーパトカーはシビアな場面において路面にタイヤの位置を合わせるためのマーキングをしているのではないかと感じたそうです。
もちろん巻き尺で測っていることもあるというので、マーキングについては他の理由も考えられますが、おいでおいで作戦の場合は移動させないのでその心配もなさそうです。
逆にデメリットはないのでしょうか。玉さんはこう話します。
「警察官が違反車を停車・誘導するために道路方面へ出て行くため、暗い夜間に行うのは危険が伴う取り締まり方だと感じました。
また違反車が余裕をもって入れる広いスペースが必要なので、市街地など空き地が少ない地域では難しいのではないでしょうか」
玉さんによると、2024年6月時点ではまだ他の場所で同様の取り締まりを目撃していないそうです。
ただし茨城県で、似たような取り締まりが行われているのを動画サイトで確認したといいます。
今は使えなくなった旧型速度取り締まり装置を搭載したレーダーパトカーを計測用(現認用)に使い、その先の敷地において違反切符の事務処理を行っていたといいます。
ただその方式だと多数の警察官が必要なので、2名で行えるおいでおいで作戦の方が人員面から見る限りでは効率的です。
また移動式オービスも2名程度で運用可能ですが、呼び出し状を発送したり、呼び出した先で複数の人員が関わることになります。
これについても、おいでおいで作戦はパトカーに乗車した2名の警察官のみで現場完結するので、その点も勝っているといえそうです。
前後計測可能!? 最新型レーダーパトカー配備が全国に広がっている!
速度計測器を屋根に設置したパトカーは、古くから北海道で広く活躍してきましたが、最新“JMA-401”搭載の新型レーダーパトカーは、北海道以外にも広がりをみせているようです。
確認できた限りでは、すでに和歌山県、島根県、福岡県、佐賀県、大分県などでも導入されています。
前述の通り、従来のレーダーパトカーなどとの違いは前後からくる車両の速度を遠くの位置で計測できる点にあります。つまり近づいてくる方、遠ざかっていく方の両方が計測可能です。
玉さんが警察関係者に確認したところ、次のような証言を得たといいます
「片側2車線ずつの計4車線を同じ停車位置から計測できます」
もちろん場所にもよると思いますが、実際に対向車線も含め両方の車線を計測していた場面を目の当たりにしたこともあるといいます。
ただし、不明点もあります。
まず、違反車両の速度を計測するのにレーダー波を出したままにしているのかという点。そして速いクルマに対しピンポイントで計測する、いわゆる「ステルス機能」が可能なのかという点です。
ただ、古いレーダーパトカーにもピンポイントで照射するステルス機能があったということから、当然できそうだとも玉さんは予想しています。
なお、旧式のレーザーパトカーでおこなわれていたという「走行しながら追尾式で計測」ができるのかについても、現時点ではわかっていないそうです。
今後はそのような部分も解明して、動画で発信して行きたいと玉さんは話していました。
おいでおいで作戦と最新レーダーパトカーに「傾向と対策」はあるのか
玉さんによると、国道230号の定山渓で検挙されるクルマの多くは地元ナンバーですが、一方で印象的なのは地元ナンバー以外のクルマだといいます。
滅多に見かけない本州ナンバーをはじめ、道内の地方ナンバーや観光客のレンタカー、それに初心者マークの付いたクルマの検挙が目につくとのこと。
また、2台以上の速いクルマが連なって走っている場合は基本的には先頭車両が検挙され、2台目以降のクルマは速度に差が無くても検挙されないようでした。
おいでおいで作戦の対策は、どのようなことがあるのでしょうか。当然ですが法定速度を守ることです。
制限速度付近で走っていると後続車にあおられることもありますが、その場合は安全な場所で先頭を譲ると良いでしょう。前述の通り、検挙される確率が高いのは先頭車両です。
また最新レーダーパトカーに搭載されたJMA-401が発するレーダーは、現在発売中のレーダー探知機で直接的に探知することはできません。
しかしレーダー探知機やオービスアプリには、 レーダーパトカーなどがよく待機している主な取り締まりポイントが登録されています。全て網羅されてはいないものの、大いに参考になるはずです。
さらに地域にもよりますが、各警察のウェブサイトで取り締まり重点情報を事前に確認できる場合があるようです。
ラジオ放送やSNSでも時々タイムリーな情報をキャッチできることもあるので、遠出するときにはいろんなところにアンテナを立てておくといいかもしれません。
このおいでおいで作戦に限らず、普段レーダーパトカー(レーパト)が良く取締りをおこなっている場所で「今日はいないから大丈夫」と思って加速すると、いつの間にか覆面パトカーが後ろの死角に忍び寄ってくるという、通称「“レーパト”いないいない作戦」という取り締まりもあり、意表を付かれたドライバーが次々覆面パトカーに追われるということもあるようです。
ドライバーは、どこでも取り締まりが行われることを意識し、絶えず安全運転を心がける必要があり、そのためにも様々な取り締まりの知識をインプットしておいて損はないと思います。