前代未聞の獲得劇から5年 元MLBドラ1スチュワートJr.の成長に米記者も感嘆「日本の投手育成のおかげで変貌した」

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日本ハム戦で快投したスチュワートJr.。(C)産経新聞社

 異例の挑戦を決意した元MLBドラフト1位右腕は、徐々に頭角を現し始めている。

 6月28日にエスコンフィールド北海道で行われた日本ハム戦に先発したソフトバンクのカーター・スチュワートJr.は、7回(107球)を投げ、被安打6、1失点と好投。来日後最多となる13奪三振をマークして、相手打線をねじ伏せ、今季3勝目を挙げた。

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 初回から158キロを記録した直球を軸に、力のある投球を披露したスチュワートJr.。5年前に来日して以来、研鑽を積んできた超逸材の快投には、彼の母国からも熱視線が注がれている。

 昨春のWBCなどを取材していたショーン・スプラドリング記者は自身のXで「野球界で最も魅力的な育成」と24歳の挑戦を伝え、「今季はソフトバンク・ホークスの先発ローテーションの主力クラスとなっている。制球力はまだ課題だが、日本の投手育成のおかげで、彼は正真正銘の一線級へと変貌を遂げた」と期待を寄せた。

 思えば、スチュワートJr.のソフトバンク入りは前代未聞の決断だった。

 メジャーでも屈指のトッププロスペクトだったスチュワートJr.は、2018年に全米ドラフトでアトランタ・ブレーブスから1巡指名を受けながら条件が折り合わずに交渉が破断になると、翌年5月に東フロリダ州立短大からソフトバンクに6年契約で電撃入団。この日米間でも前例のない獲得劇は、当時も大きな話題となった。

 そこから5年の時を経て、“超逸材”は才能を開化させつつある。いまだ粗削りな感は否めないが、1軍で投げられるようになっている実績は、より大きな成功を掴もうと単身で来日したスチュワートJr.と、それを後押ししたソフトバンクの決断が間違え出なかった証明とも言えよう。

 昨オフにソフトバンクと2025年からの2年で最大1000万ドル(約15億4000万円)という契約を交わしたスチュワートJr.。この“延長期間”で、通年の課題となっている制球難と1年間先発ローテーションを守り抜ける体力さえ示せれば、3年後に予想されるMLB球団との大型契約という「とてつもない大きな目標」(スプラドリング記者のXより)にも直結するはずである。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]